谷崎潤一郎全集あれこれ第2回

(3)

全集の第2回、第3回配本は「細雪」。
これは最後に読みたいので後回しにして、2冊目に読むのは第4回配本の第13巻です。

○潤一郎犯罪小説集
潤一郎がミステリに興味があったとは意外です。
残念なことに、興味はあっても才能はなかったようですが。

〇卍(まんじ)
中学生の頃、エッチな描写を期待して手に取ったものの、難しくて数ページで放り出した記憶があります。
今読むと、細かく描写される阪神間の風景が愉しいです。

今とはずいぶん異なる神戸弁も。


(2015年11月18日)

(4)

谷崎潤一郎全集の予約特典の「自筆原稿レプリカ」が届きました。


万年筆かと思ったら筆書きなんだそうです。
訂正部分の元の文字が見られないように消すには筆が一番便利なのだと、第17巻収載の「文房具漫談」に書いてありました。


(2015年12月25日)
 


「罪と罰」を読む(第5部第3章)

「罪と罰」を読む〜第5部第3章(第3巻80〜115ページ)

(133)
 
とても単純で、高尚な解釈や難解な注釈抜きで楽しめる章です。
 
ソーニャを陥れようとしたルージンが逆に墓穴を掘ってしまうという、本来すっきりする内容のはずですが、個人的には納得のいかないところがあります。
 
一つは伏線に乏しいところです。
私はこれまで何度も「ドストエフスキーにはミステリ的素養がある」と書いてきました。
ところがこの一件に限っては撤回しなくてはなりません。
 
ルージンが100ルーブル札窃盗の濡れ衣をソーニャに着せるためには二つのトリックが必要です。
まずソーニャに気づかれないように100ルーブル札をポケットに入れなくてはなりません。
次にレベジャートニコフを証人に仕立てなくてはなりません。
つまりレベジャートニコフに同席させて、しかもその上で彼の眼を盗まなくてはならないのです。
 
ところがこの犯行が行われた36ページから44ページを何度読み返してみてもその形跡はありません。
たとえば、ソーニャが部屋を出る時に「ルージンは右手で非常に大げさな握手をして彼女を送り出した」とか書いてあれば、あるいはルージンとソーニャの会話の間、「レベジャートニコフは二人の会話には興味がなさそうに窓から外を見ていた」という描写があればミステリファンとしては大満足だったのですが。


(2015年12月18日)

(134)
 
45ページには「このひと幕が演じられている間、レベジャートニコフは会話をとぎれさせまいと、窓ぎわに立ったり部屋をうろうろ歩きまわったりしていた」という描写はあります。
 
うろうろ歩いている人の目を盗むのは難しいと思うのです。
この状況でソーニャのポケットに何かを忍ばせることが可能でしょうか。
ドストエフスキーは伏線のつもりで上の文章を書き加えたのでしょう。
ですが、伏線としては「うろうろ」が余計であるという発想には欠けていたのでした。
 
もう一つ余計な文章がこの章にはあると思います。
108ページから109ページにかけて。
 
「そうしてなんども腰を折られながら、彼はあくまでも語気するどく、冷静かつ正確に、しかもはっきりした口調で話していった。彼の刺しつらぬくような声と、断固とした口ぶりと、きびしい表情が、居合わせたすべての人々に異常な感銘をもたらした」
 
「罪と罰」の中でほとんど唯一のラスコーリニコフのかっこいい場面です。
ページ数にして3ページ、秩序もへったくれもない大騒ぎの場面で酔っ払いどもを一瞬にして静まり返らせる大演説。
しかし、
しかしです。
この部分のラスコーリニコフはかっこよすぎます。

だってラスコーリニコフは引きこもりの、コミュニケーション障害の、空気が読めない、エリート気取りの嫌なやつなのです。
酔っ払いの大騒ぎを静まらせることなんてできっこありません。
ましてや、文章で読んでも分かりにくいルージンの動機を、長々と「ご清聴」させられるはずがありません。

そのリアリティのなさをカバーするために加えられた上の文章です。
しかしその結果、リアリティはカバーできず、こじつけ感だけが際立ってしまいました。

上の文章も「うろうろ」という言葉もドストエフスキーの筆の滑りによるものです。
この短い章で作者が二回も筆を滑らせたのには理由があります。

次の章によっぽど早く突入したかったのです。


(2015年12月21日)

プロローグ<フーリエ「四運動の理論」<main>第5部第4章


プルチネッラの元ネタをたどる

ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」という曲があります。

 

どういう経緯で作られたどういう曲かはWikiでもYoutubeでも簡単に検索できるので、そういう事はぜーんぶすっ飛ばかして、元ネタの曲をUPしていきます。

 

これまで「『罪と罰』を読む」とか「バルザックを読破する」とか誰も興味がなさそうなマニアックな特集を組んできましたが、またまた超マイナー企画です。
(記事掲載当初はYoutubeにリンクさせていましたが、今回は曲名表示のみです))

 

000:1曲目(OUVERTURE/Allegro moderato)
ガロ:トリオソナタ第1番第1楽章

001:2曲目(SERENATA)
ペルゴレージ:Il Flaminio(歌劇「イル・フラミーニオ」)第2幕


(2015年12月2日)

 

009:3曲目(SCHERZINO/Allegro)
ガロ:トリオソナタ第2番第1楽章

020:3曲目(piu vivo)
​ペルゴレージ:Il Flaminio(歌劇「イル・フラミーニオ」)第3幕

023:3曲目(Allegro)
ガロ:トリオソナタ第2番第3楽章

035:3曲目(Andantino)
​ガロ:トリオソナタ第8番第1楽章

046:3曲目(Allegro)
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第1幕


(2015年12月4日)

 

061:4曲目(Ancora poco meno)
​ペルゴレージ:L'addio
  (ソプラノと弦楽器と通奏低音のための室内カンタータ「別れ」) の4曲目

068:5曲目(Allegro assai)
ガロ:トリオソナタ第3番第3楽章

091:6曲目(Allegro(alla breve))
ペルゴレージ:Il Flaminio(歌劇「イル・フラミーニオ」)第1幕


(2015年12月7日)

 

104:7曲目(Andante)
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第3幕

108:7曲目続き
同曲 第3幕

112:7曲目続き
ペルゴレージ:Il Flaminio(歌劇「イル・フラミーニオ」)第1幕

114:7曲目続き
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第2幕


(2015年12月9日)

 

117:8曲目(Presto)
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第2幕

122:8曲目(Larghetto)
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第2幕

123:9曲目(Allegro-alla breve)
ガロ:トリオソナタ第7番第3楽章

132:10曲目(TARANTELLA)
ファン・ヴァッセナール:コンチェルト・アルモニコ第2番第4楽章


(2015年12月11日)

 

144:11曲目(Andantino)
​ペルゴレージ:Se tu m'ami(アリア「もしあなたがわたしを愛してくれるのなら」
パリゾッティ編「古典イタリアアリア集」より)

150:12曲目(Allegro)
モンツァ:組曲第1番第3楽章Rondo

158:13曲目(GAVOTTA con due variazioni / Allegro moderato)
モンツァ:組曲第3番第3楽章Gavotta con variazioniよりGavotta

162:(Variazione Ia. / Allegretto)
同:第1変奏

166:(Varazione IIa. / Allegro piu moderato)
同:第4変奏


(2015年12月14日)

170:16曲目(Vivo)
ペルゴレージ:チェロと通奏低音のためのシンフォニアより第4楽章

179:17曲目(Tempo di minuetto)
ペルゴレージ:Lo frate 'nnamorato(歌劇「妹に恋した兄」)第1幕

187:18曲目(Allegro assai)
ガロ:トリオソナタ第12番第3楽章


(2015年12月16日)

 

神戸元町ダイアリー2015年(4)国益つれづれ<main>特別企画「子どもと魔法」


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