シェークスピアの「ロミオとジュリエット」はあまりにも有名ですが、その割には音楽化作品は多くありません。
その内の一つがチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」です。
曲はまさにチャイコフスキー節で、激しい部分は徹底的に激しく、甘い部分はとことん哀切。
考えてみればシェークスピアの戯曲もかなり荒削りでむき出しの世界ですから、この曲はシェークスピア以上にシェークスピア的と言えるかもしれません。
これが今回の演奏会プログラムの1曲目です。
10月8日(月・祝)16時から大阪シンフォニーホールです。
ぜひどうぞ。
(2012年10月1日)
2曲目はディーリアスというイギリスの作曲家の曲です。
オペラ「村のロミオとジュリエット」から、間奏曲「楽園の道」です。
タイトルからは内容を想像するのが難しいです。
「村の」という言葉には素朴でほのぼのとしたイメージがあります。しかしあくまでも「ロメオとジュリエット」です。
牧歌的で悲劇的な物語なのでしょうか。
実際にオペラを聴いてみると、何となく分かってきます。
シェークスピアの若い二人は、ほとばしるエネルギーで因襲的憎悪を乗り越えます。
一方ディーリアスの若い二人は運命に抗いません。
居場所を見つけようとさまよい、逃げ続けて、最後にようやく誰にも邪魔されない楽園を見つけます。
ディーリアスも優しく二人の運命を伴奏します。
静かな決意と、その先にある儚い幸せを描いたのが、この美しい間奏曲です。
(2012年10月3日)
プログラム最後の曲はブルックナーの交響曲第4番です。
ブルックナーの交響曲をたとえるのによく「天国的な長さ」という言葉が用いられます。
ゆったりとしたメロディーがいつ果てるともなく流れていく、その悠揚たるさまはまさに天国的と表現したくなります。
実際、この曲を今から30年(!)ほど前にも演奏した事があるのですが、その時にはこの長さを持て余してしまった憶えがあります。
ところが今弾くと、短いのです。
重厚なオルガン音響に身を任せていると、1時間余りがあっという間に過ぎ去っていきます。
時の流れを推し進める力を、全て音エネルギーに変換して空間を埋め尽くすかのような、つまり時間を空間に換算する音楽と言えるかもしれません(かっこいい!)。
ところがこれほど素晴らしいブルックナーですが、自宅で鑑賞するのはかなり難しいです。
まず録音が難しい、それから再生装置で再現するのが難しい、そして昨今の住宅事情のせいで観賞すること自体が難しい。
実演と録音についてはまたいずれ考えたいと思いますが、個人的な印象では「実演でないと味わえない音楽」ナンバー1は、2位以下を大きく引き離して「ブルックナー」だと思います。
8日、シンフォニーホールで実演のブルックナーをぜひどうぞ。
(2012年10月5日)
携帯電話の着信音はお年寄りには聞こえにくい、と以前書いた事があります。
コンサート会場などで着信音をいつまでも鳴らし続けているお年寄りが、槍玉に挙げられる事がありますが、これはマナーではなく携帯電話の機能の問題だと思います。
携帯電話での話し声もそうです。
私たちはほとんど無意識に電話機を使っています。
注意してみると、受話器のスピーカーからは相手の声だけではなくて、自分の声も聞こえています。
そして受話器から聞こえてくる自分の声の大きさを基準にして、話す音量を調節している事に気がつきます。
とすると、受話器から聞こえてくるはずの自分の声が聴き取りにくいお年寄りが、携帯に向かって大声でしゃべるのは当然すぎるほど当然なのです。
お年寄りが着信音を放置するのも、大きな声で通話するのも、悪いのは携帯電話製造メーカーの怠慢だと思います。
(2012年10月10日)
この間道を歩いていると、すぐ前を女子高生3人組がおしゃべりしながら歩いていました。
「最近何するんにも、「よいしょ」って言ってしまうん」
「私も私も、年寄りみたいでイヤなんやけど」
「でも「よいしょ」というのは自分の身体への呼びかけだから、私はいいことだと思う」
おお、最近の女子高生はかなり哲学的です。
(2012年10月12日)
ちょっと前まで自宅で日本映画を観賞するのは大変でした。
セリフが効果音やBGMに埋もれて、よく聴き取れないのです。
よく聞こえないから音量を上げると、次のシーンの爆発音で腰を抜かす事になるし、日本映画にこそ字幕をつけて欲しいとずっと思っていました。
素人目には、セリフの音声トラックのボリュームを調節する事くらい簡単にできそうに思えますが、実際はなかなか難しいそうです。
ハリウッドではダビングを前提として、セリフと状況音を別々に収録しているようですが、日本映画ではいまだに現場の音をそのまま録音するのがよしとされているらしいです。
なるほど、セリフと状況音を同じトラックに録音してしまったら、あとでセリフの音量だけ調節するのは無理です。
一方スタジオでの撮影が主体のテレビドラマでは、「状況音」自体が存在しないので、セリフと状況音は必然的に別撮りになります。
最近少しずつ日本映画でもセリフが普通に聴き取れるようになってきました。
その理由は、テレビドラマの劇場版が増えて、そのノウハウが一般的になってきたからではないでしょうか。
現場一筋の映画人も、あまり肩肘張らず、一度テレビドラマ作りの現場で修業し直した方がいいかもしれません。
(2012年10月15日)
考えてみれば、製作費が少ないから、製作時間が足りないから、という理由で私たちはセリフの聴き取れない映画を押しつけられていたわけです。
セリフの聞こえない映画なんて、不良品です。
部品が足りなかったからという理由でブレーキの利かない車を売りつけたり、間に合わなかったからという理由で火の通ってない料理を出したり、他の業種では絶対にあり得ない事を、日本映画界はおこなっていたということになります。
しかも、料金はアメリカ映画と同じだけとっているのにも関わらず、です。
日本映画の衰退の理由を「面白くないから」と説明する人がいますが、それは間違いです。
内容以前に問題があるのでした。
(2012年10月17日)
NHK講座がいよいよ第2シーズンに入りました。
担当の方に「第1シーズンの繰り返しでもいいですか?」と訊ねると、「ダメです」との返事。
第1シーズンから引き続き受講して下さる方がおられるからだそうです。
こうなってくると第1シーズンでは危なすぎて話せなかったこの話題や、あの裏話なども引っ張り出さなくてはネタがもちません。
過激になりそうで自分でも怖いです。
第2シーズン2回目の講座は11月27日(火)14:00です。
お問い合わせ、申し込みは0798-22-2119(NHK学園フレンテ西宮オープンスクール)へどうぞ。
(2012年10月24日)
今年、インフルエンザワクチンは十分確保できそうです。
11月下旬から12月上旬にかけての接種がお薦めです。
ご希望の方は11月19日以降にお越しください。
また都合により11月26日(月)は休診いたします。ご了承ください。
(2012年11月5日)
いよいよ大阪フェスティバルホールの完成が近付いてきました。
これで海外のオーケストラやオペラ団体の「関西飛ばし」が少なくなればいいのですが。
ところで今まで大阪駅からフェスティバルホールに行くには、堂島地下街を突き当たりまで歩いて、いったん地上に出なくてはなりませんでした。
信号も長いし、なぜかコンサートの日は雨の事が多くて、不便でした。
堂島地下街がホールに直結してくれるといいのですが、どうなのでしょう。
(2012年11月7日)
地下道と言えば、JR元町駅の西口も不便です。
改札を出て右に曲がると、長い階段を登って地上に出なくてはなりません。
そして、やっと登ったと思ったら信号です。
どうせなら地下のまま車道の下をくぐって、神戸生田中学校のすぐ南側で地上に出るようにすれば信号を待たなくていいのに、と思っていました。
しかしそのつもりで見てみると、道路の下には阪急電車が通っているのでした。
なかなかうまくいかないものです。
(2012年11月9日)
地下道で一番不思議なのは、神戸大丸前の地下道です。
あと数メートル延ばせば元町商店街まで届くのに、どうして鯉川筋の手間で止まってしまったのでしょう。
これももしかすると地下には鯉川が流れているからでしょうか?
あるいは大丸と元町商店街の間の交差点の交通量が多いために、掘り返すのが難しいからでしょうか?
考えてみれば、あの交差点を何週間も通行止めにするのは影響が大きそうです。 しかしここは思い切って発想の逆転はどうでしょう。年末にはあの交差点の通行が制限されるイベントがあります。
そうです、ルミナリエ。どうせ車両通行止めするのだから、その間についでに掘り返しちゃえ、というアイデアです。
(2012年11月12日)
第2シーズンを迎えたNHK講座ですが、来週27日はその第2回目。
「健康をこわす健康法」と「少しでも負担を軽く〜病気と病院の経済学」について話す予定です。
この1回分で3回分の受講料の元が取れる、とびっきり役に立つ内容です。
お問い合わせ、申し込みは0798-22-2119(NHK学園フレンテ西宮オープンスクール)へどうぞ。
(2012年11月21日)
先日、神戸マラソンに出場しました。
全く何の根拠もなく、「40キロくらい走れるだろう」と思っていたのですが、本当に何の根拠もありませんでした。
30キロ手前からどうにもこうにも足が前に進まなくなり、残りの10キロちょっとはほとんど歩いてのゴールでした。
それにしても沿道の応援は、本当に励みになりました。
応援してもらえるというのはこんなにも心強いものなのかと、ずっと感じながらの42.195キロでした。
振り返ってみれば、頑張っている人を素直に応援することが最近少なくなってきていました。
頑張っている人を見れば素直に応援できる人になりたいと思います。
と書くと何だか小学生の作文みたいですが、本当にそんな気持ちになった一日なのでした。
(2012年12月3日)
マラソンに出場するにあたって一番困ったのは、用具の問題でした。
靴は、トレイルランニング用に昨年買ったものを使うとして、問題はウェアです。
街でランニングしている人たちのスタイルを見ると、腰から膝下までぴしっと引き締めたかっこいいランニングウェアです。
わが家には「それはパジャマか?」みたいなトレパンしかありません。
1週間前にあわててランニングウェア専門店に行ってきました。
フルマラソンに初挑戦すると言うと、お店の人が親切にいろいろ教えてくれました。
一番のお薦めはやはり、腰から足首までサポートしたタイプ、とのことでした。
「お薦め」というよりも、限りなく「絶対必要」というニュアンスでしたが、いかんせん1万7千円と、高価なのです。
結局膝サポーターだけ買って店を出ました。
というわけで本番の格好は、「それはパジャマか?」トレパンに、Tシャツ、それに、それでは寒いかも? ということで羽織った普段着のカッターシャツ、という組み合わせになってしまいました。
神戸マラソンではおしゃれなランナーに「おしゃれランナー賞」が贈られたそうですが、もし「ワーストドレッサー賞」があれば、私が間違いなく受賞していたと思います。
(2012年12月5日)
というわけで膝だけのサポーターを着けた状態で40キロ走ったのですが、すごいですね。
全身がくがくにはなりましたが、膝はほとんど痛みませんでした。
お店の人お薦めのウェアを着けていれば、腰も太もももずっと楽だったかもしれません。
さらに驚いたのは靴です。
靴ずれの一つや二つはできるだろうと覚悟してましたが、まったくトラブルなしでした。
素材やスポーツ生理学の進歩の賜物だと思うのですが、感動しました。
1万7千円のウェアを買うかどうかは、また別問題ですが。
(2012年12月7日)
先日の選挙では、投票率の低さに驚かされました。
いろいろな解釈が可能だと思いますが、一つ言えるのは、沖縄の人も福島の人も、そんなには怒ってなかったんだ、ということです。
米軍基地や原発を押しつけて申し訳ないと恐縮していたのですが、ほっとしました。
(2012年12月21日)
選挙区選挙に最近違和感を感じる自分がいます。
選挙区選出議員は地域を代表して選ばれるのだと思います。
しかし地域を代表するというのがどういうことなのか、実はよく分かっていません。
利益を誘導したり、迷惑施設を拒絶したり、いわゆる「地域エゴ」を代弁するということでしょうか?
当選回数を重ねて党内での立場を固めて、発言力を高めて、ごり押しをする。
私たちが代議士に望んでいるのはそういうことなのでしょうか?
経済的軍事的な強さをかさに着て無理を通そうとする国を見て、私は下品だと感じます。
自分の選んだ代議士にはそんなことをして欲しくないと、私は皮膚感覚的に感じます。
かといって、いかに小選挙区でも立候補者のパーソナリティなど全く分かりません。
広報を通して主張を知ることはできても、その個人に票を投じる意味合いが理解できません。
低い投票率も多くの死票も問題だと思いますが、選挙区制自体に強烈な違和感を感じてしまった今回の選挙でした。
(2012年12月26日)
NHK講座第2シーズンが終わりました。
まだまだ続くそうです。
健康や医療について深く考えたい方はどうぞご来聴ください。
松本胃腸科クリニックは12月29日(土)から1月6日(日)まで休診いたします。
年末年始も寒さが厳しそうです。
くれぐれもお身体には気をつけて、よいお年をお迎えください。
(2012年12月28日)
神戸元町ダイアリー2012年(3)日本国憲法を読む<main>神戸元町ダイアリー2013年(1)東京五輪決定