最近定食屋などで「卵かけご飯」という看板を見かけることが多くなりました。
私も卵かけご飯が大好きで、旅館の朝食で生卵の替わりに玉子焼きや温泉卵が出されるとがっかりする口です。
思い出すのは震災の時です。
我が家は水道とガスは3か月近く止まっていましたがなぜか電気だけは当日から通っていて、たまたま買い置きしてあった冷蔵庫の卵と、レンジ対応のパック入りご飯と、電子レンジが無事だったのです。
それからしばらくは毎日卵かけご飯だけだったのですが、それが全く苦痛でなかった憶えがあります。
「卵かけご飯」、一時のブームではなくモーニング、ランチの基本メニューとして定着して欲しいものです。
(2009年10月5日)
「卵かけご飯」の話を書いていてふと思い出しました。
「バターご飯」。
熱々のご飯にバターと醤油をかけてよく混ぜて食べるのです。
幼稚園の頃、先生の「一番好きなお母さんの料理は?」という質問に「バターご飯」と答えて、あとで母に怒られたこともありましたっけ。
カロリーの問題もあって最近は食べる機会がありませんが、もし世界があと1週間で滅ぶと言われたらぜひ食べておきたい懐かしい味です。
(2009年10月7日)
大食いの人もいれば小食の人もいるのにどうして給食は全員同じ量を食べさせるのだろう?
給食は米飯食主体にして、生徒にそれぞれ食べたいだけよそわせれば無駄も少なくなるし、食糧自給率だってアップするしいいと思う、知り合いの小学校の先生にそんな提案をしたら給食はもうすでに米飯主体なのだそうですね。
すみません、自分が小学生だった40年近く前の感覚で話をしていました。
失礼しました。
小学校の先生と言えば、ずっと不思議に思っていました。
彼らは右と左がよく分からないのです。
レントゲンの検査などで「右を向いてください」と言っても、小学校の先生は反対向いたり、しばらく考えてから右を向いたりします。
「この人たちは賢いはずなのにどうして方向感覚がないんだろう?」とずっと思ってたのです。
これも最近やっと理由が分かりました。
小学校の先生は子どもたちに「さあ右手を挙げて」と言いながら自分は左手を挙げるのです。
「右を向いて」と言いながら自分は左を向かなくてはならないのです。
左右が分からなくなるのは一種の職業病なのでした。
これも完全に誤解していました、ごめんなさい。
(2009年10月9日)
山崎豊子の「不毛地帯」がドラマ化されるようです。
ミーハーな私はそういうのに弱くてさっそく本を買ってきて読み始めました。
まだ第1巻ですが、ものすごいです。
それはともかく新潮文庫を読んでいると不景気の波をまともに感じさせられます。
しおりの紐(スピン)の長さです。
左から平成5年の「カラマーゾフ」、平成19年の「その名にちなんで」、そして発売したばかりの「不毛地帯」です。
ここまで短くなると読みにくくて仕方がないのですがシベリア抑留に比べたらこんな苦労など……と自分に言い聞かせながら読んでいるところです。
(2009年10月14日)
というわけで「不毛地帯」第1回放送を見ました。
私は原作の第1巻を読み終えたところで、放送は2時間枠で第1巻のほとんどを消化してしまいました。
来週には追いつかれてしまうのではないかと戦々恐々です。
しかし考えようによってはこれは今流行のメディアミックスもどきと言えなくもありません。
週刊コミック誌で発表されたマンガがその週の放送でアニメ化される、「ドラゴンボール」のようなパターンです。
30年以上前の小説を読みながら時代の最先端を走っているようで何となくかっこいいです。
(2009年10月16日)
先日の朝日新聞の経済コラムで「関空は米軍基地にすればいい」と書いてあってびっくりしました。
私も以前から同じことを考えていたのですが、さすがに素面では言えず、酔っ払った時に冗談めかして言うのが精一杯でした。
やりますね、朝日新聞。
ところで今までは関空は米軍基地に、伊丹は廃止、神戸空港を拡充して新・関西空港にすればいいと思っていたのですが、神戸沖だと京都からが不便です。
そこで府庁移転に合わせて舞洲、夢洲に新・関空を作ってさらにリニア新幹線の新・新大阪駅を引っぱってきて、大阪湾の中心に関西圏の新都心を建設するというのはどうでしょうか。
問題はその時神戸空港をどうするかです。
神戸空港もいっそ廃港にしてその代わりにUSJと港湾機能を大阪から譲ってもらいましょう。
大阪の人には「勝手に造った赤字空港を廃港にするからゆうて何でUSJ譲ったらなあかんねん」と怒られそうですが。
(2009年11月13日)
「罪と罰」のずーっと先、第5部でレベジャートニコフが「婦人問題」について語るところがあります。
リザヴェータの妊娠とその「婦人問題」との関連も興味深いのですがそれは第5部まで置いておきましょうか。
さて全く話は変わりますが、クリエイティブで一見華やかそうで、でも楽(らく)そうな仕事に若者は集まります。
ネイルアーティスト、シナリオライター、カメラマン……、どの仕事も実際にはものすごく大変だと思うのですが若者の嗅覚にはいつも感心させられます。
私もこれから人気の出そうな仕事を一つ見つけました。
「仕分け人」
これから若者の間で人気爆発すること間違いなしです。
(2009年11月25日)
民主党政権の数々のマニフェスト達成のための切り札とも言うべき「事業仕分け」が2009年11月11日から始まった。
仕分け人の鋭い突っ込みに担当官僚がたじたじとなる場面がTVでも多く流され、非常に有効な政治パフォーマンスではあった。
電車に早く乗ろうと扉のスペースをふさいでいる人がいます。
扉には二人並んで出られるだけの幅があるのですが、その人がふさいでいるために一人ずつしか降りられず、乗客が降りてしまうまでに倍の時間がかかってしまいます。
早く乗ろうと焦るあまり、結局自分が乗るのが遅くなってしまうわけです。
しかしこういうことは他人の行動ではよく気がつくのですが、自分のこととなると見えなくなるのが怖いところです。
自分ではよかれと思ってやっているつもりなのに周りから見ると間が抜けている……、そんな場面はたくさんありそうです。
実は私もこの間初めて気がついたことがあります。
エレベーターに乗る時、今までは階数ボタンを先に押して「閉」ボタンを押していましたが、急ぐ時は「閉」ボタンを先に押すべきでした。
今の今まで気がつきませんでした、お恥ずかしい。
(2009年11月27日)
民主党の仕分け作業についての新聞記事を見て驚きました。
民主党は開業医の優遇税制を廃止する意向を示したが、医師会が猛反発している―――という記事です。
そんな優遇税制があるのなら廃止される前に少しでも恩恵にあやかろうと思って調べてみました。
それは「租税特別措置法第26条」のことでした。
これなら私も知っていました。
「利益」ではなく「売り上げ」が2500万円以下の診療所にはその72%を経費として認める、というものです。
この経費率は売上高が上がると低下して5000万円以下の診療所では57%(プラス490万円の加算金)となります。
事業主の方ならお分かりだと思うのですがどの業種にしても経費率はこんなものではないでしょうか。
こつこつと領収書を集めればこの経費率を上回るし、経費の計上をサボれば下回る。
優遇と言うよりはむしろ「経費率が72%でよければ領収書等をいちいち提出しなくてもいい」という意味合いの簡易税制だと思うのです。
しかもこれは売り上げ5000万円以上の診療所には適用されません。
大儲けしている開業医とは何の関係もない制度です。
どういったタイプの診療所がこの制度の恩恵を被っているでしょうか。
患者数が多いが人件費率が低い。
大きな検査機械が必要でなく検査自体も少ない、薬も院外処方箋。
これはまさに小児科です。
「優遇」税制とは決して思えませんが他業種と比べて不公平ならこんな制度は廃止すればいいと思います(税収はむしろ減るような気もしますが)。
しかし小児科開業医くらいにはこの「優遇」税制を続けてあげてもいいんじゃないかな、と思ったりするわけです。
(2009年11月30日)
先日近所のレンタルビデオ店が店じまいしてしまいました。
駅と自宅の真ん中にあってとても便利だったのですがとても残念です。
しかたなくちょっと遠くのビデオ店の会員になり、宅配型の DVD レンタルサービスにも加入しましたが家で見る映画の数はすっかり減ってしまいました……、と思って今年見た映画を数えてみると、何と例年のほぼ倍近い数でした。
行きつけのビデオ店がなくなったことによる減少よりも不景気で外食が減ったことによる増加の影響が大きかったようです。
おそるべし、この不景気。
(2009年12月7日)
デフレにも困ったものです。
住宅ローンを抱える身としては100倍くらいのインフレになればローンが一瞬で消滅して助かるのですが。
それは極端としても、デフレになると給付額が一定の年金受給者が有利になり、景気や物価によって給料が変化する現役世代が不利になります。
今やTVの視聴率や新聞の購買部数を支えているのは高齢者層ですからマスコミはあまりこういう側面は伝えてくれません。
このままデフレ傾向が進むと現役世代は職場を失い、賃金はカットされ、老後の年金もどんどん削られます。
しかし民主政治の根幹は最大多数の最大幸福ですから人口比率の多くを占める高齢者層の決定がそうであるなら私たちはそれに従わざるを得ません。
現役世代の声を政治に反映させるためには若い世代の選挙人口を増やすしかないと思います。
18歳成人法に反対している人を見ると、敵が襲ってきているのに身内でつまらないメンツを張り合っているダメ軍人の姿をついつい思い出してしまうのです。
(2009年12月9日)
いかにデフレになろうとも年金の給付額を引き下げるのはなかなか難しいです。
しかし財源がないのも確かで、さらに景気のどん底で政府は消費税の引き上げなんてとても口に出せません。
とすると残された道は年金生活者に無報酬で働いてもらうしかないと思うのです。
子どもの頃によくやった「肩たたき券」や「お手伝い券」の応用です。
まだまだ元気な退職者は元気でない人の介護を担う。
その代わりに「介護ポイント」をもらい、自分が介護が必要な立場になった時にそれを使ってサービスを無料で受けるのです。
実際の介護には専門的な技能が求められるので退職者を現場で使うのは難しいかもしれません。
それならば町や公園の掃除、通学路や夜道のパトロール、駐車禁止や路上喫煙の取り締まりなど、専門性の低い労働を退職者に任せて、それで余った労働者を介護の現場に配置するというやり方でもいいかもしれません。
現役世代がボーナスカットで苦しんでいるのに新聞には特殊性の高い高額な海外旅行の広告がずらりと並んでいる、これはどう考えてもおかしいと思うのです。
(2009年12月11日)
もうそろそろ1年が終わります。
先日は「不景気のせいでDVDで見た映画の数が増えた」などと書いてしまいました。
その理屈で言うと読んだ本の数も増えていいはずですが、数えてみると例年より微減でした。
景気と映画の関係はトンデモ理論だったのかもしれません。
せっかく数えたついでに今年読んだ本のベスト3でも選びましょうか。
第3位:山崎豊子「不毛地帯」
年初に読んだ「三国志」を自分へのご褒美に入れようかと思ったのですが、やっぱりより面白いこっちに軍配を上げましょう。
ただし今放送されているドラマ版の方が原作よりも面白いです。
というわけでビミョーな入賞です。
第2位:ブルース・チャトウィン「パタゴニア」/カルロス・フェンテス「老いぼれグリンゴ」
続刊中の河出世界文学全集の1冊です。
今年から第2期に突入しましたが作品のレベルはむしろ前期よりも上がったような気もします。
ただ、2期では長編が少なくなり、たいていが1冊に中編2作という組み合わせ。
そして2編がそろって面白いというのがなかなかないのです。
これは「老いぼれグリンゴ」は最高、「パタゴニア」はもう一つってところで2位にとどまりました。
第1位:ダニロ・キシュ「庭、灰」/イタロ・カルヴィーノ「見えない都市」
というわけで総合点でこちらが今年のナンバー1となりました。
キシュという人は全く知りませんでしたがなかなかすごいです。
訳文もきれいで読んでいてうっとりするほど。
「見えない都市」もヘンな小説ですが悪くないです。
(2009年12月14日)
本のベスト3を発表したついでに映画のベスト3も決めましょうか。
全部レンタルDVDでの視聴なので少し時期遅れの作品ばかりです。
第3位:「ラブファイト」
これは意外な収穫でした。
青春ボクシングものなのですが、林遣都と北乃きいの若いカップルの演技がとても瑞々しくて爽やかです。
と思っていると、後半そこに強引に割り込んでくる大沢たかおと桜井幸子の大人のドラマ。
まるで「ガキの学芸会は引っ込んでろ」とばかりに遠慮も手加減もなくドラマの主役を奪おうとするのです。
見ている方はこの映画はどこに向かうんだろうと不安になってしまうのですが、最後には若手がきっちりとベテランを凌駕する演技力で引っくり返してくれます。
何回も出てくる長回しシーンで見せる若い二人の演技には鳥肌が立ちます。
第2位:「ハンサム☆スーツ」
普段はこのコラムでも難しい顔してドストエフスキーの話などを書いていますが実はコメディが大好きです。
今年のコメディのベスト1は文句なくこれです。
きっちり予定調和に従って進むストーリー。
ハマりすぎたキャラクターたち。
ベタベタに展開するのですが、それでも面白い。
これぞコメディの王道だと思うのです。
第1位:「おくりびと」
これはもう何も言うことはありません。
ツボを心得たシナリオ、奇跡的な広末涼子の演技、そして音楽。
チェロ弾きのはしくれとして私もさっそく主題曲の楽譜を入手して子どもたちのためのコンサートの楽器紹介コーナーでワンフレーズだけ弾きました。
子どもたちの反応はあまりよくなかったですが……。
こうして見るとアメリカ映画に元気がないですね。
ベスト5なら「フロスト×ニクソン」がかろうじて入ったのですが、ハリウッドにはもっと頑張ってほしいものです。
(2009年12月16日)
いよいよ年末ですね。
3か月前にまとめ買いした本が残り1冊になってしまいました。
例年なら正月休みには大長編に挑戦しようとうきうきする頃なのですが、今年は何を読むかまだ決まっていません。
あと1冊を読み終えるまでに決めなくてはなりません、未読の大長編って何かあったかなあ……と思っているとこんな本がありました。
雑誌「考える人」08年春季号「海外の長篇小説ベスト100」、これは自分で読書計画を立てられない私のようなモノグサ星人にはぴったりです。
さっそく買ってこようっと。
というわけでこの欄の更新は今回が年内最後です。
また来年お会いしましょう。
くれぐれもお身体にはお気をつけください。
(2009年12月21日)
神戸元町ダイアリー2009年(4)夏のオカルト特集<main>神戸元町ダイアリー2010年(1)宇宙人の陰謀