健康ディクショナリー2009年(1)

女性の方にお願いします。
胃カメラの検査の時にはズボンで来てください。
ズボンの方がスタッフが身体を支えやすいのです。

 

(2009年2月18日)

昨日「医療費をいかに安く抑えるか」という番組をやっていました。
番組そのものはテーマがピンボケの上に出演者の反応も冴えなくて全く面白くなかったのですが、病院での支払いをなるべく安く済ます方法、という発想自体は斬新だと思いました。
病気になった時にまず大病院に行くべきかそれとも診療所に行くべきか。
同じ薬をもらっているのにどうして値段が違うのか。
入院するとすれば月初めがいいのか月終わりがいいのか、などなど。
医療費の計算方法はかなり複雑で、実際私もコンピュータ任せです。
全てを理解しているとは言えません。
それでも疑問があれば一緒に考えたいと思います。
どうぞ訊いてください。

「少しでも支払いを安くする方法はないだろうか?」

相談に乗ります。

 

(2009年3月18日)

ヘリコバクター・ピロリ菌という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。
胃潰瘍やある種の胃癌の原因になると言われている菌です。
今年のヘリコバクター学会で発表されたガイドラインによると、ピロリ菌が見つかった場合には胃が正常であっても除菌した方がいいという結論になりました。
私はこれまで胃が正常であれば除菌する必要はないという立場でしたが、学会がここまで踏み込んで指針を決定した以上当然従います。
検診等でピロリ菌陽性と診断された方はどうぞご相談ください。

 

(2009年3月23日)

胃の粘膜が正常で本人に自覚症状がなくてもピロリ菌は退治した方がいい、そういうことになれば当院は一つの矛盾に突き当たってしまいます。
ずいぶん前にこの欄に書いたことがあるのですが、当院の胃カメラは「安い」のです。
大きな病院の医師だと胃の粘膜に少しでも異常な部分があるとすぐ細胞検査をします。
ところが当院にかかりつけの患者の場合「正常ではないが次回の検査までは置いておける」という判断が成り立つことがあります。
ちょっと赤くなっていたり、明らかに良性のポリープだったり、そういうのを何でもかんでも細胞検査に回さないのです。
もちろん必要な場合は検査しますが、全般的に当院の胃カメラは安いと思います。
ベテラン医師が行う検査が若手医師が行う検査よりも安くなってしまうという医療制度上の問題はさて置くとして、今後ルーチンとしてピロリ菌検査を追加するべきかどうか迷っているところです。
もし検査を追加すると、初診で胃カメラをして5千円でお釣りがくるところが倍近い値段になってしまいます。
しばらくは一人ひとりと相談しながらピロリ菌検査を追加するかどうか決めていくことになりそうです。

 

(2009年3月25日)

先日「医療費を安くする方法は医者に聞くのが一番」と書きました。
ただし病院勤務の医師は診療報酬の仕組みについて詳しくないので、聞くなら開業医がいいと思います。
研修医時代、私の指導医は医療費の仕組みについても詳しかったので「なるべく患者負担を少なく治療する方法」を教えてくれました。
経済的なことだけではありません。たとえば入院が必要かどうか微妙な急病の場合、指導医はこう教えてくれました。

「お父さんが入院すると仕事では多少困るかもしれないが家族はそう困らない、しかしお母さんが入院するとその家族は機能停止してしまう。だからお母さんを入院させる時には家族全員を入院させるくらいの覚悟でバックアップしなくてはならない」

医療の現場は医学だけで進んでいると思っていた私は治療にも経済的、社会的側面があると聞いて驚いたものです。
そういうことまで考えて入院や検査計画を立てる勤務医はごく少数だと思います。
(そんなことを考えている暇などない、というのが現実なのですが)
 急な入院、家族の大病、人間ドックの選択などなど、人生にはお金が必要になってくる出来事がたくさんふりかかってきます。
そういう時に助言してくれる存在として「かかりつけ医」を一人確保しておくというのは人生をお得に過ごすための最も手軽な方法だと思います。

 

(2009年3月27日)

豚インフルエンザが地球の反対側で猛威を振るっています。
日本は最悪なタイミングでゴールデンウィークを迎えます。
連休明けには豚インフルエンザは日本にも上陸してくるでしょう。
タミフルの備蓄が間に合えばいいのですが。

 

(2009年4月27日)

当初「豚インフルエンザ」と呼ばれたH1N1型インフルエンザが日本で初めて確認されたのは5月9日の成田空港。
その後5月16日には神戸市内でも感染者が確認され、その後神戸市民は数々の言われない風評被害を受けることになった。


豚インフルエンザはどうやら弱毒性だったようで、それほど過剰に反応する必要はなさそうです。
しかし今後毒性の変化の可能性もありますから検疫の体制はしっかり整えておいた方がいいと思います。
ところで素朴な疑問なのですが、体温を測定したり簡易判定キットでインフルエンザ抗体を調べたりするのに専門的な技術など必要ないのに、どうして飛行機が着陸してから検査をするのでしょう?
大抵の場合空の旅は退屈でしかたがないのにどうしてその時間を使って検査をしないのでしょう?
不思議です。

 

(2009年5月8日)

新型インフルエンザが猛威を振るっているというニュースが猛威を振るっています。
弱毒型ということが確定したのにどうして自治体が修学旅行やイベントの中止を要請するのかよく分かりません。
対応はウイルスの毒性によって変えなければならないという意識がないのでしょうか?
対応にメリハリをつけられない自治体の住民にとって一番怖いのは来るべき強毒型ウイルスのパンデミック時です。
自治体はその時にも今回と同レベルの対策で済ましてくる恐れがあります。
強毒型蔓延の時にはイベント中止を「要請」でなくしっかり「命令」してください、交通機関も全て止めてください。
お願いします、兵庫県さん、神戸市さん。
というわけで当院からのお知らせです。

********

今回の新型ウイルスは弱毒型なので従来の季節性インフルエンザと同等の対応を取ってください。
風邪のような症状がある人は外出をさけてください。
免疫力の弱い人も人ごみは避けた方がいいでしょう。
治療法は対症療法に限られます。栄養と水分の摂取と安静にまさる治療はありません。
また新型ウイルス判定検査もパンク状態にあります。
インフルエンザが新型ウイルスかどうか区別する治療上の意味もありません。
今後は感染経路特定のための特別な検査以外は認められなくなる可能性があります。
インフルエンザが疑われる時にはいきなり病院にかからず、まずかかりつけ医に電話で相談してください。
現時点では特にイベントなどを中止する意味はありません。
ただし、近い将来には強毒型のインフルエンザが流行すると予想されています。
その場合には全てのイベントが中止になりますし交通機関もストップします。
1週間から10日ほど外出できなくなります。
今回の流行はその時のことをいろいろ考えるいい機会かも知れません。
1週間分の食料備蓄をはじめ、ウイルスを家に持ち込まないために準備しておくべきことをご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

(2009年5月16日)

私たち医師の責任を痛感しています。
おそらく厚労省や自治体の感染対策チームに属しているのは免許は持っているけれど現場の臨床経験のない医師なのでしょう。
彼らがピント外れの施策を繰り出すのはある程度理解できます。
しかしそれに対して地域の医師会などがどうして現場の声を上げないのかが分かりません。
「弱毒型だからイベントを中止する必要などない。発熱外来なんかに行けば感染の機会が増えるだけ。かかりつけ医のもとで普通に治療を受けるべき」
こうした当たり前のことをどうして表明しないのでしょう?
私たちは医師の待遇改善やレセプトオンライン請求反対とかそんなことばかり主張する前に、ちゃんと医療に関するメッセージを発信するべきだと思います。

 

(2009年5月20日)

それにしても思うのです。
神戸市民なら感じているはずです、新型インフルエンザは季節性インフルエンザよりも症状が弱い、と。
そして流行の規模だって季節性に比べるとはるかに限定的です。
マスクの効用だって信じている人は少ないでしょう。
一人ひとりのマスクに対する思い入れは決して強くはありません。
それなのにマスコミがちょっと煽ればこのマスク狂騒曲です。
一人ひとりにそれほど信念があるわけではないのに全体として一色に染まる、やはりこういう現象を目の当たりにすると怖いです。
共産党や旧社会党の空想的平和主義は私でもさすがに現実味が薄いと思いますが、仮に国民の99%が賛成しても戦争を起こせないような仕組みは作っておくべきかもしれない、などと思ってしまうのです。

 

(2009年5月22日)

こういう状況になってみると、問診の時顔色や表情などからいかに多くの情報を受け取っていたか分かります。発熱外来でも一般の外来でも、診察の時にはマスクを外した方が得だと思います。

 

(2009年5月25日)

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