神戸元町ダイアリー2009年(2)

e-Taxにチャレンジ!

(第1回) 

確定申告がオンラインでできると聞いたのでチャレンジしてみました。
公的な書類です。
ネットに接続してワンクリックというわけにはいかないようです。
まずは住民基本台帳カードを手に入れる必要があります。
一時物議をかもした「住基カード」ですが入手するのはそれほど面倒ではありません。
パスポートか運転免許証を持って市役所に行って言われるがままに申請書に必要事項を記入するとほんの数分でできあがります。
芦屋市の場合は今は手数料も必要ないそうです。
さらに窓口の前でもじもじしてると、係の人が気を利かせて「確定申告のオンライン申告のためですか?」と訊ねてきます。
「はい」と答えると次に「公的個人認証サービスの電子証明書」の取得作業に移ります。
この時点では実は私は自分が何のために何の書類を書いているのかさっぱり分からなかったのですが、とにかく言われるがままに書類を書いて、暗証番号を入力すると待つこと数分で書類とCD‐ROMを渡されます。
こちらの手数料は500円でした。 
30分足らずで「住基カード」と「公的個人認証サービス利用者クライアントソフト」が手に入ったわけです。
あとで分かったのですが、あとの作業で「住基カード」の中に「電子証明書」が埋め込まれたらしいです。
そうそう、「住基カード」には写真入りバージョンと写真なしバージョンがあって、写真入りバージョンが欲しい場合には申請の際に顔写真が必要です。
私は写真なしバージョンを申請したので必要なのは運転免許証と印鑑と500円だけでした。
これで第1段階終了です。

 

(2009年3月2日)

(第2回)

次にICカードリーダライタなるものが必要です。
つまり「住基カード」の内容を読み取ってパソコンに取り込むための装置です。
対応機種一覧表が市役所でもらった「公的個人認証サービス利用者ガイド」に付いているのでそれを握りしめて家電ショップに行きます。
パソコンの周辺機器コーナーにはカードリーダライタがたくさん並んでいます。
どれも「全てのメディアに対応!」と書かれているので、対応一覧表を見ることなく一番安いのを手に取ってレジに持っていこうとします。
そこでふと考えます。
こういう時よく考えずに行動していつも失敗しているじゃないか。
一応店員さんに訊ねてみました。
やっぱり違ってました。
すぐ隣のコーナーに「公的個人認証サービス用」のカードリーダライタのコーナーがちゃんとありました。
念のために対応機種一覧を店員さんに確認してもらって購入。
2千円ちょっとでした。

 

(2009年3月4日)

(第3回)

なかなか実際の申告作業にたどり着けません。
カードリーダライタを入手するとこれを手持ちのパソコンにインストールしなくてはなりません。
説明書には「カードリーダライタを接続するより前にインストールしてください!」と強調してあります。
普段ならこういうところも読み飛ばしてとりあえず接続してしまって失敗するのですが、今回は我ながら慎重です。
インストールCDを使って手順どおりに進めます。
そしてさらに市役所で渡された「公的個人認証サービス利用者クライアントソフト」もインストールします。
これがうまくいくと、確定申告書類を送信する人物が間違いなく私本人であると兵庫県知事によって証明されることになるわけです。
これもCDを放り込めば自動的にとんとんと進む、はずなのですが、ここで「エラー」が出ます。
どうもパソコンとの相性が悪いとエラーが出るみたいです。
「インストールしなおすと問題が解決される場合があります」と表示されるのでしつこく何度もインストールしなおしますが、やはりダメです。
「JPK利用者ソフト」なるものをインストールしたことになっているはずなのに、クリックすると「インストールに失敗しました」と表示されるのです。
「JPK利用者ソフト」とは別に「証明書表示ツール」というものもインストールされています。
ためしにこちらをクリックするとこちらは何とか動いているようです(自信はない)。
証明書が表示できているということは県知事の承認も得られているはずだ、と勝手に思い込んでインストール作業はここまでとします。
諦めの早い私でした。

 

(2009年3月6日)

(第4回)

若干の不安はあるものの一応送信環境が整ったので、「e-Tax」のサイトに接続します。
ページのトップに申告までの流れがいろいろと書いてあります。
何なに、「開始届出」を提出しろ、と? 
次にそのために「ルート証明書インストーラ」をダウンロードしろ、と? 
それからさらに「e-Taxソフト」をダウンロードしろ、と?
ダウンロード自体は簡単ですが、何しろ利用者番号や暗証番号がごちゃごちゃになってしまいそうです。
結局最終段階までに必要な設定項目は
  住基カード暗証番号
  e-Tax暗証番号
  納税用確認番号
  納税用カナ氏名
  利用者識別番号
  同、暗証番号
以上6点でした。
これはまとめてメモしておいた方がいいと思います。

 

(2009年3月9日)

(第5回)

いよいよ「e-Tax」画面を開きます。
右上に「基本的な流れ」というチェックボタンがあるのでそこをクリックするとかなり細かくナビゲートしてくれるようになっています。
基本的には左のメニューに沿っていけばいいようです。
「利用者選択」→「新規作成」ここで申告書類をパソコン内に格納するためのフォルダを作ります。
さきほどメモした「利用者識別番号」が必要になります。
他に「利用者名」も入力しますが私は「納税用カナ氏名」を入れておきました。
「作成」→「申告・申請等」新規作成そして作成する帳票を選択します。
昨年の申告書類を見るとどうやら「申告書B」「青色申告決算書」「同、付表」「所得の内訳書」の4つの帳票が必要なようです。
これらを選んでフォルダに入れて、これで申告書類への記入ができるようになったわけです。 
ようやくスタート地点。
やれやれです。

 

(2009年3月11日)

(第6回)

ここからは昨年の申告書類を見ながらの作業になります。
当院くらいの規模ですと収入と支出の項目も規模も毎年同じなので、昨年の数値を今年の数値に置き換えるだけでほぼOKです。
しかもe-Taxソフトでは数値を入力すると金額合計を自動的に処理してくれるのでかなり楽です。
実質的には数時間程度の作業で入力が終わります。
これを送信します。
まずは送信する帳票を選んで「納付情報登録」を行います。
そしてそこに「電子署名」を刷り込んで、そして送信です。
右蘭の「メッセージボックス」をクリックすると「所得税申告」が「受付完了」となっていますので、どうやら無事に送れたみたいです。
問題は書類に不備があった場合です。
その場合は電話がかかってくるのでしょうか? それとも郵送? あるいは電子メール? 
送信はしたものの、もう一つ手ごたえがなくて宙ぶらりんの感じです。
コラムの読者の皆様からも「電子納税で引っぱりすぎ」という声がそろそろ寄せられていますので、この話題はそろそろ終わりにします。
次は違う話題でお会いしましょう。

 

(2009年3月13日)

今後の手続きのためにもと思って頑張って作ったマニュアルだったが、税制上の問題でe-Taxが利用できたのはこの年限りだった。
手続き代、機械代、返せー! 


この間のイベントにあたって、ホールの人にちょっとしたお願いをする機会がありました。
イベント終了後、荷物を運び出す時間がなかったので一晩会場に置いてもらいたかったのです。
(翌日には公演がないので荷物を置いていても基本的に誰にも迷惑はかかりません)
公立のホールですからこういうことがスムーズに運ぶとは私も思っていません。
ホールの受付担当者、ホールの現場担当者、ホールの管理責任者、それから警備担当者、これだけの部署の人たちにお願いして回ります。
するとみんなが言うのです。
「うちの部署はいいが、掃除の人が何と言うか……」
面白いですね、ホールの運用で一番発言力があるのは掃除の人みたいです。

 

(2009年3月16日)

福井晴敏の「Op.(オペレーション)ローズダスト」を読みました。
この人の小説はとにかく厚くて熱いので読むのに大変なエネルギーが要るのですが、何とか読み終えました。
予想通り冒頭から沸騰する青春、たぎる愛国心、突っ走るアクション。
緻密に書き込まれたテクノロジー、平和ボケ日本人への爆発する憤懣、それでいてメルヘンチックな美少女キャラ。
まさに福井ブシ炸裂の熱血長編でした。
ただ、下巻丸々1冊を費やして描写されるお台場壊滅シーンはさすがに長かったです。
それから「ローレライ」にも共通するのですが、敵役の狙いが何かもう一つ分からないのでかなり脳内で補完する必要があります。
上手に映像化すればエンターテインメント巨編になる可能性は大、と言いつつ、それなりの忍耐力を持った人だけにお薦めします。

 

(2009年3月30日)

神戸大丸の「ミロ展」に行ってきました。
さすがに人が一杯でした。
この人の魅力は
「これくらいなら自分にも描けそうな気がする」、
「この程度の前衛なら理解できるような気がする」、
「この人のリトグラフ程度なら頑張れば買えそうな気がする」
という「手の届きそうな」感じだと思いました。
展示されている作品の数々も確かに元気なのですが、見ている人たちの表情が元気なのが印象的な展覧会でした。

 

(2009年4月1日)

先日ある人と打ち合わせの日にちを電話で相談していた時に「その日はジョウキョウしているのでだめです」と言われてしばらく考え込んでしまいました。
「上京」でした。
そんな言葉はとっくに死語になっているものと思っていました。
この間読み終わった小説では刑事たちが被疑者の行方を追いながらこう言っていました。
「奴さんの立ち寄りそうなところは……」
時代劇ではなくて現代の刑事モノです。
いくら年配の人でも「奴さん」はないのではないでしょうか。
瀬戸内寂聴が若者向けにケータイ小説を書いていた時に「天真爛漫」と書いたら編集者に「天然」と直されたそうです。
「天真爛漫」は視覚的にも素敵な言葉ですがさすがに日常会話で耳にすることはありません。
というわけで以上三点、言葉のうつろいを感じた今日この頃でした。

 

(2009年4月3日)

これまで居酒屋に入るとまず「造りの盛り合わせ」を頼んできました。
しかし最近お刺身を美味しいと思わない自分がいます。
流通システムはどんどんよくなっているはずなので、鮮度自体はどの店も問題ないはずです。
むしろどの店でも新鮮な魚を出せるようになってきて初めて「新鮮だからといって美味しいというわけではない」ということが浮き彫りになってきたと言うべきか、今では「造り盛り」は自分では絶対に注文しないメニューになってしまいました。
食通というわけではないのですが、最近食に関していろいろわがままになっている自分に困っているところです。

 

(2009年4月8日)

フランス料理店やワインバーなどでワインの肴としてチーズが出されることがあります。
これも今まで何の疑問も抱かず出されるがままに食べてきましたが、最近になって違和感を感じるようになってきました。
「これは真っ当な食べ物なのだろうか?」
私はチーズは大好きでチャンスさえあればどんな料理にでも入れてしまうのですが、ソースに溶かし込んだり、オーブンでとろかしたり、熱や手間を加えてこそ生きる素材だと思います。
美味しい味噌や美味しい漬物や美味しい塩があるのと同じ意味で美味しいチーズが存在するのは分かりますが、これを単品でメニューに載せるのはあまり真っ当でないような気がします。
前回のコラムとも関連するのですが、日本人は素材そのものの美味しさを味わう能力が高い民族だと思います。
だからと言って、いや、だからこそ、ただ新鮮な刺身や高級なチーズを切って出してよしとするやり方は間違っていると思うのです。

 

(2009年4月10日)

つくづく鍋とは合理的な料理だと思います。
最初は薄味のスープが具材のだしで少しずつ味が濃くなっていきます。
まさに一口ずつ味わいが深まっていくわけです、こういう調理法は他にありえません。
ところが非合理的な鍋もあって、その代表はしゃぶしゃぶです。
私は主にゴマだれで食べるのですが、肉をつければその一口ごとにたれが薄くなっていきます。
どんどん美味しくなくなっていくのです。
そこで考えました。濃縮ゴマだれペースト。
これを器の底に塗ってあらかじめ水分を飛ばしてかちかちにしておきます。
食べる時にはこのペーストが少しずつ溶け出して、いつまでも味が濃いままという仕組みです。
田楽鍋の原理です。
どこかに売ってないものでしょうか。

 

(2009年4月13日)

しゃぶしゃぶの問題点は濃縮ゴマだれペーストで解決可能だとして、解決方法が全く思い浮かばない非合理的な料理がまだあります。
ふぐ、です。
湯引き、てっさ、てっちり、という「てっちりコース」の基本3品を全く同じ味付けで食べさせるというのはいかがなものでしょうか。
会席料理だろうとフレンチのフルコースだろうと中華の宴会コースだろうと、4品中3品までが同じ味つけなどということは絶対にありえません。
なぜかふぐだけが唐揚げ以外全てポン酢で食べさせられるのです。
解決策が全く思い浮かばないのも事実です。
しかし素人が思い浮かばないからと言ってプロの料理人が努力しないままでいいはずはありません。
新しい味わい方の発明をお願いしたいものです。

 

(2009年4月15日)

焼肉は大好きなのですが、霜降り肉の存在意義が全然分かりません。
肉全体に散らばった細かな脂肪の粒子が口の中で溶解してとろける……のですが、そのあとその脂肪分は胃を何時間ももたれさせます。
もっと若い頃に食べれば美味しく味わえたのでしょうか。
ところが若い時には経済的な事情で霜降り肉など食べられませんでした。
特上ロースを美味しく思える人たちの手には届かず、手が届く人たちには美味しくない、これをミスマッチと言わずして何でしょう。
クリニック周辺の焼肉屋でも霜降り系以外の「ハラミ」「ツラミ」などの肉質や品揃えにこだわる店が増えてきました。
従来の霜降り信仰に囚われた店はあっという間に時代に置き去られるでしょう。
客である私たちも店のためには
「上や特上はもたれるから並ロースと並カルビをお願いします」
と堂々とオーダーした方がいいと思います。

 

(2009年4月17日)

食べ物ネタで引っぱります。
ベビーリーフやルッコラは家庭でサラダを作る時には重宝します。
ボリューム感があるし見た目も鮮やかです。
しかしこれがフォークとナイフの店で出てくると、食べるのに悪戦苦闘することになります。
ベビーリーフが出てくると「ここのシェフは自分の料理を食べてないんだな」って思うのです。

 

(2009年4月20日)

食べ物ネタの途中ですが……、このところものすごい勢いで嘔吐下痢症がはやっています。
ウイルス性の感染性胃腸炎です。
例年なら梅雨の時期にはやる病気なのですが、気温のせいか今年は2ヶ月近く早い流行です。
食品の調理、保存、それから手洗いには十分気をつけてください。
激しい下痢の場合は早めに受診をお薦めします。

 

(2009年4月22日)

1998年、和歌山市の夏祭りでカレーを食べた67人に砒素中毒症状が発生、うち4人が亡くなった。
カレーに亜砒酸を混入したとして近所の主婦が逮捕された。
物的証拠はなかったが検察は状況証拠のみで死刑を求刑、被告は犯行を否認したが2009年4月21日最高裁は被告の上告を棄却し死刑が確定した。
 

当時の異常な報道ぶりが改めて思い出されます。
和歌山カレー事件のことです。
どのチャンネルを見ても警察発表の鵜呑み垂れ流しと伝聞のそのまた伝聞程度の噂話。
民法の報道バラエティならやむを得ないかと思っていましたが、NHKのニュースが伝聞情報を流している場面を見るにいたってTVジャーナリズムに完全に絶望したのをよく憶えています。
当時の過熱報道から距離を置いていた立場からすると今回の死刑判決も相当異常です。
全員一致でこんな判決を下すのがプロの裁判官ならば、素人裁判員の方がはるかにまともではないかと思えて仕方ありません。
今回の判決で気になったのがスプリング8を使った砒素の鑑定です。
鑑定では、報道によって鑑定の文言が違うのですが、鍋に残っていた砒素と被告の自宅から発見された砒素が同一の物であったとしています。
最先端の技術を駆使して鑑定したのだから間違いないだろう、と普通は思ってしまいがちです。
ところがスプリング8の分析には間違いがなくても人間の判断力には予断や思い込みでブレが生じます。
検察から4種類、弁護側から5種類、そして被告の自宅から発見された1種類、合計10種類の砒素に1から10の番号をつけて鑑定人に検査させて、その中から鍋に残った砒素と同一の物を法廷で発表させます。
(その時点では正解は裁判官しか知らない)
それが正解なら初めて鑑定が正しいと言っていいと思います。
不正解ならこの事件に物的証拠は存在しなくなり、逆に無罪の可能性が高くなります。
検察主導で行われた今回の鑑定手法は絶対的に間違っていると思います。

 

(2009年4月24日)

神戸元町ダイアリー2009年(1)乱歩のミステリ<main>神戸元町ダイアリー2009年(3)新型インフルエンザ騒動


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