私も以前タバコを吸っていたので一仕事終えたあとの一服が何物にも替えがたいという気持ちは分かります。
特に大きな手術のあとの一服の美味いことと言ったら!
とは言うものの、手術の片づけのあと手術室のスタッフと焼肉に繰り出すのと、手術後の一服とどちらが「替えがたい」かと言うと焼肉に決まっています(手術のあとはなぜか焼肉が食べたくなるのです)。
つまり私の中ではタバコによって得られる快楽は焼肉によって得られる快楽よりもはるかに小さいのです。
ニコチンの感度によってこの快楽に個人差は当然あるでしょう。
しかし、それでも「あの程度」の快楽のために有害物質に肺をさらすのはどう考えても割りが合わなさ過ぎます。
タバコの快楽は何物にも替えがたいと語っていたジャーナリスト筑紫哲也が肺癌で亡くなりました。
ヘビースモーカーだった彼が、肺癌と分かってからは禁煙したそうです。
それはタバコが健康を蝕むと認めたということなのか、蝕むとすればそれは個人の嗜好に任される範疇なのか、今までの自分の発言は適切だったのかどうか。
彼にはジャーナリストとしての発言を残しておいて欲しかったと思います。
(2008年11月10日)
ジャーナリストと言えば、古舘伊知郎が筑紫哲也の死を伝えたあと「私たちTVジャーナリストにとって筑紫さんの存在は〜」と語っていました。
愕然としました、彼はジャーナリストのつもりだったのですね。
私は筑紫哲也の番組を見たことがないので彼がどういうレベルのジャーナリストであったかは判断できません。
古舘伊知郎の番組もほとんど見たことがありません、しかし先日たまたま見た時、彼はイージス艦事故の海難審判について伝えていました。
審判が始まったというニュースでした。
審判が終わってみないと事実関係は分からないはずなのに、番組では遺族が仏壇に手を合わせる映像やインタビューばかり流していました。
イージス艦が一方的に悪かったかのような制作態度でした。
海難事故の悲惨さはしっかり伝えればいいと思います。
しかし審判が始まったというニュースに悲しむ遺族の映像を重ねるのは明らかに民意誘導です。
真っ当なジャーナリストなら絶対にやってはいけないことです。
やってはいけないことと言えば、田原総一郎もそうです。
私は大物政治家にぐいぐい鋭い質問で切り込んでいく彼に好印象を持っていたのですが、先日彼は自著の出版記念パーティーに政治家を大勢招待していました。
何たる無定見でしょう。
あと立花隆については以前書いたことがあります。(2007年10月3日、11月2日分)
こうした人たちによって「偉大なジャーナリスト」と讃えられる筑紫哲也が本当に偉大だったのかどうか、最近ますます分からなくなっています。
(2008年11月12日)
海苔やフィナンシェを食べるたびに感じるのですが、この包装はものすごく不便だと思いませんか?
包装の縦方向に切れ目が入っているのですが、
こんな風に端が斜めに切れたり、
こんな風に中身に食い込むように破れたり、上手に切れたためしがありません。
きっと生産者は自社製品を食べたことがないんだろうと思ってしまいます。
かと言って改善策を今まで思い浮かびませんでした。
ある日、気がつきました。
注射器と同じ包装にすればいい、と。
注射器の包装は端がこのようにめくれています。
これをこうめくると注射器が現われてくるわけです。
これだと取り出しやすいし、お菓子だとそのまま口に運ぶのも簡単です。
海苔やお菓子業界の人、包装をこのタイプに変えませんか?
(2008年11月14日)
2008年9月24日に就任した麻生太郎総理大臣であったが、就任直後から漢字の読み間違いの数々がマスコミで面白おかしく取り上げられた。
未曽有「みぞうゆう」や踏襲「ふしゅう」あたりが有名。
どうして専門家が声を上げないのか不思議です。
最近マスコミが麻生総理の読み間違いの数々を取り上げてからかっていますが、これは「読字障害」という一種の障害の可能性が高いと思います。
つまり文字を正しく認識して、文字的発想に基づいて思考して、自発的に喋ることは出来るのに、書かれた文字を発音するのに困難を感じる障害のことです。
この障害は知能や判断力とは全く関係ありません。
ただ、小学生の頃に朗読が上手くできないために「頭が悪い」と判断されて、自分も自信を失い、結果的に学力が低いままで終わってしまう例は多いとされています。
「読字障害」を早く発見して本来の知性を生かす方法を考えなくてはならない、これは教育心理学の最重要課題です。
マスコミが今やっているのは残酷で非人間的な障害者いじめです。
(2008年11月16日)
オバマ氏が大統領に選ばれたものの、アメリカでの人種差別はまだまだ根強いと言われています。
それを聞いてぞっとしました。
何年か前に「クラッシュ」という映画を見ました。
アメリカの人種差別模様を信じられないほど巧みなシナリオで描いた作品でした。
この映画を見ると黒人差別は確かにまだまだ深刻なのだと思わされます。
その一方でこの映画ではアジア人はわけの分からないことを叫び勝手に自滅していく、知能の低い頑迷な人種として描かれています。
黒人差別はようやく深刻な社会問題になってきた、しかしアジア人に到っては差別が問題にもならない、黒人よりもはるかに劣った人種である、そういう考え方を強烈に感じさせる映画でした。
考えてみればアメリカでは黒人が主演の映画でもヒットします。
しかしアジア映画は白人を主役にして撮りなおさないとアメリカでは上演されません。
日本人は「アメリカでは黒人は差別されて大変だなあ」と暢気に考えていますが、アジア人は黒人よりも低く考えられているということを知っておくべきだと思います。
(2008年11月17日)
映画「レッドクリフ」に行きました。
コミックにしても映画にしても完結していない作品を見るのは主義ではないのですが、ついつい行ってしまいました。
戦闘シーンは冗長ですが規模が大きいし演出も巧みなのでそれほど退屈はしません。
人間ドラマは簡潔できりりと締まっています。
特に主役二人が音楽で友情を深め合うシーンはなかなかの見ものでした。
完結編は来年の春だとか。
というわけでさっそく買ってしまいました。
「三国志演義」(ちくま文庫)これが今年の年末年始の本になりそうです。
(2008年12月3日)
もしかすると前に書いたことがあるかもしれません。
どうして映画館の食事はあんなに貧相なのでしょう。
ポップコーンとフライドポテト、それにフライドチキン。
シネマズミントにはクレープショップがあって多少ましですが炭水化物メインであることには変わりありません。
どれもこれもアメリカの貧しい食文化を代表するようなメニューです。
ハリウッドはハリウッドとして私は文化としてちゃんと認めます。
しかしあの最低の映画館フードは全く別です。
映画業界はシニア向け割引をおこなったり年配層の動員に力を入れています。
しかしどんなに割引しようとあんなわびしい食べ物を供するような場所に大人は行かないと思うのです。
これだけシネコンが乱立して競争が激化しているはずなのにどうして誰も考えつかないのでしょう?
(2008年12月5日)
さて映画館の食事ですが文句ばかり言っていても建設的じゃないので一つ考えてみました。
ミニステーキとポテト、にんじん、マッシュルームのソテーにクリームソースをかけたものです。
ソースには冷めても固まらない程度にチーズを溶かし込んでいます。
肉と野菜は食べやすいサイズで、温かいうちにつまようじで食べます。
その後残ったソースはパンにすくって食べます。
家で作るときにはソースには青かびのチーズをたっぷりと使って、パンはガーリックトーストにするのですが、映画館だとさすがに難しいでしょうね。
これにハーフサイズのワインでもあれば映画ライフがぐっと充実すると思うのですが、いかがでしょうか。
(2008年12月8日)
突発的な大不況のために採用の内定を取り消す企業が相次いでいるそうです。
「経営不振で、入社してもらっても給料を払えそうにないんだ、すまないが内定を取り消させてくれ」
「何を言うんです、ぼくはこの仕事がやりたくてこの会社を選んだんです。ただでもいいから1年間頑張らせてください」
「そこまで言ってくれるのか」
「はい!」
「じゃあ一緒に頑張ろう!みんなも1年間頑張るぞ!」
「おー!」
というような光景があちこちで展開しているものとばかり思いましたが、現実は違うようです。
どうやら青春ドラマの見すぎだったかもしれません。
(2008年12月17日)
先日バレエ「くるみ割り人形」を見てきました。(貞松・浜田バレエ団、神戸文化ホール)
バレエは見る人を贅沢な気持ちにさせてくれる文化ですね。
優雅な舞い、躍動的な跳躍、ゴージャスなチャイコフスキーの音楽。
それに歴史のあるバレエ団だけに可能な豊富な舞台装置と数々の小道具。
あっという間の2時間でした。
面白いと思ったのは開演前の解説です。
バレエの仕草と手話を比べて「バレエにおける表現方法入門」を分かりやすく説明してくれました。
開演前の挨拶が面白かったためしはありませんが、今回は珍しいことにとても面白くて、鑑賞に役立つものでした。
(2008年12月22日)
今年最後のコラムが弁解で終わりそうです。
この正月は「三国志」を読む! と以前のコラムで宣言しましたが、予定変更です。
実は数年前から読み進めていた「江戸川乱歩全集」が残り3冊なのです。
あんまり面白くないのでゆっくりゆっくり読んできたのですが、この正月に怪人20面相をアレンジした映画が公開されるそうです。
それならこれを機会に残り3冊を一気に読み終えて映画を見に行こう! と思ったわけです。
そういうわけで「三国志」はちょっと後回しになります。
というのは全くどうでもいい自分への言い訳ですが、明日から当クリニックも9連休に入ります。
みなさまも体調に気をつけてよい新年をお迎えください。
(2008年12月26日)
神戸元町ダイアリー2008年(5)格差社会の原因<main>神戸元町ダイアリー2009年(1)乱歩のミステリ