神戸元町ダイアリー2008年(3)

しかし面白いです。
船場吉兆が刺身やアユの塩焼きを使い回ししていたという話です。
刺身やアユの塩焼きというと普通最初の方に出される料理です。
これに手をつけない客がいるというのがとても興味深いです。
考えるに、その客はそもそも料理を食べるつもりがないのでしょう。
つまり接待です。
必要なのは「吉兆」というブランドと場所で、料理の質など問題外だったのでしょう。
料理などどうでもいい客ばかり来る料亭が調理に対してモチベーションを保ち続けられるはずがありません。
今回の騒動は「あの吉兆が?」と驚くよりも、「接待専門の料亭ならありそうなこと」とむしろ冷静に受け止めるべき一件だと思いました。


と、ここまでは私たちには何の関係もない話です。
どうせ吉兆なんて行くことないですし。
問題はたまに奮発してご馳走を食べに行こうと思った時です。
せっかく高いお金を払うのなら接待族が来ない店に行きたいものです。
その見分け方があればいいのですが。
クリニックの待合に置いてある「あまから手帖」の「寿司特集」を何気なく見ていて面白いことに気がつきました。
寿司はデリケートですからタバコの煙とは本来相容れないはずです。
実際、住宅街にある寿司屋はほとんど禁煙です。
ところが街中の寿司屋は喫煙可のところが多いのです。
そこで気がつきました。
接待で使われる店は禁煙に踏み切れないのだ、と。
こうなると話は簡単です。
接待族を避けようと思えば、禁煙の店を選べばいいわけです。
いいことに気づかせてくれて吉兆さん、ありがとう。

 

(2008年5月7日)

大阪府が大変なことになっています。
府職員の給与がカットされ、文化施設も整理され、福祉などもカットされる見通しです。
当然各方面から猛反対が湧き上がっています。
ところで自分に置き換えてみると、ものすごくお金に困っている時は普通おかずを減らして、CDを買うのも諦めて、少々の痛みなら歯医者に行くのも我慢します。
そういう意味では橋下知事のやろうとしていることはよく分かります。
もしCDを買いたければ他の出費をもっともっと削らなくてはなりません。
不思議なのは「センチュリー交響楽団の補助金カット反対!」と言っている人たちが「ではどこを削るのか」について一切語らないことです。
図書館や文化会館などの存続を主張する人もそうです。
モチベーションが下がるから職員の給与を下げるべきではないと主張する人もそうです。
経済観念に優れているはずの大阪の人が財源についてはなぜか口を閉ざします。
他県から見ると財源はあるように見えます。
しかし大阪の人はそれを自分からは言い出せないかのようです。
もしかすると知事は考えているのかもしれません。
まず府職員をいじめよう。
そうすれば職員の中から「不当に高い給料をもらっている職員を何とかしろ」という声が上がるに違いない。
職員の団結に亀裂が入れば不当な高給を得ている一部の職員に切り込めます。
ところが今のところ団結力の方がまだ強いようです。
次に一般市民の生活や文化を締めつけよう。
これだけ締め付ければ市民の間から「一日ぶらぶらして高額の援助金をもらっている連中を何とかしろ」という声が上がるだろう。
ところが市民は署名運動はしても無駄な福祉については中々口にしません。
危ない橋は知事が渡るべきだ、職員も市民もそう思っているのでしょう。
傍から見ていると、三すくみで我慢比べしているようです。

 

(2008年5月9日)

以前こう書いたことがあります。
日本は動物愛護団体に大いに出資して主導権を握ろう。
まずはスポーツハンティングや闘牛など娯楽目的の虐殺を規制し、食文化についてはそれが達成された後に検討する、そういう活動の順序を訴えるべきだ、と。
私は伝統に基づく食文化は他国に非難されるべきではないと思います。
問題は「ちゃんと食べているか?」という点です。
たとえば中華料理の食材に「熊の手」があります。
しかしもし「手」を食べるためだけに熊を殺しているなら、そんな伝統はとても認められません。
翻って、わが国の捕鯨はどうでしょう。
私たちは鯨をちゃんと食べているのでしょうか。
牛、豚、鶏、鯨、それぞれの肉の食用に用いられる割合が知りたいのですがそんな統計はあるのでしょうか。
私は捕鯨という文化を支持したいと思っています。
そのために「捕った鯨はちゃんと食べてますよ」という確証が欲しいと思います。

 

(2008年5月12日)

道路特定財源の一般財源化で「必要な道路とは何か」が問題になってきそうです。
地域住民、公共団体、道路交通省、一般納税者とそれぞれ必要性の基準が違いますから今後一層問題はややこしくなっていくことでしょう。
それでも特定財源が一切俎上に上がらなかった時代に比べると確実に進歩していると、私は楽観的に感じています。
ところで「必要な道路」について議論するのであれば同時に「不必要な道路」についても少し考えてみてはどうでしょうか。
たとえば六甲山上を走る道路です。
トンネルが何本も開通したので山上道路に南北交通の意味はなくなりました。
あるのは観光目的だけです。
そろそろこういう道路を自然に返すという発想があってもいいと思います。
もちろん六甲山上には多くの観光施設があって従業員もたくさんいます。
しかし観光のために道路やむなしと考えるよりも、道路をなくすために観光をどう変えていくか、と考えるべきではないでしょうか。
今はどこの観光地にも大きな道路が貫かれて大型バスがどんどん団体客を運び込んできます。
客はそこで写真を撮ってお土産を買ってあわただしく帰っていきます。
いい加減、こんな貧乏臭い観光は卒業してもいいのではないでしょうか。
六甲山は歩いて登るもの。
足が不自由な人や山上の従業員、住民のためには電動バスを運行させる、それくらいの考え方でいいのではないかと思います。

 

(2008年5月14日)

先日九州の人たちとお酒を飲んだのですが、喫煙率の高さにびっくりしました。
神戸だと普段外食する時は禁煙の店を選びますし、仕事関係の知人に喫煙者はいませんし、趣味関係の知人も食事の席では喫煙を遠慮してくれます。
タバコの煙に巻かれながら食事をすることは滅多にありません。
健康増進法の制定にも関わらず分煙の動きが鈍いと感じていましたが、神戸はこれでも進んでいる方なのかもしれないと思いました。

 

(2008年5月19日)

ルールは放っておくと一人歩きします。
本来は人が幸福に生きていくために作られたルールなのに、いつの間にか我々の方がルールに操られてしまったりします。
刑法の39条もそうだと思います。
「心神喪失者の行為は、罰しない」おそらく立案者は「誰がどう見てもこの人を罪に問うのは無理だろう」という人物像を考えていたのではないでしょうか。
「この人が心神喪失状態であったかどうか」などを裁判で争うような事態は想定していなかったと思います。
そういう場合は私たちがルールに合わせるのではなくルールの方を現状に合わせるのが普通だと思います。
 39条をこう変えてはどうでしょうか。
「犯罪が心身の喪失状態によって行われた場合、その心身喪失の原因が取り除かれ再犯の恐れがなくなった場合には刑の執行が停止される」つまり心身喪失であろうと耗弱であろうと加害者は罪状によって一旦刑を量定されます。
そして心神喪失者の場合は収監されたあとにじっくりと精神鑑定され、必要なら治療を受け、もし再犯の恐れがなくなった場合には釈放されるのです。
具体的な条文作りは専門家に任せます。
しかし法律の専門家ならば法律が現状に適合しているかどうかをまず判断するべきだと思います。

 

(2008年5月21日)

これが具体的にどの事件を念頭に置いて書かれたかは不明。
秋葉原無差別殺傷事件はこの直後の6月8日のことである。
 

先日、内田樹(うちだ・たつる)という哲学の先生と話をする機会がありました。
私の無知のせいでその場では実りのある話はできなかったのですが、それ以降氏の本を何冊か読んでとても感銘を受けました。
すごいものですね、哲学者という人種はごく普通の日常生活からさまざまな真理を導き出すのです。
私も真似をしてみたくなりました。
胃カメラなんてどうでしょう。
胃の中を見るためには、まず空気を入れて胃を膨らまさなくてはなりません。
次に光を当てなくてはなりません。
物事をちゃんと見るためには「視野の広がり」と「明るい光源」が必要なのです。
どうでしょう、何か哲学めいていませんか?

 

(2008年5月23日)

黒澤明監督の名作「椿三十郎」のリメイク版を見てみました。
以前も書きましたが私のオールタイムベスト第3位の作品です。
見るべきではないと思っていたのですが怖いもの見たさでついレンタルしてしまいました。
織田裕二も豊川悦司も声のトーンが高いので最初ものすごく違和感があります。
しかしシナリオの完成度が高いので基本的には楽しめます。
「心配していたけどがっかりするほどではなかった、でもやっぱりリメイクする必然性はよく分からなかった」という感じでしょうか。

 

(2008年5月28日)

2008年5月12日、中国四川省で大地震が発生した。
マグニチュード8.0、死者約9万人と言われる。 


中国四川のために、神戸市はいち早くテントなど救援物資を用意して神戸空港から届けるべきだと思います。
神戸には大規模災害用救援物資の備蓄があります。
空港もあります。
検疫施設もあります。
華僑の人も多いです。
問題は国土交通省の「神戸空港には国際線の発着を認めない」という指針(らしきもの)だけです。
今は緊急事態ですからそんなものは無視してもいいでしょう。
まず物資を送りましょう、神戸市さん。

 

(2008年5月30日)

北方謙三「水滸伝」全巻読了記念プレゼントが届きました。
人物関連図と梁山泊地図からなる小冊子とメッセージカードです。 
北方謙三って可愛い字を書くんですね。

 

(2008年6月2日)

サマータイムの導入の議論が本格化しているようです。
サマータイムと言われても「ビデオの録画はどうなるんだろう?」とか「終電はどうなるんだろう?」とかその程度のことしか思い浮かばない小市民なのですが、今回議論が盛り上がっているのは経済効果よりも省エネ、環境問題に関連づけられているからのようです。
本心を言うとサマータイムよりもウィンタータイムを導入してほしいものです。
「夏は時計を1時間進めよう」よりも「冬はもう1時間布団の中でごろごろできます」と言われた方がよっぽどありがたいのですが、おそらく経済的にも省エネ的にも最悪な制度なのでしょうね。

 

(2008年6月4日)

居酒屋タクシーが問題になっています。
このニュースを聞いた時、問題のありかがよく分からなくてすっきりしませんでした。
マスコミが何を騒いでるのかもう一つピンと来なかったのです。
こういう時は問題を細かく分けてみるに限ります。
とするとこのニュースに接したときの私の気持ちは

1)長距離の客を乗せたタクシーはそんなに儲かるんだ

2)省庁の職員はそんなに残業ばかりしているんだ

3)省庁は終電以降の帰宅に対してタクシー代を全額認めているんだ

この3点でした。
職員がタクシー運転手から金品を受け取ったということは私の中で全く問題になっていなかったことに気づきました。
金品をもらう見返りとしてタクシーチケットの額をごまかすのを見逃すなら、それは詐欺の共犯です。
金品を受け取って法外に高い料金のタクシーに乗るとすれば、収賄です。
しかしタクシーの運賃は国土交通省によって一定の範囲に定められています。
とすればその範囲の中で利用者がサービスのいい運転手を選ぶのは当たり前だし、運転手が喜ばれるサービスを提供して上顧客を捉まえようとするのも当たり前のような気もします。
どのタクシーでも使われる税金の額がさほど変わらないとすれば、モラルの低下を糾すのは難しいと思うのです。
その代わりに上記3点は改めなければなりません。

1)は料金システムが現実に即していないということです。
近距離の客を何回も運ぶよりも2時間待って長距離の客を一人捉まえた方が得、こういうシステムは絶対に間違っています。
長距離タクシー乗り場にはタクシーが数珠つなぎ、その一方では近距離乗り場は何十分待ってもタクシーは全然来ない。
現実を認識するために、国交省の役人はタクシーには自腹で乗るべきだと思います。


2)と3)は同じことです。
タクシー代が全額払われるのなら普通の人は満員の終電よりもタクシーを選びます。
1時間程度なら時間をつぶして終電の時間をやり過ごそうとするでしょう。
モラルの問題ではありません。
役人だろうとマスコミ関係者だろうと医師だろうと教職員だろうとみんなそうです。
例外は「タクシーは本が読めないからイヤ」という変わり者くらいではないでしょうか。
タクシー代のうち2割程度は利用者に課するべきだと思います。

ここまで書いていて思うのは「海外出張の時のマイレージはどうなっているのか?」ということですが、現時点で問題になっていないところを見るときっと個人のポイントにはなっていないのでしょうね。

 

(2008年6月6日)

この後公務出張でのマイレージポイントの扱いが問題となった。
6月18日には閣議で公務員はマイレージ取得を自粛すべしという通達が出された。 


クリニックのビルのエレベーター横の貼り紙を見た方はおられますか?
「ネコの里親募集」です。
スタッフが家の前で死にかけていた子ネコを拾ったそうです。
今は獣医さんのところで入院中です。
興味のある人はスタッフまでどうぞ。

 

(2008年6月23日)

よく分からないのが「○○漫画文化賞」です。
受賞作品を読もうとするとどれも連載中なのです。 
文学でも音楽でも美術でも未完成の作品を評価する賞など存在しません。
映画でもです。
漫画業界が文化を謳うのなら賞は完結作品のみに与えるべきです。
アンチ文化を標榜するなら賞など設けるべきではないと思います。

 

(2008年6月25日)

オペラ公演を手伝っています。
フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」。
きれいでなじみやすいメロディーに満ち溢れたメルヘンオペラです。
よろしければどうぞ。

 

(2008年6月27日)

神戸元町ダイアリー2008年(2)神戸菓子博<main>神戸元町ダイアリー2008年(4)北京オリンピック


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