神戸元町ダイアリー2008年(2)

東芝がHD-DVDからの撤退を決定しました。
我が家にはDVD録画機も、購入予定もないのであまり関係ない話ですが、こういう話を聞くと思い出すのが消えていったメディアの数々です。
何といってもまず思い出されるのはVHSとベータの争いです。
我が家はベータ組でした。
しかしビデオデッキは故障も多くて、自然とベータとVHS2台体制になり、やがてVHSオンリーになり、困った記憶はそんなにありません。
レンタルビデオがまだ本格的でなかったのもそれほど困らなかった理由だと思います。
中学生の頃にカセットデッキを買おうと思ったら売り場に「Lカセット」なるものが並んでいて、その売り文句が「カセットの便利さとオープンリールの音質を同時に実現!」というものでした。
買わなくて正解でした。
レーザーディスクとVHDの規格争いもありました。
音楽ファンとしてはミニディスクとデジタル・コンパクト・カセットの争いも興味津々でした。
しかし勝利を収めたはずのLDもMDも既にその役割を終えようとしています。
こう書いてみるとメディアの交替のスピードがどんどん加速しているように感じます。
ポストDVDはブルーレイに決定したようですが、購入計画が差し迫っていない私のような人種はさらにその次の「高容量カードメディア」を待った方がいいのかもしれません。

 

(2008年2月29日)

メディアの高容量化と同時に、通信速度も今後ますます上がっていくのでしょう。
この流れに従えば店舗型のレンタルビデオはいずれ廃れて、見たい映画はその都度ダウンロードして楽しむことになります。
ショップ側も店舗ごとに大量の在庫を抱えておく必要がなくなりますから効率が上がります。
それを先取りしたのが宅配DVDというシステムだと思うのですが、各社のラインナップを見るととても中途半端です。
新作は発売後何ヶ月も借りられないようです。
かといって一般のレンタルショップに置いていないようなレアな作品が充実しているわけでもありません。
このままでは宅配システムはオン・デマンド・ダウンロード方式にあっという間に駆逐されてしまうのではないでしょうか。
せめてヴィスコンティやパゾリーニの作品はそろえておいて欲しいものです。
あるいは懐かしのTVドラマ、例えば「ゆうひが丘の総理大臣」とか「それゆけ!レッドビッキーズ」とかがあるといいのですが……。

 

(2008年3月3日)

非加熱血液製剤の危険性を知りながら回収命令を出さなかったとして1985年当時の厚生省薬務局生物製剤課長が業務上過失致死罪で訴えられた。
2008年3月3日、最高裁で有罪が確定した。 


薬害エイズ事件で元厚生省生物製剤課長の有罪判決が確定しました。
行政の不作為に対して刑事罰を適応するのが妥当かどうかはとても疑問ですが、国民の健康を預かる厚労省の姿勢を厳しく糾したという意味ではこの判決は有意義だったと思います。
今後、国民に健康被害をもたらす食品や嗜好品を厚労省が放置していた場合、その時期の担当課長は刑事罰に問われるということです。
今現在健康被害に関してグレー判定の嗜好品が20年後にクロと判定されるとします。
定年間近の元・担当課長が刑事裁判に引きずり出されて、天下りどころか退職金もパーになるわけです。
厚労省の職員は今のうちに「タバコは有害だからもっと厳しく制限するべきです」と上司に進言したという証拠を残しておくべきでしょう。

 

(2008年3月5日)

新潮社の「ガルシア=マルケス全小説」を読み終わりました。
最終巻は「予告された殺人の記録」と12の短編小説。
「予告された〜」は彼一流の変幻自在の叙述のテクニックの魅力がたっぷりと味わえる作品、短編たちもバラエティ豊かで初期の短編よりも読み応えがありました。
最後を飾るにふさわしい作品群だったと思います。
ところでこれを読んでいるとスタッフが「ガルシア=マルケスを私も読んでます」と話しかけてきました。
「へー、マルケスなんて読むんだ」と言うと、「ネットでバッグを注文したら本が届いたんです」
確かにガルシアマルケスというブランドがあるみたいです。
しかし一体どういう注文の仕方をすればバックの代わりに本が届くのでしょう? 謎です。

 

(2008年3月7日)

アメリカ議会で日本の慰安婦問題が取り上げられた時、日本は真っ先に「戦時下の女性の権利を守るための研究会及び基金」を創設するべきでした。
日本軍による非人権的な行為とともに、戦後数多く起きたアメリカ人による日本時女性への暴行事件も厳しく断罪し、さらに朝鮮戦争やベトナム戦争でのアメリカ軍の行為も検証するべきでした。
それなのに日本人は中途半端な反論を新聞に掲載しただけで、バッシングされる側から裁く側への一発大逆転のチャンスをみすみす逃してしまいました。
同じことが捕鯨問題にも当てはまります。
日本は全ての動物虐待に反対するという姿勢をまずアピールするべきです。
そこには捕鯨も含まれてくるだろう、しかし……と続けるのです。
捕鯨よりも悪質な動物虐待が存在する。
たとえばスペインの闘牛、アフリカのスポーツハンティング、イギリスの狐狩り。
まずはそれらを徹底的に糾弾するのです。
取り締まるべき虐待行為には当然の序列があります。
第一に許されないのは遊興目的の虐殺、次に規制なき動物実験、その次に愛護精神に欠けるペット販売行為、無責任なペットの飼い主……。
食目的の狩猟のルール化などはそれらが全て解決してからの話です。
この筋道だった考え方を熱く主張すれば捕鯨バッシングを回避するだけでなく動物愛護先進国としての日本をアピールできると思うのです。

 

(2008年3月10日)
 
捕鯨にしても死刑制度にしても、時代の流れというものは確かにあっていずれは廃止、禁止されていくのでしょう。
もう一つ時代の流れを強く感じることがあります。
いわゆる男性の座りションです。
おしっこの時に男性も座るべきであるのはトイレ掃除を一度でもすれば誰にでも分かることです。
座りション率の上昇は男性の家事への参画率の上昇を意味しているのでしょう。
捕鯨や死刑制度については異論もあると思いますが、男性の座りションについては私は大賛成です。

 

(2008年3月12日)

奈良県の平城遷都1300年祭マスコットが話題を呼んでいます。
私も奈良であのポスターを見て奈良人の勇気にすごく感心した憶えがあります。
愛称を募集していたようですが、やはりありがたくもおめでたい名前がいいのではないでしょうか。
私は「仏祭(ぶっさい)クン」という名前がいいと思います。

 

(2008年3月14日)

先日三宮のクラシックライブハウス「ピアジュリアン」に行ってきました。
兵庫県芸術文化センターオーケストラの奏者2人をメインに据えたピアノ三重奏です。
今回のメインプログラムはピアノ伴奏版ブラームス二重協奏曲。
実は私はブラームスの管弦楽曲はそれほど好きではありません。
あれだけ素晴らしいピアノ曲を書いた人にしてはもう一つぱっとしない感じがして仕方がないのです。
そんなピアノ好き派にとっては夢のようなプログラム。
ピアノ伴奏だとオーケストラの迫力はさすがに再現できませんが、その分ソリストの演奏する全ての音が聞こえます。
上質の室内楽を聴いているような気持ちになりました。
本当に贅沢なひと時でしたが、素敵な音楽を聴きながらお腹一杯食べて飲んで、それで一人4千円程度でした。
お薦めのお店です。

 

(2008年3月21日)

省エネのためにTVの深夜放送を自粛させようという議論があります。
家族のあり方や国民のライフスタイルを決めつけようという、いかにも旧態依然の自民党議員の考えそうなことです。
社会や家族のあり方が多様化していることがどうして分からないのでしょう。
「夜はとっとと寝るべきだ」という考え方が万一成り立つようならそれ以上に「昼間は働け」という考え方も成立します。
古臭い考え方の議員たちは深夜放送よりも先に昼間の放送に矛先を向けるべきだと思います。

 

(2008年3月24日)

クリニックのBGMで流れているのはベートーヴェンです。
ベートーヴェンはそれほど好きな作曲家ではないのですが、87枚組9,990円という激安全集が出たので買ってしまったのです。
これを何も考えずに1枚目から順番にかけています。
ベートーヴェンがすごいのは、どのジャンルでも「ベートーヴェンはこのジャンルが最高」と思わせるところです。
交響曲を聴いている時には「ベートーヴェンはやっぱり交響曲だ」と思うし、ピアノ曲集を聴くと「ベートーヴェンはピアノ曲を書くために生まれてきたのだ」と思うし、バイオリンソナタを聴いている時には「ああ、ベートーヴェンはバイオリンが一番好きだったんだなあ」とつくづく思うのです。
先日まで流れていた弦楽三重奏曲もそうです。
「弦楽四重奏曲よりいいかもしれない」と思いながら聴いていました。
しかし弦楽四重奏曲に入るとさすがに完成度が桁違いです。
やっぱりベートーヴェンは弦楽四重奏曲の人だ。そう思っているわけです、今は。

 

(2008年3月26日)

もう4月ですね。クリニックすぐ北側の桜はもう満開です。
ここは例年他よりも咲くのが早いような気がします。
医療も税制も慌しく変わっていますが、うららかな卯月でありますように。

 

(2008年3月31日)

2年前から読み始めた江戸川乱歩全集もようやく終わりが見えてきました。
小説が終わって、残るは随筆だけです。
随筆では推理小説の地位を向上させようとする乱歩の苦労が繰り返し語られます。
純文学に比べて推理小説は必ずしも劣るわけではない、その証拠にドストエフスキーだって自分の小説に推理小説風の味付けを用いてるではないか、そう乱歩は主張します。
推理小説にかけた乱歩の努力には本当に頭が下がります。
が、しかし、思うのです。
せっかくそこまで書くのだったら推理作家の立場からドストエフスキーの諸作品を読み解いて欲しかった、と。
「カラマーゾフの兄弟」でついに父親殺しの犯人を明らかにできなかった亀山郁夫が今度は「罪と罰」を翻訳中だそうです。
願わくばスヴィドリガイロフの死の理由をきっちりと解き明かして欲しいものです。

 

(2008年4月2日)

先日、現役大学生たちと食事をする機会がありました。
彼らと話しているといかに自分がつまらない大人の常識や世間体にとらわれているか気づかされます。
今の若い人たちはマナーもいいしタバコも吸わないし、一緒に食事をしていて本当に気持ちがいいです。
成人を何歳からにするかという議論があるようですが、成人は20歳プラスマイナス2歳で、それ以上も以下も認めないという線引きで私はいいと思います。
ところで彼らを見て思い出しました。
大学のサークルでは上下関係は絶対なんですよね。
特に4年生は1年生にとっては神様のような存在でした。
実は兵庫県庁に私にとっての神様のような先輩がいて姫路の菓子博覧会を担当しています。
その人に「救護室を手伝いに来い」と言われてしまいました。
そういうわけで来週4月の28日は特別にクリニックは休診して菓子博の手伝いに行ってきます。
それ以外はカレンダー通りです。ご注意ください。

 

(2008年4月21日)

本を読んでいる時に話しかけてくる人がいて、実は以前から不思議でした。
「本を読んでいるのが分かっているはずなのにどうして話しかけてくるんだろう?」と。
この間知り合いに相談すると明快な答が返ってきました。
「この人は本を読むくらい退屈しているようだ、それは可哀想だから話しかけてあげよう」
つまり親切心から話しかけてくれているようなのです。
読書中に話しかけられると、これまでは相手の意図も分からずついつい生返事を返していました。
ごめんなさい、これからはきちんと対応したいと思います。

 

(2008年4月23日)

いよいよ明日からゴールデン・ウィークです。
みなさん、どういうご予定でしょうか。
北方謙三の「水滸伝」文庫版がついに完結したので、私は休みの間これをじっくり読みたいと思っています。
昼間はずいぶん暖かくなりましたが夜はまだまだ肌寒い日が続きます。
体調を崩さぬよう連休をお過ごしください。

 

(2008年4月25日)

姫路の菓子博に行ってきました。
ものすごい人でした。
せっかく行ったからせめてお菓子の姫路城だけでも見ようと思っていたのですが、閉門ぎりぎりまですごい行列なので断念しました。

 

(2008年4月30日)

実は姫路には今まで行ったことがありませんでした。
駅から姫路城に向かう道は広くて立派です。
その道は城を東に迂回してさらに北に続くのですがこの辺りには大きな病院や学校が並んでいてにぎわっています。
仕事のあと西側を回って帰ってみました。
するとこの辺りは一転して静かで風情豊かです。
ほんの数百メートルの距離なのに城の東西でこんなにも町の表情が違うのですね。
姫路城、とても面白いところだと思いました。

 

(2008年5月2日)

神戸元町ダイアリー2008年(1)推理小説のルール<main>神戸元町ダイアリー2008年(3)居酒屋タクシー


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