「40歳を過ぎたら胃カメラを受けよう!」
言うのは簡単ですが、実際にはなかなか気が進まないものです。
苦しそうだし、時間がかかりそうだし、費用もかかりそうです。
どうすればこれらの負担を減らせるでしょうか?
1)胃カメラは苦しい?
今や胃カメラは苦しい検査ではありません。
極細の「経鼻内視鏡」の登場によって、かなり楽に検査できるようになりました。
鼻からのルートを通れば胃カメラは舌の奥の、最も敏感な部分に触れることなく食道に進みます。
口からの胃カメラでは避けられなかった「苦しいえずき」を感じなくてもすむのです。
ごく稀に鼻が狭かったり鼻血が出やすい人もおられます。
そういう方には寝ている間に検査をする方法もあります。
ただし「麻酔に熟練した医師のもとで」という条件付きですが。
「経鼻内視鏡」と「麻酔技術」、この二つの条件を満たす病院であれば、胃カメラは決して苦しい検査ではありません。
2)胃カメラは時間がかかる?
胃カメラの実際の検査時間は10分ほどです。
径鼻内視鏡であれば病院にいる時間は30分程度です。
「仕事を少し抜けて」という感覚で、検査が受けられるのではないでしょうか。
麻酔をかけて検査する場合には2時間から3時間かかります。
検査のあと、麻酔から醒めるのにそれくらいかかるのです。
ですからこの場合は仕事を半日は休んでもらわなくてはなりません。
夕方から検査をする方法もあります。
それだと仕事への影響は最低限で済むかもしれません。
ただ、この2、3時間というのは検査のあと寝ている時間です。
いらいらしながら順番を待つ2、3時間とはずいぶん印象が違うのではないでしょうか。
(2004年10月25日)
3)胃カメラは高い?
胃カメラの検査料は、3割負担の方で3,480円です。
これに初診料あるいは再診料、それから検査で使う薬剤費用が加わり、合計で約5千円となります。
さらにこれに細胞の顕微鏡検査が加わると合計でおよそ1万円かかります。
この細胞の検査というのが問題で、実は必要でない場合が多いのです。
「念のために調べておきましょう」という場合です。
経験を積んだ医師であれば「これは絶対に良性である」と断言できる病変が、経験が浅い医師にかかると「絶対とは言い切れないから一応検査しておこう」となります。
つまり経験を積んだ医師の方が検査が少なくて済む、すなわち安く上がるという事です。
経験が少なくて技術も低い医師の方が儲かるというのもおかしな話です。
これは日本の医療の矛盾点ですが、現実にそういうシステムになっている以上それをうまく利用するのが賢い方法です。
経験豊富な医師を選ぶのが胃の検査を安く受ける一番のコツです。
検査代については2017年現在、事情がずいぶん変わっております。
どうぞ電話でお問い合わせください。
(2004年11月1日)
そろそろ11月らしい気候になってきました。
みなさま、風邪などひいておられませんか?
風邪を早く治すためには何よりも湿度、水分が必要です。
くれぐれも「身体を温めよう」と考えてサウナに入りませんように。
風邪をひいて体温が急激に上昇する時、人は寒気を感じます。
体温が上がりきった瞬間には寒気が止まり「よくなった」と錯覚する事がよくあります。
実際にはそこから本格的な風邪の症状が始まるのですが、サウナで体温を上げるとそれに似た錯覚を感じます。
しかも発汗で身体からは大量の水分が奪われています。
サウナに入っている時には「よくなった」ように感じた風邪が、サウナを出た瞬間から猛烈にぶり返します。
風邪にサウナは厳禁です。
(2004年11月15日)
タバコがやめられないのはあなたのせいではありません。
愛煙家のみなさん、こういう症状はありませんか?
いつまでも続く咳と痰。
指先の震え、足先や太股のしびれ、舌や唇のぴりぴりしたような感じ。
肌荒れ、吹き出物。
これらは全てタバコによる症状です。
薬を使わなくてもタバコをやめさえすれば治ります。
逆にどんな薬を使ってもタバコをやめなければ治りません。
しかし今日は「だからタバコをやめましょう」などと言うつもりは全くありません。
タバコの害を一番知っているのは愛煙家のみなさん。
そしてやめたいと一番思っているのも愛煙家のみなさんでしょう。
しかし、やめられない。
これは一体誰の責任なのでしょう?
あなたの弱い意志のせいなのでしょうか?
考えてみてください。
普通に社会生活を営み、立派に仕事もこなしているあなたの意志が弱いなどということがあるでしょうか?
意志が弱いのではなく、タバコの中毒性がそれだけ強いと考えるべきではないでしょうか?
タバコについて「愛煙家VS嫌煙家」という構図に踊らされるのはそろそろやめにしましょう。
愛煙家のみなさんから、健康と多額のタバコ代を奪っているのはJTという巨大企業と、財務省と、財務省に盾つけない厚生労働官僚です。
タバコをやめられないに人こそ国を訴える権利があります。
「国民の健康に無関心な厚生労働官僚は去れ!」と。
すみません、タバコによって健康を蝕まれている患者さんを診る機会が最近あまりにも多いので、今日は少し感情的になってしまいました。
(2004年11月22日)
昨日テレビにオリックス会長の宮内さんが出演していました。
これまでは規制改革の旗振り役として応援していましたが、プロ野球の新規参入に関する一連の騒動ですっかり失望してしまったいきさつについては「ダイアリー」にも書いたとおりです。
その宮内さんがプロ野球や医療改革の問題をどう語ってくれるのかとても期待して番組を見ました。
まずプロ野球の新規参入問題については「規制緩和は公の事業の義務であって、民間の事業には関係ない」のだそうです。
優秀な選手がどんどんメジャーリーグに流出している時代に、この閉鎖的な考え方はどうしたことでしょう。
護送船団態勢の銀行が失速した隙に、火事場泥棒的に業績を上げてきたのがオリックスという企業なのに、それをすっかり忘れてしまったのでしょうか。
オリックスは優秀な選手を次々とメジャーリーグに放り出して、さらにプロ野球の構造改革の芽もつぶして、もしかして日本球界を破滅させたいのかもしれません。
(2004年12月6日)
さらに宮内さんは医療改革についてもなかなか面白いことを言っていました。
が、その前に規制改革会議が進めようとしている「混合医療」とは何か、です。
たとえば風邪をひいて病院に行ったとします。
レントゲンなどの検査をせず、医師の診察だけを受けてPL顆粒という薬をもらう。
この場合の費用は、初診料2,740円、薬代、調剤料、処方料で590円、合計3,330円です。
3割負担の人だと、窓口での支払いはちょうど1,000円になります。
ところがここで医師が「保険は利かないのですが風邪の特効薬があります。値段は1,000円です」と提案したとします。
もしその薬をもらったらあなたの支払額はいくらになるでしょう?
(2004年12月13日)
普通に考えれば先に支払った1,000円に特効薬の1,000円を加えて、合計2,000円になるはずです。
ところが今のシステムでは4,330円払わなくてはなりません。
保険の利かない薬を一つでも出すと、それ以外の費用にも保険が利かなくなるのです。
宮内さんの進める混合医療とは、これを2,000円で済むようにしましょうという制度です。
あなたの負担も減るし、それで患者数が増えれば病院も得をする、一見とてもいい仕組みです。
私は個人的には混合医療の解禁には賛成です。
ところが医師会は反対なのです。
(2004年12月20日)
保険は利かないがすごくよく効く薬などというのは日常のレベルでは滅多にありません。
問題は抗癌剤です。
世界では承認されているのに日本では保険が利かない薬がたくさんあります。
混合医療が解禁されるとこういう抗癌剤が使いやすくなります。
これはとてもいい話に思えます。
しかしその流れが続いたらどうでしょう。
承認されていなくてもどんどん薬が売れるのなら、製薬会社はその薬を日本で承認させる必要はなくなります。
効果があって患者さんに絶対必要とされる薬ほど保険が利かない、そういう事態になりはしないでしょうか。
長期的に見れば保険で使える薬がどんどん減っていく。
最後には保険の仕組みが崩れていってしまうのではないか? 医師会はそう心配しているようです。
ところが司会者に「どうして医師会は混合医療に反対するのか?」と問われた宮内さんはこう答えるのです。
「混合医療が解禁されると開業医が損をするから」
さらに司会者は問います。
「どうして混合医療が解禁されると開業医は損をするのか?」
そこで宮内さんの回答です。
「医師会が反対しているという事は、混合医療が損だからだろう」
回答というより、悪意に満ちた詭弁です。
先週も書きましたが混合医療の解禁で開業医も病院も損はしません。
私は混合医療の解禁に賛成ですし(と言うより、あまり日常の診療に関係ないので)。
宮内さん、もっとまともな論法で議論しましょうよ。
(2004年12月27日)
20年近く胃カメラ検査をおこなっていますが、いまだに試行錯誤の連続です。
10年前よりも5年前よりも、極端に言うと昨日よりも今日の方が上手なのは当然ですが、新しい発見は尽きません。
むしろ研修医時代の方が何も考えてなかったように思います。
胃カメラの検査をして全く正常だった場合、次の検査は3年後でいいと思います。
それでも、たとえば50歳の人でしたら今後10回程度は胃カメラ検査を受けることになります。
それが頭で分かっていても検査というと億劫なものです。
少しでも楽に検査ができる病院を探すのが自分の健康を守るコツだと思います。
(2005年9月1日)
政府は国民医療費を抑えたいようです。
風邪や腰痛では保険が利かなくなるかもしれません。
あるいは自己負担率が大幅に上がるかもしれません。
いずれにしても確実なのは病気になった時に、これまで以上にお金がかかるということです。
我々はどう対処すればいいのでしょうか?
簡単です、医師にこう言えばいいのです「なるべく安くして欲しい」。
効果が同じで値段の安い薬に替えてくれるかもしれません。
差し当たって必要でない検査を省略してくれるかもしれません。
病気によっては他にもいい方法があるかもしれません。
医師は医療行為のプロでもあると同時に、医療経済のプロでもあります。
これを上手く活用しないのは損だと思います。
(2005年11月2日)
タバコを吸うと血管が収縮します。
動物解剖で取り出した血管にタバコの煙を吹きかけただけでも血管は収縮します。
元町駅の改札を出ると急な階段があります。
愛煙家の人たちはその階段の前でタバコに火を点けて、そして階段を昇ります。
特にでっぷりと恰幅のいい人だと息を荒げながら昇ったりします。
当然心臓に激しく負担がかかっています。
その時にタバコを吸うと、ますます心臓に負担をかけることになります。
あの血管の収縮の様子を見た立場から言うと、どうして心筋梗塞が起きないのかが逆に不思議です。
元町の階段をくわえタバコで昇っている人は毎日奇跡を起こしているくらいに考えた方がいいでしょう。
(2005年11月17日)
先日勉強会に出席しました。
そのあとのレセプションで、何とタバコを吸っている医師がいました。
医師は病人を助けるために、最大の治療効果を、最高の技術で、そして最小の費用で達成する存在であるべきです。
この人の病態にはAの薬よりもBの薬の方が○%効果が高い、そのたった数%の効果の差を求めて私たちは努力しているのです。
ところがタバコは数%どころではなく、何倍も死亡率や発がん率を高めるのです。
そういうデータに無頓着な医師に治療効果の良し悪しが判断できるのでしょうか?
タバコを吸う人なら分かると思いますが、タバコを吸うと指先がかすかに震えます。
特に緊張した時ほど震えが大きくなります。
手が震える医師にあなたは命を任せられますか?
禁煙メソッドも保険適応になるそうです。
それだけ喫煙による健康被害が医療費を圧迫しているということです。
ところがタバコを吸う医師はそういうコスト感覚にも乏しいわけです。
日本の医療経済を危うくしているのはそういうコスト感覚のない医師ではないでしょうか。
医師免許の更新制に私は賛成です。
そしてできれば喫煙医師は免許更新できないような仕組みにして欲しいと思います。
(2005年11月21日)
アスベスト問題がずいぶん話題になっています。
アスベストが原因で亡くなる人の数は年間約1,000人。
恐ろしい数字です。
被害者への補償、企業倫理の確立、化学物質の取り締まりなど、国を挙げての対策をしっかり取ってもらいたいものです。
ところでこれだけ騒がれているアスベストですが、実はタバコの被害者の方がずっと多いのです。
受動喫煙でさえ年間の死亡者数は2万人から3万人と言われています。
アスベストの被害の実に数百倍です。
ところでJRの事故の時も内部から経営姿勢を非難する声が巻き起こりました。
三菱自動車の欠陥問題の時もそうです。上司に楯突いてでも良心に従う、そういう心意気の社員がいました。
JTには「こんなものを国民に売りつけるのはやめましょうよ」と声を上げる社員はいないのでしょうか?
(2005年11月24日)
乾燥肌でお困りではありませんか?
皮膚から潤いがなくなってかさかさになったり、痒くなったり。
指先のあかぎれも乾燥の時期ならではの悩みです。
こういう時はヒルドイドローションという塗り薬がお薦めです。
ローションですから広い範囲にも塗りやすいし傷にもしみません。
また夏場の悩みのタネの水虫も、この季節が完治のチャンスです。
夏なら毎日塗らなくては効かない薬も、この季節なら毎日塗る必要はありません。
思い出した時に塗っただけでも効果が期待できます。
ぜひお試しください。
(2006年1月13日)
1985年には、40歳から59歳までの男性の喫煙率は63%でした。
それから20年、現在60歳以上の男性喫煙率は31%です。
率にして約半分に減ったわけです。
男性100人のうち喫煙者が63人だとして、20年かけてこのうちの32人が禁煙に成功したとすればこの数字になります。
あるいは37人の非喫煙者は生き続け、喫煙者63人のうち47人が死亡してもこの数字になります。
何だか寒気がしてきませんか?
(2006年5月22日)
最近「格差」という言葉がよく取り上げられていますが、これもよく分からない言葉です。
たとえば夜の三宮を見ると、夜遅くまで塾で勉強している子どもたちもいれば、駅前広場でたむろしている子どもたちもいます。
この二つの集団に将来経済格差が生じてくるのは当然です。
その格差を所得の再分配によって解消しようというのが「結果において平等」という考え方です。
しかしこの考え方は歴史的に過ちであったことが証明された格好になっています。
これに対して格差を「原因において平等」に解消する方法があります。
まずは子どもたちに高等教育を安く提供することです。
習熟度別クラスを認め、優秀な生徒には奨学金を出し、高等学校を本来の高等教育の場に戻します。
これはアメの方策です。
しかしそれだけでは学習意欲のない子どもたちを引き上げることはできません。
アメの方策と同時に子どもの教育にある程度の強制力を持たせることも必要です。
門限を設けるのも一つのアイデアでしょう、違反した子どもには罰として漢字の書き取りや計算ドリルをさせるのもいいと思います。
格差を「原因において」解消するにはある程度のムチも必要だと思うのです。
格差という言葉を実に簡単に使っている民主党やマスコミですが、格差解消の具体的な方策をどこまで考えてしゃべっているのか詳しく聞いてみたいものです。
(2006年5月24日)
一筋縄では解決できない「格差問題」ですが、「経済格差」は実はまだ大した問題ではありません。
もっと重大な「格差」があります。
「健康格差」です。
努力の多寡によって経済格差が生じるのはある程度仕方がないことですが、所得の差によってもし寿命にまで差がつくとすればそれは大問題です。
たとえば所得の差によって健診の受診率が違ってくると、将来重病にかかる率にも差が出てきます。
この格差を解消するにはどうすればいいでしょうか。
まず病院での自己負担割合を減らして、所得の低い人が病気になっても安く治療を受けられるようにする、それが「結果においての平等」です。
しかしこれは本当の平等でしょうか。
治療を受けられるかどうかよりも健康か病気かという方がよっぽど重大な格差のはずです。
ですから自己負担を安く抑えるというのは「結果においての平等」という以前に「未熟な平等」なのです。
これを解消するには教育格差の解消と同じように「ムチの方策」が必要になってきます。
つまり健診を義務づけることです。
「健康に留意しないと罰される」
一見とんでもない提言ですが、格差を解消するためにこうした痛みを伴う方法が欠かせないのは前回説明したとおりです。
高所得者は低所得者へのある程度の所得配分の義務を負う。
それと同時に低所得者は格差債務状態を解消するための努力の義務を負う。
これが「成熟した平等」だと思います。
(2006年5月26日)
そこでまたしてもタバコです。
海外の統計では所得と喫煙率が反比例する結果が得られています。
つまり所得が高い集団では喫煙率が低く、所得が低いと喫煙率が高いのです。
しかも最近の健康意識の高まりによって先進国では喫煙率が減少していますが、減少しているのは高所得者層のみで低所得者層では喫煙率は横ばいのままです。
このままでは所得による健康格差がますます進んでしまいます。
所得による喫煙率にさほど差がない時代であれば「タバコは嗜好品だから個人の自由に任せる」などという理屈も通りました。
しかし今やタバコは「選択的に」低所得者層の健康を蝕む有害物質です。
経済格差や教育格差の解消と同様に、アメとムチの方策を用いて是正する必要があります。
禁煙治療を保険適応にするというのは「アメ」でしょう。
喫煙者のための禁煙指導費用を、禁煙者も支払っている医療保険から負担するのですから。
「ムチ」としてはタバコの値上げです。
よく「タバコ税として莫大な金額を払っているのだから喫煙者の権利をもっと認めてくれ」と主張する人がいますが、これは違います。
名目は「税金」ですが、理念としては「罰金」です。
みんなのお金を使って禁煙を推進するのだから、タバコを吸い続ける人にはある程度の罰金を払ってもらうわけです。
今日本では禁煙治療が保険適応になりました。
成熟した平等社会になるためにはタバコの値上げが必要です。
(2006年5月29日)
「痔の手術はできますか?」という問い合わせがよくあります。
「手術ができるか?」と聞かれれば「入院が必要になるような手術はしていません」と答えるしかありません。
しかし実際には手術が必要な痔はごく一部です。当院でも手術が必要になって入院施設に紹介した例は年に数例あるかないかです。
どうぞ、まず「本当に手術が必要かどうか」ご相談ください。
(2006年6月14日)
いよいよ暑くいよいよ蒸し暑くなってきました。
これからの季節は水虫のシーズンでもあります。
今症状がない人も、特にプールやスポーツジムに通っている場合は要注意です。
なるべく共用のバスマットは使わないように、そして予防的に水虫の塗り薬を1週間に1回、これだけ気をつけておけば安心です。
(2006年7月12日)
この梅雨は気温が上がりきらなかったせいか食あたりの人が少なかったように思います。
これから一気に気温も上がり、夏バテのせいで抵抗力も落ちてきます。
食生活の管理にはくれぐれも気をつけてください。
(2006年7月28日)
ピロリ菌に感染すれば胃癌の発生率が高くなるという統計が出ました。
ただ、これはそう単純な話ではなくて、胃癌の発生率を高める種類のピロリ菌がいる、程度に理解しておくのがいいと思います。
そこで問題は、自分が治療必要なピロリ菌に感染しているかどうか、という事なのですが、これを調べるには胃の粘膜を実際に見るしかありません。
やみくもに除菌治療をするのは問題です。無駄のない治療のためにも胃カメラの検査が必要という事です。
(2006年9月4日)
ピロリ菌といえば、発見者のバリー・マーシャルとロビン・ウォーレンが昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞したのは記憶に新しいところです。
発見から実に23年後の受賞でした。
ところが先日バリー・マーシャルのインタビューを読むと、彼は全ての胃潰瘍の原因はピロリ菌だと主張しています。
これは現在の認識とずいぶん隔たりがあります。
ピロリ菌胃潰瘍・胃癌原因説は10年ほど前から激しく流行ったり廃れたりしています。
今は一時のブームが一段落して、潰瘍の原因になり得るピロリ菌の種類を同定している段階です。
ノーベル賞受賞者の主張に基づいた真面目な記事や番組なのに結果的には医学的に正しくない、そういう不思議な現象が今起きているわけです。
(2006年9月6日)
2014年現在、ピロリ菌陽性の場合は全例除菌しようという流れになっています。
除菌治療が廉価に簡便になったため、除菌による胃癌発生率の低下という恩恵が症例絞り込みのためのコストを上回ってきたのです。
医療の発展にも経済の理論が大きく影響するという実例です。
従来慢性胃炎と呼ばれていた病気があります。
これは実は不思議な病名で、実体があるようなないような、はっきりした定義があるようなないような、やっぱり不思議な病名なのです。
まず一つは顕微鏡検査で初めて分かる「細胞の慢性胃炎」があります。
次に胃カメラで粘膜の変化を見て判断される「粘膜の慢性胃炎」があります。
それから症状から診断される「症状の慢性胃炎」があります。
現場ではこれら3つの「慢性胃炎」をごっちゃにして使ってしまうことが多いのです。
ですから「前の病院では慢性胃炎と診断されました」と言われると、どういう意味の「慢性胃炎」なんだろう? と困るわけです。
使う方からするととても便利な言葉ではあるのですが。
(2006年9月8日)
そんなわけで最近では「慢性胃炎」をもっとはっきりと定義づけようという動きが起こってきました。
言葉で書くと難しいのですが、「潰瘍症状型」「運動不全型」「非特異型」、そしてこれらをまとめて「機能異常症」と呼びましょうという流れです。
最近の論文ではこの流れに従って「慢性胃炎」という言葉を使わないようになってきています。
ところが現場の立場からすると実際の症状は人それぞれで、上手く3つの型に分類するのは至難の業です。
敢えて分類するとみんな「非特異型」になってしまいそうです。
医学的には、「潰瘍症状型」にはこの薬が効く、というふうにガイドラインが作れればいいのですが、結局は医師の経験で処方するしかないのが現状です。
もしかするとまたもや「慢性胃炎」という古典的な病名が見直されるかもしれません。
(2006年9月11日)
2006年9月、愛媛県の病院でおこなわれた腎移植でレシピエントからドナーへの金品の授受があったとして関係者が逮捕された。代理母については向井亜紀・高田延彦夫妻関連のニュースや娘のために母親が代理母となった事例などが記憶に新しいところ。
代理母の問題や腎移植の報酬の問題など、医療倫理を巡るニュースが最近多いです。
移植医療や生殖医療などの技術の進歩があまりに速すぎて倫理観が追いつかないのでしょう。
移植提供者に報酬を禁じるのは理念としては理解できますが現実的ではない気がします。
善意と報酬の線引きが難しいですし、抜け道が多すぎますし、摘発も難しい。
実際、今回の事件も報酬の支払いのトラブルがあって初めて発覚したという報道でした。
また国内での第三者移植を禁じると海外での臓器売買に拍車をかけかねません。
子どもから臓器の提供を受けた場合、その子どもに他の兄弟よりも多く財産を遺したらそれは報酬に当たるのかなど、考えれば考えるほど頭が痛くなりそうです。
と言って生体腎を市場の原理に任せようと言う気はさすがにありません。
倫理力が現実に追いつくまでに私たちに何ができるかと考えた時、死体腎移植がもっと活発に行われるような社会環境を作るしかないと思うのです。
(2006年10月6日)
「コレラの時代の愛」や「魔の山」を読んでいると、抗生剤の出現によって医療がどれほど変わったか痛感させられます。
抗生剤の出現前、人類は感染症におびえ、逃げ惑うしかなかったのでした。
「魔の山」では結核に対して様々な外科治療が試みられます。
それによって確かに外科技術は進歩したのですが、それは結核という圧倒的な脅威の前にはささやかな抵抗に過ぎませんでした。
「コレラの時代の愛」では隔離、検疫だけがコレラに対して人類が取りうる最大の対策でした。
抗生剤はもしかすると人類最大の発明かもしれません。
(2006年11月24日)
コレラの症状と言えば主に嘔吐と下痢です。
今、猛威を振るっているウイルス性胃腸炎もかなり激しい下痢と嘔吐が特徴です。
下痢に対しては失われた水分を補うのが最も大切です。
しかし嘔吐がひどい場合は口から水分を摂ることもできず、胃腸の脱水状態が進み、腸の麻痺によってますます下痢がひどくなる……という悪循環に陥りがちです。
これが抗生剤や点滴がない時代では致命的になっていたわけです。
激しい下痢は落ち着いたけれど、いつまでも軟便が続く。
そういう場合には胃腸の脱水状態が持続している可能性があります。
適切な食事療法が必要です。どうぞご相談ください。
(2006年11月27日)
2007年1月、関西テレビ制作の健康バラエティが「納豆ダイエット」を紹介したところ爆発的な反響を呼び、スーパーの納豆売り場から商品が消えてしまうという事態となった。
その後、番組で取り上げたダイエットのデータが捏造であったことが発覚し、番組は放送終了となった。
納豆がものすごい勢いで売れているとか。
しかし医学的に言って、食べるだけでやせる、そんな食材は存在しません。
ほどほどにしておきましょう。
ついでに言うと、やせる薬というのも存在しません。
ダイエット食品と銘打ったものがいろいろありますが、大抵は下剤とカプサイシンの組み合わせで、それ自体にダイエット効果があるわけではありません。
もし本当にやせる薬があるとすれば、ホルモンのバランスを壊している可能性があります。
大変危険なのですぐ中止した方がいいでしょう。
保険適用薬で糖分と脂肪分の吸収を抑制する薬もあるにはあるのですが、正常な人に対する効果はどうでしょう。
私も試しに飲んでみましたが、見てのとおり、あまり効果はないようです。
まさに「ダイエットに王道なし」ですね。
(2007年1月15日)
以前のコラムで「納豆でやせるはずがない」と書きました。
実は反省しております。
実験データとそれに基づく仮説が発表された時、科学者としては二つの段階を経なくてはなりません。
1)その実験が正当であるかどうか検証する。
たとえばダイエットの実験なら、被験者の数は十分であるか、納豆以外の栄養摂取量や運動量をどこまで厳密に管理しているのかチェックします。
また短期間の体重の増減は主に水分量の増減に基づくことが多いので、効果判定のためには体重よりも脂肪量を測定するべきでしょう。
つまり実験そのものが科学的に正しく行われているかどうかを判断します。
2)実験結果から仮説を導く論理的手順が正しいかどうか検証する。
最近あったのが、癌で亡くなった人はコレステロールが低い(栄養状態が悪いから当然なのですが)、従ってコレステロールを下げると癌になる、という調査結果です。
推論を誤ると、仮に実験が正しく行われていても間違った結論が導かれてしまうのです。
ある仮説に対して、科学者はまずこれらの検証を行うべきです。
それを全く行わないで「医学的にやせるはずがないからインチキだろう」と結論づけるのは、捏造するテレビ局と同様に間違った態度でした。
今後気をつけたいと思います。
(2007年1月22日)
最近になって複数の効果の薬を組み合わせた、いわゆる「合剤」が何種類か登場しました。
たとえば降圧剤と利尿剤の合剤のように服用する人が多い組み合わせの薬です。
毎日たくさんの薬を飲まないといけない人にとっては便利な薬だと思います。
薬の数が減るし、別々に飲むよりも値段も安くなります。
製薬会社もたくさんあるのですから、これからはいろいろなパターンの合剤をどんどん出して欲しいと思います。
(2007年1月26日)
そろそろインフルエンザが流行り始めています。
熱も38度を超えると、ただ家で寝ているだけでも大変に辛いものです。
かと言ってふらふらの状態で病院で長い時間待たされるのもそれ以上に辛いと思います。
インフルエンザの診断には専用の検査キットで15分かかります。
問題はそれ以外の待ち時間をどれだけ短く済ませられるか、という点です。
普段からご近所の病院のリサーチをしておくことをお薦めします。
1時間も待たされた挙句に「うちには検査キットがないからよそで検査してもらってくれ」なんて言われたら目も当てられません。
(2007年2月26日)
薬はどうして1シート10錠なのでしょう。
1日2回朝晩に飲む薬ならばともかく、1日3回飲む薬を1週間分出そうとするとどうしても1錠の余りが出てしまいます。
紛失しそうですし、飲み間違いの元にもなりそうです。
1シート7錠のパッケージが増えるといいと思います。
(2007年3月5日)
この間税理士と話をしていて内容があまりにちんぷんかんぷんなので思わず笑ってしまいました。
その時用いられた経済用語はどれもきっと初歩的で基本的な語句だったのでしょう。税理士もまさかこんな言葉が分かっていないとは夢にも思っていなかったと思います。
私も患者さんへの説明の時には専門用語を使わないようにしているつもりですが、それもあくまでもこちらの思い込みです。
この間は「『所見』って何ですか?」と聞かれてびっくりしました。私達にとっては学生の頃から日常的に使い慣れている言葉です。しかしちょっと考えれば普通の人が普通に使う普通の言葉でないことくらい分かるはずでした。自分の身勝手さを痛感させられて、本当に恥ずかしく思いました。
説明で分からない言葉を使うのは医師のミスです。もし分からない言葉があればぜひ指摘してください、お願いします。
(2007年4月4日)
もうすぐゴールデンウィークです。
皆さんはどういうご予定でしょうか?
私はこの時期は毎年検査と決めています。
消化器、呼吸器、そして脳、と3年ローテーションで検診するわけです。
もう少しすればこれに循環器を加えて4年ローテーションに、さらにもう少しすればこれにPETを加えて5年ローテーションにしようと考えています。
検査の必要性は分かっていても実際に日程を決めようとするとずるずると後回しになってしまうものです。
毎年○月は検査の月、そういう風に決めてみてはいかがでしょうか?
(2007年4月18日)
スポーツ生理学が発達するに従って「痛みを感じたら無理をしない」ということが常識となってきました。
プロ野球の投手も「違和感を感じたから」という理由で突然降板したりしますが、傷んだ筋肉に対する最善の処置はとにかく休ませることです。
これは筋肉に限りません。内臓も同じです。
高血圧は血管と心臓を酷使している状態です。
糖尿病は膵臓を痛めつけている状態です。
それに対する最善の処置は心臓や膵臓を休ませることです。
適切な薬を使って心臓や膵臓をリフレッシュさせてやれば薬は必要なくなります。
よく「血圧の薬を飲み始めると一生飲まないといけなくなるからいやだ」という方がおられます。
実は逆です。
中途半端な健康食品などでごまかしていると、どんどん内臓が弱っていきます。
そうなると薬を使ってももう内臓は元の状態に戻りません。
それこそ一生薬を使い続けなくてはならなくなります。
プロ野球選手の早めの降板を私たちも見習いたいものです。
(2007年5月30日)
保険診療をすると病院は患者さんから自己負担分をもらい、残りを診療報酬支払基金に請求します。
この請求が100%通ることはなかなかありません。
たとえば痔の患者に痛み止めの薬を20錠出すと、「痔だったら10錠で十分だろう」と半分しか払ってくれなかったりするのです。
そうすると残りの半分は病院の丸損になってしまいます。
「必要な薬を必要なだけ処方しているのに、どうしてこんなに請求が切られるんだ!?」
医者が集まると必ず支払基金への愚痴になるわけです。
それはそれで仕方がないと思うのですが、この間の報道を見ていて驚いたのは支払基金が悪名高い社保庁の長官の天下り先になっていることです。
よかれと思って処方した薬をばっさり切って浮いたお金が、長官の莫大な退職金に化けているのかと思うと憤懣やる方ない思いです。
(2007年6月25日)
当クリニックのオフィスビルのトイレが全館シャワートイレ仕様になりました(クリニック内のトイレはすでにシャワートイレでした)。
医学的に見てもシャワートイレが害になることはほとんどありません。
むしろ衛生上有用です。
トイレにはシャワートイレが標準装備という時代、とてもいいことだと思います。
(2007年7月9日)
カプセル内視鏡が実用段階に入ってきました。
小腸クローン病の診断率ではMRIを上回るとのデータもあります。
これまで困難だった小腸の検査も「不可能ではない」時代になってきました。
ところで苦痛の少なさも特徴の一つであるカプセル内視鏡ですが、胃の検査では使えません。
胃の中を見るためにはかなり大量の空気を送り込んで胃を膨らませないといけないのです。
胃の検査のためには当面胃カメラを受けるしかないようです。
(2007年7月11日)
2007年7月におこなわれた参議院議員選挙の争点の一つが「年金記録問題」であった。
一連の不祥事で社会保険庁のずさんなお役所仕事ぶりが明らかになり、年金改革を訴える民主党の追い風となった。
今回の選挙では年金問題が鍵になりました。
年金についての関心、議論が深まるのはとてもいいことだと思います。
それにしても年金についての報道についてはあきれてしまいます。
マスコミは年金の未納率をさんざん言い立てていますが、年金が危ないと煽ったのはそもそもマスコミです。
実際は制度が破綻の危険にあると言われながらも、国民年金は個人年金よりもはるかに条件がいいのです。
マスコミはそれを一切無視して危険性だけ報道しています。
そのマスコミに騙されて年金を払わない人が一番損をします。
似たようなことがありました。
ステロイドホルモンと水です。
かつてステロイドホルモンの危険性が必要以上に取り上げられ、今でも「ステロイドだけは使いたくない」という人は少なくありません。
ステロイドを適量使えば簡単に治るはずの皮膚炎の子どもにも、親の反対でステロイドが使えなかったりします。
こうなると一種の虐待です。
水もそうです。
水道水の危険性を煽っておいて高価な○○水を買わせる。
全て手口は一緒です。
公のものであればどんなにけなしても反論が来ることは少ない。
そこで自前の怪しげな商品を売りつけようという魂胆です。
年金制度や薬害、水の安全性に目を光らせておくのはとても大切だと思います。
しかしそれらの危険性が過度に騒ぎ立てられている時、そこに得体の知れないビジネスが絡んでないかどうか目を光らせるのも我々消費者の役割だと思います。
(2007年8月3日)
胃にもいろいろな病気があって、胃カメラで見ても診断に困る場合があります。
たとえば「粘膜下腫瘍」。
胃の壁の中にあって表面に露出していない腫瘍のことです。
表面に出てきていないので簡単に細胞を取るわけにもいかず、対応が難しい病変です。
それがこのたび粘膜下腫瘍に対するガイドラインがまとまりました。
このサイズの腫瘍ならこういう検査が必要、あるいはこのサイズなら手術が必要、そういう判断が客観的におこなえるようになったわけです。
現場の医者にとってはとてもありがたいことです。
(2007年8月8日)
最近はインターネットで病気や薬についての情報が簡単に手に入るようになってきました。
お尻に関する病気でもそうです。
実際、当院を受診される方のほとんどが、あらかじめネットで当院の診療内容を調べてから来られるようです。
「ネットで調べてみるとどうも自分の病気は○○らしい」という言い方をされる方も少なくありません。
その正解率ですが、実は4割程度です。
その数字が高いか低いか判断は難しいところですが、正答率を下げているのは「腫れや痛みは客観的に評価しづらい」というポイントです。
「腫れているから痔核だ」と訴えの人を診察すると実際はそうでもなかったり、逆に「切れたような痛みがあるから切れ痔だと思う」という人が痔核だったりします。
これは私の場合でも同じです。
視診、触診の前にまず問診をして、その段階である程度病名を思い浮かべます。
この場合の正解率がせいぜい8割でしょうか。
意外な病変に「あれ、そんなに腫れてませんよ」とか「え、これ全然痛くないですか?」とか言ってしまうことも珍しくありません。
つまり話だけでは正しい診断はできないのです。
電話相談はどんどんしてくださって結構です。
その症状なら何科に行くべきか、今日行くべきかそれとも1週間待てるのか、病院に行く時のちょっとした注意など、アドバイスはいろいろできると思います。
しかし診断については絶対に電話では解決しません。
答えはいつも同じです。
「見てみないと分かりません」
どうぞお越しください。
(2007年8月20日)
ある解剖学者の言葉がとても印象的です。
「人間は歩く腸である」
解剖学的に見ると、血管や神経、リンパ腺は消化管に集中しています。
見る人が見ればヒトの中心は消化管であって、その働きを助けるために他の内臓や、手足や脳が発達した事が実感できるのだそうです。
心臓は命の源ではなく腸に血液を効率よく運ぶための単なるポンプ、脳は心の源ではなく腸を最高の環境に移動させ、最高の食事を腸にもたらすためのセンサー、そういう考え方もあるのかもしれません。
いずれにせよ身体の神経が全て消化管に関わっているのは間違いありません。
様々なストレスで精神的に困っている人は多いですが、実は脳に行くストレスは一部分です。
胃腸こそが全てのストレスにさらされているデリケートな部分と考えるべきなのでしょう。
胃腸をもっといたわってやりたいものです。
(2007年9月5日)
以前「シャワートイレはお尻の病気にもいい」と書いた事があります。
実はシャワートイレよりももっとお尻に優しいものがあります。
人の手です。
シャワートイレでももう一つすっきりしない人には浴室に移動してシャワーを使うことをお薦めします。
たっぷり石鹸を泡立てて優しく手で洗うのです。
人の手に勝るものなし、です。
(2007年9月26日)
口の中が乾いて困るという方がおられます。
唾液が出ないわけではないのですが、ちょっとした分泌量の違いで食事に困ったり、しゃべりにくくなるという症状です。
口腔乾燥症と呼ばれるもので、これも従来であれば「歳のせいだ、命に別状ないから放っておけ」と言われた疾患です。
確かに加齢よる場合もありますが、全身性の病気が原因の事もあれば薬の副作用が原因の場合もあります。
治療はまだまだ難しいのですが、お困りの方は一度ご相談ください。
(2007年10月19日)
賞味期限の偽装表示のニュースを見て、こういう疑問を抱かれる方もおられると思います。
「薬には消費期限はないんだろうか?」
あります。
ありますが、薬の消費期限は意外と長くて、最短でも3年程度はもちます。
当院でも期限まで最低2年間のゆとりをもって処方しております。
とは言うものの引き出しの奥から出てきた、いつもらったか分からない薬は使わない方がいいでしょう。
(2007年11月14日)
風邪の季節ですが、風邪の治し方を勘違いしている人が意外と多いです。
風邪が治って熱が下がる時に、実際には体温は下がりつつあるのに人は熱く感じます。
汗も大量に出ます。
つまり風邪が治る時に人は汗をかきます。
でも逆はありません。
汗をかいたからといって風邪は治りません。
熱いお風呂やサウナに入ると一時的に体温が上がります。
出るとまた体温が戻るので熱が下がったような錯覚をおぼえます。
しかし平熱にまで下がるわけではありません。
しかも熱いお風呂やサウナは身体から体力と水分を奪います。
よくなったと思えるのは風呂上りの一瞬だけでそのあとは風邪はひどくなる一方です。
適度な温度と湿度が風邪の治療の第一条件です。
(2007年11月30日)
診療報酬が改定されます。
勤務医に手厚く開業医に厳しくという内容だそうです。
基本的にその流れには賛成です。
普通に仕事をしたあと徹夜で救急外来をみて、次の日は朝から外来、その合間に病棟の入院患者をみて昼から手術、そういうシステムではまともな医療ができないと思ったので私も開業しました。
ですから勤務医の労働条件を改善するための報酬改定には大賛成です。
上にも書いた勤務医の勤務内容で、不要なのは外来だと思います。
高度医療の担い手であるはずの勤務医が平日の昼間に風邪や腰痛の患者を診察している、これこそが労働力と医療費と、そして外来での待ち時間の無駄の最大原因です。
高度医療の病院の外来は保険診療外として、紹介状がある場合のみその後1ヶ月間を保険適応としてはどうでしょうか。
これだと高度医療病院の医師は軽症患者の診察から開放されると思います。
(2007年12月3日)
ウイルス性胃腸炎が猛威を振るっています。
下痢が続くと消化管が脱水状態に陥り、ますます回復しにくくなります。
早めの治療をお薦めします。
(2007年12月10日)