神戸元町ダイアリー2005年(3)

またまた恥ずかしいお話です。
この間初めて「セコハン」というのが「secondhand」の略だと知りました。
「中古の」という意味です。
「セコ」をどう書くかは知りませんが「ハン」はきっと「半」なのだろうと、何となく思っていたのです。
これと逆なのですが「尾篭な話」もついこの間までてっきり「belowな話」だと思っていました。
「尾篭」という漢字があるのは知っていましたが、冗談半分の当て字だと思っていました。
調べてみるとれっきとした日本語でした。
さらに調べてみると「尾篭」は「愚かな事」を意味する「をこ」という古語の当て字らしいです。
つまり昔は「をこ」という言葉が先にあって、それに「尾篭」という漢字を当てた。
それがいつの間にか「びろう」と呼ばれるようになったのだそうです。
大阪から見て「向こうの山」に「六(む)甲(こう)」と漢字を当てて、それがいつの間にか「ろっこう」と呼ばれるようになったのと似ています。
「武(む)庫(こ)」も同じ語源のようです。
手術の時に患者さんに掛ける布を固定する器具があって、「りひか」と呼んでいました。
これもてっきり「LIGHKER」とかそういうドイツ語なのだろうと何となく思っていましたが、実は「離被架」でした。
この「何となく」というのは曲者です。

 

(2005年7月5日)

七夕です。
だからというわけでもないのですが古今の恋愛小説を2冊読みました。
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」と、ネット掲示板から自然発生した「電車男」です。
片や世紀の名著と謳われる悲恋物語、片やとことん軽い電脳ラブコメディ。
勝負は「電車男」の圧勝です。
洗練されていてしかも可愛らしい「エルメスさん」に対して「ロッテ」の魅力の平板なこと。
どちらの作品も基本的には恋する男の一人称で描かれているのに、この差は一体何でしょう。
恋する女性をあんな風にしか表現できないようではウェルテルが振られるのも当然……、妙な具合に納得してしまいました。
もちろん何年か経って同時代性が希釈されればきっと「電車男」の面白味は激減するでしょう。
だからと言って「ウェルテル」の文学的価値が再上昇することはないと思います。

 

(2005年7月7日)

皆さん、にぎり寿司はどうやって食べますか?
ひょいと手に取って、ネタに軽く醤油をつけて、口に放り込む、というのが粋な食べ方だと思います。
ところがネタに醤油をつけやすい持ち方で手に取ると、口に入れる時、ネタが下にきてしまいます。
淡い味のシャリよりも濃い味のネタが先に舌に触れるわけです。
まずシャリを味わい、その歯ごたえを楽しんでいるとその向こうにネタが現れてくる、そういう展開の方が理想的です。
シャリ側に親指、ネタ側に人差し指と中指という形で持って、醤油をつける時には手首をスナップさせれば口に入る時にはシャリが下になります。
脳内シミュレーションではなかなかいい具合なのですが、問題はこのアイデアを実地に試す予定が全くないことです。
早く試してみたいものです。

 

(2005年7月11日)

今年から開幕した「四国アイランドリーグ」。
四国を舞台とした独立リーグで、選手の年棒は低いのですが一応プロです。
高校野球県予選のために野球場の確保が難しくなるので、これから2週間のオフシーズンに入ります。
前半戦終了といったところでしょうか。
現在わが「愛媛マンダリンパイレーツ」は最下位。
首位の「高知ファイティングドッグス」との差は6ゲームもあって苦しいところです。
しかし観客数を見ると愛媛は高知の倍以上の動員があります。
きっとこの差が後半戦ものを言ってくれると信じています。
逆に観客数が戦績に足を引っ張られる可能性もあるのですが……。

結局愛媛マンダリンパイレーツは最下位に終わった。そして四国アイランドリーグは2014年の時点でまだ存続している。

 

(2005年7月14日)


「若きウェルテルの悩み」に続いてゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を読みました。
小さな劇団を舞台にして複雑な人間関係と恋愛模様が綿々と綴られる、ジャンル分け不能の小説です。
大きな起伏もなく、だらだらと物語が進むのですが、ラストに来て「冬ソナ」も「赤い疑惑」もびっくりのどんでん返しが待っていました。
それにしてもゲーテは大丈夫なのでしょうか。
続く「遍歴時代」では小説の枠組み自体が崩壊してしまいます。
ゲーテよ何処に行き給う?

 

(2005年7月19日)

ドラマ「がんばっていきまっしょい」がなかなか楽しいです。
原作は読んでいないのですがテレビ版は完全にお約束通りのスポ根もの。
キャラクター設定も完全にパターンどおり。
とことん元気な主人公。
その親友はちょっと心配性で、あと、寡黙な美少女、パワーいっぱいのでぶっちょさんに不良少女という5人組。
対する男の子には、悪口をぽんぽん言い合える幼なじみと、謎めいたちょっと不良っぽい王子様タイプ。
その王子様役がスキャンダルで降板してしまったことを除けば、完全に予定調和ドラマです。
ところがこのありきたりなドラマが、きれいな海と、ほんわかとした伊予弁でコーティングされるとたちまち素敵な青春ものに変身するから不思議です。
それにしてもどこでロケしているのでしょう。
あんなにきれいな海や夕日が今の愛媛にあるのでしょうか?


すごいですね、「がんばっていきまっしょい、ロケ地」で検索するとファンによる詳細なロケ地マップが手に入ります。
それによると美しい海は大三島のようです。

 

(2005年7月21日)


飲酒騒動で降板したタレントが何歳なのか知りませんが、どうして成人は20歳以上なのでしょう?
今の日本で短期大学以外に20歳が区切りになるものがあるのでしょうか。
高校を卒業して立派に働いているのに2年間は成人としての権利も義務も与えられないとは全く馬鹿げています。
大学のコンパで2年生までは酒が飲めないというのも現実を無視していますし、一刻も早く「成人は18歳以上」とするべきでしょう。
18歳以上に選挙権が与えられると年金問題の議論も間違いなくテンポアップすると思います。

 

(2005年7月25日)

この間何となくNHKの「スペイン語講座」を見ていたら「笑い飯」という漫才コンビが出ていました。
司会というか狂言回しみたいな役だったのですが、このコンビのボケツッコミが語学講座にぴったりでした。
会話の練習なので自然と同じ言い回しの繰り返しが多くて、それが「笑い飯」のダブルボケのスタイルに妙にはまっていたのです。
お暇ならどうぞ。

 

(2005年7月27日)

スペースシャトルが打ち上げられました。
いろいろトラブルはあるようですが、野口さんには無事に帰還してもらいたいものです。
ところで今回のスペースシャトルには宇宙ラーメンなるものが搭載されているとのことです。
称して「スペースラム」。
しかしどうして「スペースラーメン(Ramen)」じゃなくて「スペースラム(Ram)」なのでしょう。
「en」のたった2文字を省略する意味は何なのでしょうか?
ラーメンは今や世界に誇る日本の食文化です。
製品に自信があるのなら「ラーメン」という言葉を大切にしてもらいたいものです。

 

(2005年8月1日)

最近ネットショップで本を買うことが多くなりました。
送料を考えると何冊かまとめて買うことになります。
これまでは「つんどく」防止のために、今の本を読み終えるまでは次の本を買わないようにしていたのですが、そのポリシーが崩れてしまいました。
未読の本が棚に何冊も並んでいるのは結構プレッシャーです。
「読み終わってから買う」と言えば、焼肉屋で実践しているのが「食べてから焼く」というやり方です。
まず一切れ焼いて、それを食べてから次の一切れを鉄板に乗せるのです。
こうするとすぐお腹がいっぱいになって、健康のためにも財布のためにもなるというわけです。
ただし大勢で食べる時にはこのテクニックはお薦めしません。当たり前ですね。

 

(2005年8月3日)

毎月「ネコ」の雑誌を買っているのですが、今月の特集は何と「マッサージ」でした。
いくら可愛いとはいえ、ネコに足ツボマッサージなんて必要なのでしょうか? 
第一、ネコの肩ってどこでしょう?

 

(2005年8月8日)

申し訳ありません。みなさんに薦めたくせに、ドラマ「がんばっていきまっしょい」、脱落してしまいました。
つまらなくなったわけではないのですが、毎週同じ曜日の同じ時間にテレビに向かうというライフスタイルは無理だったようです。
脱落と言えばビデオで見た「血と骨」も途中でやめてしまいました。
重くて暗い作品はどうも苦手です。
この間見た「パッチギ」は面白かったです。
途中少し説教臭くなるのですが、まあ許容範囲内でしょう。
それから最大のお薦めは「いま、会いにゆきます」、これです。
当クリニックは明日からお盆休みに入ります。
本当に暑いですが、みなさまどうか体調にはくれぐれも気をつけて、もし時間があれば「いま、会いにゆきます」をぜひどうぞ。

 

(2005年8月11日)

新刊が待ち遠しいトム・クランシーですが、今月は「ジャック・ライアン」シリーズの新作がいよいよ登場しました。
「レッド・オクトーバーを追え」、「パトリオット・ゲーム」、「今そこにある危機」、「トータル・フィアーズ」などの数々の映画化でも知られる「ハイテク軍事スリラー」の人気シリーズです。
現実世界ともリンクしながら登場人物たちも成長を続け、主人公ジャックもついには大統領まで登りつめました。
今作では息子の世代が主役となります。ヴァーチャルな世界への思い入れ具合が水島新司のマンガを見ているようで、めまいがしそうです。
内容もいよいよ空疎に、おバカになってきました。
おバカなだけならまだいいのですが、主人公たちが振りかざす「正義」の薄っぺらな事。
おいおい、アメリカ人よ、本当にこれでいいのか?  って感じです。

 

(2005年8月17日)



うちの飼い猫が結膜炎になったので獣医さんに連れて行ったらこんなものを着けられてしまいました。
それ以来妹たちにいじめられてスネすねモードのネコたちゃんです。

 

(2005年8月19日)

森鴎外を読んでいます。
「思惟」という漢字に「しゆい」とルビが振ってありました。
「思惟」という字面と意味から感じられるイメージと、「しい」というあっさりとした呼び方の食い違いにこれまで違和感を感じていたのですが、「しゆい」ならぴったりです。
これからは「思惟」と書いて「しゆい」と呼びましょう。

 

(2005年8月22日)

またまた衝撃的なことに気がついてしまいました。
中学の教科書にとても印象的な短編小説が載っていました。
男の子が父親に連れられて荒野を旅していて、そこで出会ったテント住まいの家族に朝ごはんを食べさせてもらうお話です。
その朝ごはんのベーコンがとっても美味しそうだったのです。
その短編をずっと探していて、「ヘミングウェイ短編全集」を買って読んだのですが、目当ての作品はありませんでした。
それがずっと不思議だったのです。
昨日、読んでいた本のしおりの裏に「食べ物と小説」というミニコラムが載っていました。
「食べ物が印象的な小説があります。たとえばベーコンとパンが印象的なスタインベックの『朝めし』とか」
何と! ヘミングウェイとスタインベックを30年間ずっと間違えていたのでした。
目当ての作品はスタインベックの「朝めし」、新潮文庫の「スタインベック短編集」に入っています。

 

(2005年8月25日)

クリニックの下の階にボクササイズのジムがオープンしました。
うちのナースも早速入会してトレーニングをしているようです。
何でも「目標5キロ減!」だそうですが、さてどうなることでしょうか。

 

(2005年8月29日)


この週末は田舎に帰ってきました。
初めて「しまなみ海道」を通りました。
どんどん景色が変わって、実に楽しいバスの旅でした。
よく見ると確かにどの橋にも歩道、自転車道がついています。
しかしこれを自転車で渡るのはとっても大変でしょうね。
写真は驟雨に煙る古里の山です。

 

(2005年9月5日)

4年前から読み始めた「三島由紀夫全集」がついに完結しました。
中学生の頃からの憧れと夢がやっとかないました。
これで三島が書き残した文字のほとんど全てを読んだことになるわけですが、振り返ると質とともに量も圧倒的です。
全集が42巻に及ぶ作家なんて世界でも例がないのではないでしょうか?
ところで、この全集刊行中に新たに発見された原稿や資料を基に、「補巻」が刊行されるそうです(年内発売予定)。
さらにビッグニュースです!
三島が制作した映画「憂国」が「別巻」として収録されるそうです(来春発売予定)。
実は読者アンケートでずっと訴えていたのです、「『憂国』が入っていない全集なんて全集とは言えない」と。
願いが届いてとても喜んでいるところです。

 

(2005年9月8日)

2005年9月11日の衆議院議員選挙では「郵政民営化」を掲げた小泉自民党が圧勝した。
印象深いフレーズとしては「小泉チルドレン」「刺客」など。


選挙が終わりました。
結果については人によっていろいろな受け止め方があるのでしょうが、二項対立だとこれだけ盛り上がるのですね。
それなら最高裁判事の国民審査も二択ですからもっと盛り上がってもいいと思うのです。
「参院選の1票の格差が5倍を超えた選挙は合法か?」とか「婚外子への相続が差別されるのは合法か?」とか「外国籍の職員に対して管理職試験の受験を拒否したのは合法か?」などの議論は、マスコミ的にもバラエティ的にも面白いと思います。
マスコミは妙なやらせで番組を盛り上げようとするのではなく、こうした分かりやすい議論で盛り上げて欲しいものです。

 

(2005年9月12日)

新聞などで時々医師が本や映画の批評をしています。
テレビや雑誌でよく見かける有名な医師による映画レビュー、という類のものです。
あれは要注意です。
医者というのはなぜか映画のラスト、犯人やオチまで全部書いてしまうことが多いのです。
この間は香山リカ氏が公開前の映画の最後のドンデン返しまで丁寧に説明していました。
評者の職業欄が「医師」であれば、その批評は読まない方が身のためです。


全く関係ない話ですが、「香山リカ」が「かやま」なのか「こうやま」なのか、いまだに迷います。
正解は「かやま」です。この機会に「最初と最後が「か」」と憶えましょう。

 

(2005年9月15日)


「すみません」という言葉が便利で、ついつい使ってしまいます。
よく考えてみれば「すみません」にも意味が3通りあります。
1)よびかけの言葉
2)感謝の気持ち
3)謝罪の気持ち
しかし感謝の気持ちを表すには「ありがとう」という素敵な言葉がありますし、謝るには「ごめんなさい」というきれいな言葉があります。
何となく「すみません」と言うのではなく、「ありがとう」と「ごめんなさい」という言葉を使いたいものです。

 

(2005年9月20日)

朝晩はずいぶんと涼しくなりましたが、昼はまだまだ暑いです。
休みの日には昼からでもビールが飲みたくなります。ところでビールの自販機はどうして「ごとん」と勢いよく落ちてくるのでしょう。
おかげでビールをすぐ飲もうとすると泡だらけです。
自販機を開発している人は、自分の作った機械から出てくるビールを飲んだことがないのでしょうか。
ついでに言うとコンビニエンスストアのビールがぬるいのも何とかしてもらいたいところです。

 

(2005年9月26日)

この間大丸ミュージアムの「コクトー展」に行ってきました。
コクトーの描線は生き生きとしていて華やかでポップです。
彼のタッチからは初期のシュールレアリストたちが背負っていた重い使命感のようなものが感じられません。
その奔放な線をレコード針でたどると、サティやプーランクの音楽が流れてきそうです。

 

(2005年9月29日)

神戸元町ダイアリー2005年(2)ネコ派の提言<main>神戸元町ダイアリー2005年(4)音楽映画の佳作たち


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