しかし、やっぱり一番引っかかるのは「5分間の猶予」です。
魚雷を食らってしまった駆逐艦に対して潜水艦艦長は「退艦のために5分の猶予を与える」と言います。
駆逐艦艦長はそれに対して「猶予をくれて感謝する」と返信して、油断させて、その隙に反撃を開始するのです。
ちょっと、いや、ものすごく卑怯です。
それまでのハラハラドキドキを返せ、と言いたくなります。
とまあ、名作と言われている割に突っ込みどころの多い映画ですが、やはり「潜水艦もの」の嚆矢(こうし)としてランクインさせるべき作品ではあるのでしょう。
ところで、軍事オタク、兵器マニアの皆さんのこの作品に対する評価をネットで調べてみると面白いです。
時代考証がしっかりしているという人もいれば、無茶苦茶だという人もいます。
両艦長の知的攻防を楽しんでいる人もいれば、噴飯物の作戦だとこき下ろしている人もいます。
どうせならディスクの裏音声で軍事オタクたちの座談会を収録すればいいと思います。
「この部分のこの行動はおかしい!」
「いやこの艦長はこう考えて、あえてその行動を取ったんだ」
などなど。
最初はなごやかに始まっても、きっと最後には取っ組み合いの喧嘩になると思います。
でもその方が本篇よりも面白いかもしれません。