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「罪と罰」を読む(第6部第8章)

(187)

 

このあたりまだまだ訳の分からないことだらけです。

404ページ。

 

「十字を切って、一度でいいから祈ってください」臆病そうに声をふるわせながらソーニャは哀願した。

「ああ、いいとも、何度でも気のすむまでね! それも本心から、ソーニャ、素直な気持ちから……」

しかし、彼が言おうとしていたのは、べつのことだった。

 

この「べつのこと」とは何でしょうか?

 

答えらしきものは406ページの最後にあります。

 

おれは彼女の涙がほしかった、あの怯えが見たかった、彼女の心が痛み、切りきざまれる様子を見たかった!

 

しかしここに至るまでにラスコーリニコフは何度も新しい感情に襲われています。

 

まず404ページ、

 

そう言いながら、ひとつの新しい感情が彼のなかに生まれた。

ソーニャを見つめているうちに、胸がしめつけられた。

(中略)

《おれの乳母にでもなるって気か?》

 

次のページ、

 

ふいに、ソーニャがいま自分といっしょに行こうとしているのにも驚いた。

 

つまりラスコーリニコフは、自首する自分に付き添おうとしているソーニャを見て二回も新鮮に驚いています。

 

そして三回目に先ほどの406ページの台詞の直前の文章に至るわけです。

ラスコーリニコフは本心では彼女にすがりたかったのです。

 

でも「すがりつくわけにはいかない」と強がっていました。

それが401ページの「こけおどし」でした。

405ページの精一杯の強がりでした。

 

「自首したい、ソーニャに付き添われて」というのが彼の心の奥底の願望です。

しかし自首に関してもまだまだ迷っています。

付き添われたいという気持ちも口に出せませんでした。

素直さ指数でいうと75%程度の気持ちで、ラスコーリニコフは広場に向かいます。


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