<< シベリウス「タピオラ」曲目解説 | main | 潤一郎全集あれこれ(59) >>

潤一郎全集あれこれ(58)

○天鵞絨(びろうど)の夢

 

上海の大富豪の温夫婦は杭州の別荘に大勢の奴隷を集めて放恣で残虐な生活を恣(ほしいまま)にしていた。たとえば温夫人の阿片部屋。その部屋は池の下に造られていた。夫人は若い男奴隷にかしずかれながら硝子天井を見上げて阿片を楽しんでいた。池では魚の群れと一人の若い女奴隷が泳いでいた。やがて男女の奴隷は、硝子越しに意識し合うようになった。夫人は女に毒を盛った。少女は夫人と少年が見守る中、水の中で美しい死体となるのだった。

 

この小説は本当は未完作です。

 

本来ならばこのあと温夫婦の裁判や、冒頭に登場した謎の美少女の正体が語られるはずですが、谷崎はここで飽きてしまったようです。

ですが、伏線が回収されない小説は山のようにあります。

一応最後にはとってつけたようなエンディングもあります。

そこで一応完結作として扱い、あらすじをつけてあげました(なぜか上から目線)。

 

 

とはいえ、フォーカスを「私と謎の少女」に合わせるのか、それとも「美少女の美しい死」に合わせるのかによって、あらすじもがらりと変わってきます。

「私が杭州を旅していた時……」で始まるあらすじがあっても不思議ではありません。

 

その感性は多少不思議ですが。


calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>
selected entries
categories
archives
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM