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神戸元町ダイアリー2014年(4)

スタッフが先日台湾でこんな写真を撮ってもらったそうです。



衣裳から小物から化粧から至れり尽くせりでお手軽にモデル気分が味わえる、という趣旨のようです。
「クリニックのブログにアップしてもいいです」というほのめかしが最近「早くアップしろ」という圧力に変わってきたのでアップしておきます。


 (2014年10月15日)

3種類のコスチュームで撮影してくれたようです。
あと2種類がこれ。



記念アルバムとデータディスク込みで2万円程度だそうです。



興味のある方は受付で直接おたずねください。


(2014年10月17日)

ベルリオーズ作曲の序曲「リア王」という曲があります。

「序曲」とは銘打たれていますが本体に当たるオペラは存在していません。
おそらくは「演奏会用序曲」として構想されて単独に書かれたものなのでしょう。
「序曲」なので必ずしも筋書きに沿った描写音楽ではありませんが、冒頭のメロディーはリア王を、続く美しいメロディーはコーディリアを、速い部分は翻弄されるリア王の運命を表しているのでしょう。

一般的には。

今回この曲を演奏するにあたって「リア王」を読み直してみました。
やはり興味深いのは「リア王をいつからどう狂わせるのか」というところです。この解釈によって三人娘との場面もいろいろ楽しめます。
それから感じたのは、今までは存在の意味がよく分からなかった「道化」というシステムのすごさ。

そして今回気づかされたのは、登場人物の中で一番頭がおかしいのはコーディリアであるということです。

コーディリアは不器用だけれども優しい父親思いの娘であるというのが一般的な読み方です。
私もその先入観を持って読み始めたのですが、それにしては言動がいろいろおかしいです。
登場人物のほとんどが死んでしまうという究極の悲劇をもたらしたのは一体何でしょうか。
「長女と次女の貪欲さとリア王の狂気」ではあまりにも弱すぎます。
リア王の狂気をもっとも強く受け継いだのは三女だった、と解釈して初めて悲劇と殺戮の連鎖が腑に落ちるような気がします。

とすると、冒頭のメロディーはリア王でいいとして、10小節目からの繰り返しはコーディリアで、美しいメロディーはケントではないか、などと考えたりもするのです。


(2014年11月5日)

デュカスの「魔法使いの弟子」はディズニーのアニメーションで有名になった曲です。

順番としては、紀元1世紀の風刺作家ルキアノスの作品に登場する小エピソードをゲーテが物語詩に翻案。
それにインスパイヤされたデュカスが曲を書く。
その曲を聴いてディズニーがアニメーション化、という流れです。

興味深いのは、それぞれが元ネタを忠実になぞっているところです。
伝言ゲームであれば最初と最後で話が大幅に変わっていてもおかしくありませんが、この場合ルキアノスの作品とアニメを比べてもさほど食い違い感はありません。

一つだけ大きな改変があります。

 

(2014年11月7日)

「魔法使いの弟子」をミッキーマウスが演じている点です。

デュカスの曲を純粋に音楽として聴くと、かなりグロテスクです。
おそらくディズニーもそのグロテスクさを敏感に聴き取ったのでしょう。
それでアニメ化に際して主人公を可愛いキャラクターに演じさせて残酷さを薄めることにしたのではないでしょうか。

ディズニーの狙いは成功しました。
「ファンタジア」の映像を思い浮かべながら聴くと、デュカスの曲は気の利いたBGMのように聞こえます。
曲本来の先鋭さが損なわれたということです。
ディズニーが優れた聴き手だったがゆえにデュカスの意図をゆがめてしまった、と言ってもいいかもしれません。

デュカスの「魔法使いの弟子」に接する時には「ファンタジア」の映像を思い浮かべるよりも、この曲をディズニーがどう聴いたか、を想像しながら聴くのがいいかもしれません。


(2014年11月10日)

シェーンベルクの「ペリアスとメリザンド」は難曲です。
演奏者するのが難しいだけではなく聴き手にも多大な忍耐力を要求します。
私の場合、何べん聴いても最初の3分で寝てしまいました。

これを何とか最後まで聴き通す方法はないかと考えて、試しに作ってみました。
1分ごとのあらすじです。
左の数字が「分」を表します。

第1部 出会い

000 鬱蒼とした森。日が傾く時間でもないのに夜のように暗い。
時折差し込んでくる木漏れ日。
001 疲れ果てた白馬とアルモンド城主ゴロー。
獲物を見失ったゴローの表情は暗く、馬の歩みは重い。
002 木々の隙間から何かが見えては隠れる。
一瞬差し込んだ日差しに女性の白い衣装が浮かび上がる。
003 恐る恐る近づくゴロー。やはり女性だ。
若い娘が老木に身をもたせかけている。
004 娘の美しい顔を見て心ときめかせるゴロー。
ゴローは馬を飛び降り娘に駆け寄る。
005 ゴローの想いは嵐のようにつのる。
しかしそれは悲劇の始まりでもあった。
006 メリザンドという名前は聞き出せたが、それ以外の
問いかけには「追われている」とだけ繰り返す娘。
007 ゴローは娘を自分の城にいざなう。
ゴローとメリザンドは結ばれるがそこにペレアスが登場。
008 戦場から帰還したペレアスはゴローの異母弟。
快活な青年ながら眼差しに宿る憂愁の影。
009 ペレアスの登場で古色蒼然としたアルモンド城はぱっと華やぐ。
010 ペレアスはメリザンドを見て心を揺さぶられる。
それはメリザンドも同じだった。
011 ゴローの束縛の下で月見草のように暮らしていたメリザンドに
生命力が吹き込まれる。

 

(2014年11月12日)

第2部 悲劇の始まり

012 古井戸のそばに並んで腰かけるペレアスとメリザンド。
きらきらと輝く水面、さらさらと流れる泉。
二人は子どものようにふざけ合っている。
城の中では沈鬱なメリザンドがここでは屈託ない。
もてあそんでいた結婚指輪が井戸に落ちる。
013 時を同じくして森で狩猟中のゴローが落馬して傷を負った。
ゴローを看病するメリザンド。その指には指輪がなかった。
014 夫の心に猜疑の芽が宿る。
どす黒い疑いはたちまち膨れ上がってゴローを苦しめた。
015 若い二人はそれを知らない。
バルコニーから身を乗り出したメリザンドをペレアスは見上げる。
016 垂れ下がってきた長い髪の毛を愛しむペレアス。
まるでメリザンドそのものを愛撫するように。
そこにゴローが現れる。
017 ゴローの疑念は現実のものとなった。荒れ狂う嫉妬の炎。
018 ゴローはペレアスを地下の洞穴に呼び出した。
不気味な闇。
ゴローは弟に城から出ていくように命じる。

ここで曲はほぼ折り返し点となります。

 

(2014年11月14日)

シェーンベルクとメーテルランクを冒涜するような暴挙、第三弾です。

第3部 愛の死

019 ペレアスはメリザンドに静かに別れを告げる。
その言葉は徐々に熱を帯びて最後には愛の奔流となる。
020 今宵泉の傍でもう一度逢おう、そう約束する二人だった。
密会。
021 抱き合い愛の言葉を語り合う二人。
愛を伝えるのに言葉では追いつかなくなる。
022 官能の波に身を任せる二人。
023 何度も高みに到達する若い二人。
いっときの静寂も終着ではない。
二人は見つめ合いなおも愛し合う。
024 さらに荒らぶる官能の嵐。
025 絶頂、そこでは余韻すらもが激しい。
026 幸福の頂点でゴローが飛び込んでくる。
嫉妬に狂ったゴローはペレアスを刺し殺す。

 

(2014年11月17日)

第4部 おわり

027 ゴローはメリザンドとの出会いを思い出している。
森は暗かったがあの時、二人の未来は明るかった。
028 ペレアスを目の前で殺されてメリザンドは昏睡状態に陥っている。
衰弱しながらもメリザンドは美しい。
029 時折メリザンドの口元に微笑が宿る。
彼女の脳裏に映えているのはゴローかそれとも少女時代の思い出か。
030 あるいはペレアスか。
その表情を見てゴローの呼吸が苦しくなる。
031 この苦悶は愛のせいなのか嫉妬のせいか。
ゴローは懸命に自分の感情を押しとどめようとする。
032 しかし激情を抑える事はできない。
ゴローはメリザンドを揺り動かす。
033 抱き起こして叫び続ける。
「お前が愛していたのは俺だったのか、ペレアスだったのか」
034 ゴローはメリザンドを横たえ嗚咽する。
彼女の口から息が漏れる。
かすかに聞き取れる声。「私が愛したのは……」
035 しかし彼女の言葉はそこで途切れた。
036 こと切れるメリザンド。
その口元には微笑が浮かんでいる。
037 立ち尽くすゴロー。
彼の心を幸福な過去が満たす。
038 城主としての日々、ペレアスや家族たちとの日々。
それからメリザンドとの思い出。
039 最初はゴローの心を幸福で満たしたその思い出はすぐ荊となって胸を突き刺す。
040 その場に崩れ落ち昏倒するゴロー。
041 夕陽に浮かび上がるアルモンドの城。
ゴローは静かに息を引き取る。

 

(2014年11月19日)

シェーンベルクの音楽をたどってみると、第3部はメーテルランクの原作よりもかなり生々しくなっています。

第4部でゴローがメリザンドに「ペレアスと関係があったか」問いただすのですが、シェーンベルクの音楽ではあきらかに二人は関係を持っています。あくまでも「音楽では」ですが。
さらに「音楽では」、二人が関係を持っている最中にゴローは乱入しています。
ですので第4部でのゴローの問いかけは意味を失ってしまいます。
それで私のあらすじではゴローは「関係を持ったかどうか」ではなく「誰を愛しているのか」と問いかけたことにしました。
シェーンベルクもそんなことは分かっていたはずです。
しかしそれでもあえて書きたかった第3部だったのでしょう。

ベルリオーズ「リア王」、デュカス「魔法使いの弟子」、シェーンベルク「ペレアスとメリザンド」、今回のコンサートのテーマは「物語と音楽」です。



お暇ならどうぞ。

 

(2014年11月21日)

いよいよ今年も残すところあとわずかとなってしまいました。
皆さま、年末年始はどのようなご予定でしょうか?

お正月で一番困るのは面白いTV番組がないことです。
バラエティはうるさいだけだし、お笑いはどれも年末に見たネタばかりだし、スポーツのイベントは2日からだし。
レンタルビデオショップに行ってもめぼしい作品はことごとくレンタル中です。

そこで提唱したいのが三都元旦駅伝です。
神戸→大阪→京都の推定110キロ、所要時間6時間の大イベントです。
正月だからもともと道路も空いているし、もしかすると交通規制も必要ないかもしれません(暴論)。
知らない学校ばかりが走る箱根駅伝だって年々ヒートアップしているようです。
身近な大学が競う関西駅伝はもっと盛り上がるのではないでしょうか。
ぜひサンテレビ、テレビ大阪、京都テレビの3局ネットでお願いします。

というわけで松本胃腸科クリニックは12月27日(土)から1月4日(日)まで休診です。
インフルエンザが猛威を振るっているようですが体調管理にはくれぐれも気をつけてよい年をお迎えください。

 

(2014年12月26日)

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