神戸元町ダイアリー2013年(4)

以前、喫煙者がどうして嫌われるのか書いたことがあります。
マナーのいい喫煙者がタバコを吸うのは、喫煙エリアだけです。
マナーのいい喫煙者がタバコを吸っているところを、タバコを吸わない人が目にすることは基本的にありません。
逆に言うと、タバコを吸わない人の目に入ってくるのはマナーの悪い喫煙者だけなのです。
嫌煙運動が感情的すぎると言う人がいます。
しかしタバコを吸わない人が感情的になるのには理由があります。
タバコを吸わない人の目には「喫煙者=マナーが悪い」と映っているのです。
「喫煙者の中にはマナーの悪い人が多い」とか「ほとんど全ての喫煙者がマナー知らず」というレベルではありません。
「喫煙者は100%マナーが悪い」と見えているわけです。
これでは感情的になるなと言う方が無理です。

そういう意味では、時々目にする透明なガラスで仕切られた喫煙エリアはいい考えだと思います。
「マナーの悪い喫煙者はごく一部なんですよ」という、いいアピールになっています。
あとは「喫煙者による吸いがら掃除大会」を定期的に開催すればさらに効果的だと思います。
愛煙政治家のみなさん、パフォーマンスの見せどころですよ。

 

(2013年10月2日)

タバコを吸わない人の目には全ての喫煙者のマナーが悪いかのように見えている、というのと同じ現象がもう一つあります。
生活保護です。
普段私たちは誰が受給者であるか知らずに生活しています。
私たちが生活保護受給者を見るのは、不正受給者のニュースにおいてだけです。
これでは「受給者=悪」のように見えてしまうのは当然かもしれません。
受給者の厳しい生活を紹介する番組も、たまにあります。
しかしワーキングプア問題も解決されていないのに、貧しくて苦しい生活をただアピールしても同情は得られないのではないでしょうか。
一番効果的なのは「セイフティネットのおかげで助かった」という、感謝と前向きな姿勢が感じられるメッセージだと思います。

同じお金なら「これっぽっちしかくれないのか」と言う人よりも、「こんなにくれてありがとう」と言ってくれる人に使って欲しいものです。

 

(2013年10月4日)
 
この欄で時々書いていますが、生活保護の判定は生活保護受給者にしてもらうのがいいと思います。
保護費を受け取りに来たついでに何時間か窓口に座ってもらうのです。
生活の苦労が分かっている人が判定するのですから、非人間的な「辞退の強制」などは起こり得ません。
さらに生活保護費用を予算の2.5%に固定しましょう。
総額が決まっているので無制限に受給者を増やすと自分の取り分が減ります。
お役所仕事として不正を取り締まっている人よりも、より厳しい態度で不正に臨んでくれるでしょう。
また窓口に座っているのは、健康面の問題などで本来仕事ができない人たちです。
窓口の対応が拙かろうと時間がかかろうと、申請者が文句を言うことはないはずです。
判定は困っている人同士が相談しておこない、役所の担当者は事務手続きだけおこなうという仕組みがいいと思います。

 

(2013年10月7日)

山崎豊子が亡くなりました。
出す本出す本、ことごとく骨太で衝撃的で、新作の刊行が一番楽しみな作家でした。
徹底的なリアリズムに、血沸き肉躍る権力争い。
男性作家以上に骨太で、いや、はっきり言って山崎豊子ほどカルシウム値の高い人は少なくとも男性にはいません。
(山崎豊子の次に骨太な小説を書くのは高村薫だと思います。)
代表作を一つ選ぶとすれば、小説の枠組みが保たれていた中期の作品でしょうか。
「白い巨塔」の第一部を単独作として選択できるのであれば、これ。
それがだめなら「華麗なる一族」だと思います。

 

(2013年10月9日)

アメリカではトム・クランシーも亡くなってしまいました。
基本的に、ハイテク武器が大活躍するスケールの大きなポリティカルサスペンス小説を書きまくった人ですが、ビジュアル的ツボをはずしていたのかもしれません。
アメリカ万歳の内容にもかかわらず、案外映像化に恵まれませんでした。
どの小説も、アメリカが大ピンチに陥る前半はすこぶる面白くて、後半の大逆転勝利は退屈、というのが共通するところです。
保守でタカ派を絵に描いたような人で、もう少し長生きをしていれば次の小説では、ジャック・ライアンの私兵が正義のためにオバマを暗殺していたことでしょう。
お薦めとしては「日米開戦」の「上」とか「合衆国崩壊」の「1」あたりでしょうか。
後半はぐだぐだになるのですが、それが分かっていても前半のドキドキ感は最高です。

 

(2013年10月11日)

ストラヴィンスキーの「春の祭典」という曲があります。
激しいリズム、無慈悲な不協和音、野蛮な大音響にあふれたこの曲は、100年前の初演ではセンセーショナルな話題を惹き起こしました。
一世紀を経てなお、この曲のインパクトは衰えていませんが、ここ数年で大きく変わったことがあります。
演奏者を悩ませていた複雑な変拍子の練習が簡単になってきたのです。
十六分の二、十六分の三、十六分の四、八分の三……というリズムの連続を、従来のメトロノームを使って練習するのは事実上不可能でした。
今ではコンピュータを使えば簡単にリズムパターンをプログラムできます。任意のテンポで効率よく練習できます。
演奏者は音楽の本質とはあまり関係のないスポーツ的訓練から解放されて、より音楽的な練習に専念できるようになったわけです。

さあ、新時代の「春の祭典」はどんな響きがするのでしょうか。
「春の祭典」の実演は、10月19日(土)、夜7時から兵庫県芸術文化センター大ホールで聴けます。

 

(2013年10月16日)

19日公演のプログラムの2曲目はチャイコフスキーの交響曲第6番です。
天才チャイコフスキーが、死の直前に、最後の交響曲の最後の楽章で奇跡のような高まりを見せます。
いつも考えてしまうのは、ワーグナーの影響について、です。
チャイコフスキーがこの楽章でワーグナーを意識していたのは間違いないと思います。
ところがその響きからワーグナーを聴きとるのは難しい。
この「ワーグナーらしくなさ」をどう考えればいいかが、ずっと分かりませんでした。

それほど難しく考えなくてもいいのかもしれません。
音楽史的にワーグナーの直系と見なされているブルックナーやマーラーでも、交響曲中にワーグナー的音響を聴きとるのは案外難しいです。
聴いてすぐ「あ、これはワーグナーだ」と分かるのは、リヒャルト・シュトラウスやフンパーディンク、実にワーグナーの半世紀あとに生まれた作曲家たちです。
精神的影響が音響的に具体化するのにはそれくらいの時間が必要ということなのでしょうか。

 

(2013年10月18日)

最近のハリウッド映画のネタ切れ感は半端ありません。
大作と言われる映画はほとんどが過去のヒット作のリメイクかスピンオフです。
「スパイダーマン」などはわずか10年でのリメイクで、しかもストーリー的にも特殊効果的にも3D的にも全く見るべきところがない、典型的劣化コピーでした。

ただ、砂漠に咲く花があるように、ネタ切れハリウッドでも時々きらりと光る新人が現れるのが面白いところです。
才能のある人がいないのではなく、いつまでもヒット作の焼き直しにしがみついているプロデューサーたちに問題があるということなのでしょう。

 

(2013年10月28日)

しかしマンネリシリーズの生き返り策として「ビギニング」という手法を確立させたのは、ハリウッドの功績かもしれません。
こういうやり方は日本でもどんどんパクっていいと思います。
日本のドラマで「ビギニング」が気になるのは、やっぱり「水戸黄門」と「遠山の金さん」です。
まずはどーんと劇場版を公開して、TVシリーズ再開につなげてはどうでしょうか。

問題は主役です。
堺雅人の顔しか浮かんでこないのが困ったところです。

 

(2013年10月30日)

今回の「産地偽装」騒動について何か気の利いたことを書こうと思ったのですが、全く何も思い浮かびません。
レストランでは迷わず一番安いワインを注文して、スーパーでも値札しか見ない私には、「産地偽装」を語る資格はないようです。
ただ、ネーミングは大げさなのに大したことがないなあ、と思うものはいくつかあります。
「昼網」や「A5牛肉」を美味しいと思ったことがない、というのは以前書いたことがあると思いますが、最近ひどくがっかりさせられたのはアサヒスーパードライの「エクストラコールド」です。
スーパードライの切れ味をさらに高めるためにマイナス2℃の状態でサーブするというコンセプトのようです。
2℃という設定がどう間違っているのか、あるいはジョッキの保冷がうまくいっていないのか、とにかくあんまり美味しくありません。
スーパードライは、冷凍庫で凍る寸前まで冷やした350mlの缶を、缶のままで飲むのが最高だと思います。
凝ったデザインのサーバーであんまり美味しくないスーパードライを出すくらいなら、冷凍庫で10分冷やした350缶を出して欲しいです。

 

(2013年11月1日)

ついでに食べ物関係です。
辛いものが好きなので、辛さが選べるカレー屋に行くと一番辛いメニューを頼みます。
初めて行く店では店員さんが「辛いですが大丈夫ですか?」と訊いてきます。
こういう時、基準になる目安があると便利です。
「ココイチ」の10段階表記はどうでしょうか?
全国展開のチェーンですし、私が食べた限りでは店による辛さの差は感じられません。
「辛口:辛いものが好きな人向け、激辛:一口食べると汗が噴き出します、超激辛:インド人もびっくり」
というような目安をメニューに載せている店もありますが、それよりも
「辛口:5ココイチ、激辛:7ココイチ、超激辛:10ココイチ」
と書いてあれば日本中の人に分かってもらえると思うのです。
と、ビールとカレーの話を書いたところで重大なことに気がつきました。

 

(2013年11月6日)

そうなのです、アルコールも辛い物も、お尻の病気にはあまりよくないのです。
お尻の病気にもいろいろな種類があって、それぞれよくない理由は微妙に異なりますが全般的に「アルコールと辛い物はお尻によくない」と考えていいと思います。
ですからお尻の病気の治療中は、こうしたものを控えなくてはなりません。
ここではもう一歩考え方を進めましょうか。

アルコールや辛い物を摂ると痛みを感じる人は、普段は無症状でも病気が隠れている可能性があります。
大腸の検査に対して積極的になった方がいいと思います。
とするとお尻の痛みは大腸の病気の早期発見のきっかけになるかもしれないわけです。
お酒を飲んだ翌日、あるいは辛い物を食べた次の日にお尻に痛みを感じる人は、どうぞご相談ください。

 

(2013年11月8日)

以前この欄で「モヤシは弱火で炒めるのがコツ」と書いたことがあります。
モヤシ以外でもいろいろな野菜を試していますが、なかなかいい感じです。
弱火で炒めておけば、汁物に入れたホウレン草やチンゲン菜も最後までしゃきしゃきしてくれます。
つつかず、混ぜず、ひっくり返さず、極弱火で10分間放置するのがいいみたいです。
逆に、弱火でことこと煮込んだ方が美味しいと思っていたジャガイモやニンジンですが、電子レンジで加熱した方が美味しいのではないかと思うようになってきました。
炒め野菜はじっくり、煮野菜はレンジで素早く、というのが今私の中での流行です。

 

(2013年11月11日)

弱火で炒めた方が美味しいのは野菜だけではありません。
最近気に入っているのは鶏肉です。
油を敷かず、皮を下にして、弱火で10分間放置します。
それで全部に火が通ればそれでよし、10分で火が通らなければ裏返してさらに10分弱火。
皿に取る直前に塩コショウで味付けするだけ。
まず包丁を入れて厚さをそろえて、皮に焦げ目をつけて、蓋をして高温で蒸し焼きにして……と、今までやっていたことは何だったんだろう? と思ってしまいます。
何より、弱火料理だとフライパンが傷まないのが最大の利点です。

 

(2013年11月13日)

フライパンと言えば、以前はそこそこの値段のテフロン加工のものを使っていましたが、コーティングが剥がれてすぐ使い物にならなくなってしまいます。
ある人が「高いフライパンでもすぐ使い物にならなくなるのだから、安いものを短期間で買い替えた方がいい」と言っていたのを思い出しました。
確かに9千円の高級フライパンが2千円のものの4倍長持ちするかと言えば決してそんなことはありません。
それなら開き直って2千円のフライパンを毎年買い替えた方が得です。
と考えて2年前に一番安いフライパンを買ったのですが、実はこれが案外長持ちして、びっくりしています。
弱火&混ぜない調理法は実践していますが、基本的には毎日のように普通に酷使しているのに、コーティングは買った時のままです。
どうやらフライパンの値段は丈夫さとは全く関係がないようです。

 

(2013年11月15日)

弱火で野菜炒め、弱火でチキンソテー、とくれば次に試したくなるのはチャーハンです。
フライパンの中央に、サトウのご飯をレンジせず・ほぐさず置いて、その周囲に野菜や焼き豚など具材をばらまいて、そのまま弱火で加熱しました。
10分経ったところで味付けしながら簡単に混ぜて終了。
さすがにパラパラにはなりませんでした。
今後の工夫の余地はありそうですが、焦げと戦いながら苦労して作った強火チャーハンに劣らないものにはなりました。
オムライスに使う分には全然問題なしです。
料理が得意な人は手間をかけて下ごしらえして、強火でがんがん調理すればいいと思います。
時間も技術もない人には「弱火で放置」がお薦めです。

 

(2013年11月18日)

ご飯とパンなら断然ご飯派です。
ところが基礎代謝の低下とライフスタイルの変化とともに、ご飯を食べる量がめっきり減ってしまいました。
今や米飯を食べるのは、多くて週に二、三回、しかも一回当たり一合以下です。
こういう状況になってくると「サトウのご飯」に頼ることが多くなってきます。
そして「サトウのご飯」に頼ることが多くなってくると、ご飯がいかに主食として不便か思い知らされます。
週に一度ご飯を炊いて小分けにして冷凍しておけばいい、と言われれば100%その通りです。
しかし世の中の人すべてが正論にのっとって生きるなら、二槽式洗濯機だって消滅しなかったと思うのです。
ご飯の美味しさにとことんこだわる人のために、高級炊飯器を開発するのは結構なことです。
その一方でご飯の機能性を高める工夫がもっとあってもいいと思います。
それと同時に、何となく感じる、「サトウのご飯への後ろめたさ」を何とかして欲しいです。
普段は食パン、こだわる人はホームベーカリー、のように普段はサトウのご飯、こだわる人は炊飯器、のような風潮になってくれるといいのですが。

 

(2013年11月20日)

インド料理店がたくさんあって、神戸はカレー好きには居心地のいい街です。
その一方で「白いご飯」がメニューにない店があるのは困りものです。
濃い味も薄い味とも調和して、大きな具材がごろごろしているタイプのカレーともさらさらのスープカレーとも上手く絡み合う「ご飯」と比べると、ナンはかなり不自由です。
脂分が多いのも気になります。
インド料理店のみなさん、ぜひメニューに「白いご飯」を加えてください。

で、その延長線上で日本政府はインドにジャポニカ米を普及させましょう。
一度食べてみれば、カレーに最も合うのはナンでもインディカ米でもなく、ジャポニカ米だということはすぐ分かってくれると思うのです。
ジャポニカ米市場はいきなり5倍以上に広がります。
減反の廃止レベルではなく、街中の駐車場を全部田んぼにしないと追いつかない事態になるのではないでしょうか。

 

(2015年11月22日)

新聞紙上での連日の反・特定秘密保護法案キャンペーンに飽きてきたせいか、「秘密」という文字が見えただけでその記事をスルーしてしまう自分がいます。
それではいけないと思って法案の条文を読んでみました。
マスコミがこぞって大反対しているので、てっきり取材と表現の自由を著しく制限する法案なのかと思ったら、マスコミの活動に直接言及する部分はありませんでした。おそらく

(秘密の漏えいを)共謀し、教唆し、又は煽動したものは、五年以内の懲役に処する

という部分が問題なのでしょう。
素人考えでは、スパイ天国という蔑称を返上するためには、この文の頭に「我が国の安全保障を損なう目的で」という一文をつければいいように思えます。
つまり「秘密を漏えいさせた」ことと「外国もしくは反社会勢力の指示による」の二点が立証されて初めてこの罰則が適用されるという形です。
防衛に関する情報を外国に流すのは国益を損なうので当然罰則が適用されます。しかし防衛産業の腐敗(もしあるとすれば、ですが)をあばいた場合は、逆に国益を守ったわけですから罰則を免除される仕組みが必要ではないでしょうか。

 

(2013年11月29日)

冷戦時代が終わってスパイ小説もやや下火になってしまいました。
スパイものの醍醐味は、正体がばれるのではないかというハラハラ感。
あと、敵からどうやって情報を盗み取るか、そのテクニックの多彩さも面白いところです。
最も単純なのは金や女を使って秘密を聞き出す方法ですが、それとは正反対に愛国心を逆利用する方法もあります。
上司がスパイであるというウソを愛国心に満ちた職員に信じ込ませて、上司から守るために秘密を盗みださせるというテクニックです。
そういう高等テクニックの前には前回提案した追加も実効性に乏しいかもしれません。
しかし今の条文に基づいてスパイを捕まえたとしても、裁判では不毛な憲法論議に終始するに決まっています。
「我が国の安全保障を損なう目的で」という一文があれば、「中国の美人スパイと接触があったかどうか」あるいは「上司が不正蓄財を働いていたかどうか」などの事実関係で争うことができるので分かりやすいと思います。

 

(2013年12月2日)

法案を読んでみると「適正評価」の項目の詳細さに驚かされます。
条文の長さと重要さは比例しませんが、ここまで細かいと、法案の主たる眼目が「適正評価」にあることは一目瞭然です。
「適正評価」という言葉自体がきな臭いですが、内容も結構エグいです。
「飲酒についての節度に関する事項」や「情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項」などという評価項目を見ると、公務員でなくてよかったと思ってしまいます。
しかし国益に関与するのですからそれくらいの厳しさは当然と言えるかもしれません。
笑ってしまうのは、評価が免除される人たちがいることです。免除されるのは、

行政機関の長、国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官 

おいおい、あんたたちこそ一番「適正評価」が必要なんじゃないか? と突っ込みたくなるリストです。

 

(2013年12月4日)

秘密が必要であることは誰でも分かります。
以前も書きましたが、たとえば原子力発電所の防御力です(2011年7月29日)。
労働条件に不満を募らせた作業員が火炎瓶を持って入口に詰めかけることまで想定しているのか。
憂国の士が小銃を乱射しながら乱入してくることまで想定しているのか。
急進的反原発団体が爆弾を載せたトラックで突入してくることまで想定しているのか。
あるいは北朝鮮の工作員がハイジャックした航空機で突っ込んでくることまで想定しているのか。

それは誰かがきっちりと責任を持って考えなくてはならないことです。
そして同時にその人は「その想定」を完全に秘密にしなくてはなりません。
もしかすると「誰が想定するのか」ということ自体も秘密にしなくてはならないかもしれません。
「秘密」について考える時に一番ややこしくなるのが、この問題です。

 

(2013年12月6日)

北朝鮮の緊張度が日増しに高まっています。
浮かんでくるのは「日本は北朝鮮にスパイを送り込んでいるのか」という疑問です。
当然送り込んでいるに決まっています。
情報源の政府高官を運用している、と言った方が正確ですが、外務官僚はやるべきことはちゃんとやっているはずです。
ただしこれも一切が最高機密です。
スパイを送り込んでいるのか、はもちろん、誰がそれを企画運営するのか、さらに誰がその運用者を任命するのか、全てを厳重に隠しておかなくては情報源の命が危険にさらされます。
そしてスパイの存在を隠すために、政府としては知っているのに知らないふりをすることも必要になってきます。
ミサイルの発射基地の場所も、発射の日時も、落下点も知っていたのに、怖がって見せる。
古くからの側近を粛清することも知っていながら、朝鮮中央テレビのニュースを見て驚いて見せる。
あまりの演技の上手さに、時々「もしかして本当に知らないのでは?」と思ってしまうほどです。

 

(2013年12月9日)
    
いろいろ考えてみると「秘密」の最も大切なポイントは「誰が決めるのか」だということが分かります。
この人が「秘密」と言うのなら仕方がない、そう思えるかどうかということです。
とすると組織のトップに自動的に秘密事項決定権を与えるのは絶対的にまずいです。
秘密を知り、それを秘密と決め、その秘密を守る、その最高責任者は国民の信託を受けている人であるべきです。
本当なら秘密の管理に適した人材を国民選挙で選ぶべきだと思いますが、差し当たっては参議院議員を充てておきましょうか。
私の印象では参議院議員は衆議院議員よりも口が軽そうですが、基本的に暇そうです。
「防衛」「外交」「警察」などの分野に対してアトランダムに人数を割り振って決めさせるのがいいと思います。
アトランダムに割り振ると、分野によっては何にでも反対する社民党や共産党の議員が入ってくる。それでは何事も決定しないのではないか、と危惧する人がいるかもしれません。
しかしそれは杞憂です。
これも私の印象ですが旧・社会党も共産党も秘密が好きな党でした。
「一緒に秘密を決めよう」と持ちかければ、きっと一番ノリノリで参加してくれるのではないでしょうか。

 

(2013年12月11日)

前回、共産党が秘密好きと書きましたが、もしかすると違うかもしれません。
私はてっきり共産党の役員は(選挙ではなく)根回しと談合で決まるものと思っていました。
ところが2010年の党大会では、162名が役員候補として推薦され、結果的に163名が選ばれています。
詳細が分からないのですが、党本部に推薦されていないのに選出された人が存在する可能性があります。
これはすごいことだと思います。
共産党はこの点をもっとアピールしてはどうでしょうか?
触れられたくないことだったらごめんなさい。

 

(2013年12月13日)
 
猪瀬問題をものすごく単純に想像するとこうなります(あくまでも私の勝手な想像です)。

徳洲会が新病院建設に便宜を図ってもらおうと選挙資金を提供

別件の選挙違反で徳州会のイメージがダウン

猪瀬サイドは徳洲会と縁切りしようとあわてて資金をつっ返す

あまりの冷たさに腹を立てた徳洲会がマスコミにリーク

この時点では徳洲会は、ちょっとお灸をすえるくらいで、まさかこんな騒動になるとは思っていなかったと思います。
ところが猪瀬知事はあれよあれよと言う間に自滅してしまい、一番びっくりしているのは当の徳洲会ではないでしょうか。
徳洲会が考えていた落とし所がどんなものだったかが気になるところです。

 

(2013年12月16日)

この時期になると「流行語大賞」とか「今年の漢字」などのニュースが話題になります。
今年初めて登場した言葉でもないし、流行もしていませんが、今年もっとも感心させられたのは「違憲状態」という言葉です。

「そりゃあ違憲か合憲かって言われたら違憲だろうけど、プロがちゃんと考えてやってるんだからさ、悪いけど素人は口を挟まないでくれる?」
みたいに上から目線で言われた時の気分悪さと、

「次にこんなことがあったら部長にがつんと言ってやるから、今度だけは頭を下げてやってくれ」
みたいなことを言う無能な中間管理職の哀れさと、複雑なテイストを見事に言い表した言葉だと思います。

願わくば、子どもたちがこんなずるい言葉遣いを覚えませんように。

 

(2013年12月18日)
 
宅配ロボットヘリが開発中だそうです。
あまりにSF的でもう一つぴんと来ないのですが、アマゾンに注文するとロボットヘリが30分以内に商品を届けてくれるのだとか。
当然の反応として「現実問題として、30分以内に届かないと困る物がどれだけあるんだ?」という意見が多くあるようです。
私もそう思いました。
30分どころか、たいていの物は今日が明日になっても困りません。
ロボットヘリなんて必要なんだろうか? と思っていました。
ところが最近、宅配業者がきっちりしているのか逆なのかよく分かりませんが、直接の受け取りにこだわるようになってきました。
不在がちだし、貴重品でもないから玄関前に置いておいてとどんなに頼んでも、帰宅してみると不在配達票がぺろんと一枚おいてあるだけ、ということがよくあります。
こういう時は思うのです。
「今帰ってきたからすぐ持ってきて」とオーダーできるような仕組みがあるといいなあ、と。

 

(2013年12月20日)

ハリウッドのネタ切れがいよいよ深刻化して、かと言って日本映画にもパワーがなく(というか、評判のいい「風立ちぬ」「清須会談」「永遠の0」を観ていないので)、全体として低調な今年の映画でした。
その中で強引にベスト3を選ぶとすれば

3位:「ヘンゼルとグレーテル」
グリム童話、あるいはオペラの映像化作品かと思って観ると腰を抜かすこと間違いなしのスプラッターホラーです。
容赦のない残酷描写はあまりに突き抜けすぎて逆に気持ちいいくらいです。
このジャンルが好きな人のみにお薦めです。

2位:「ザ・レイド」
インドネシアの格闘アクション。
タイの「マッハ!!!!!!!!」にも驚かされましたが、まだ格闘アクションにこんな可能性が残されているなんてびっくり。
このジャンルが好きな人のみにお薦めです。

1位:「パシフィック・リム」
怪獣VS巨大ロボットのバトルをド迫力でやらかしてくれます。
続編希望、できれば神戸で戦って欲しいです。
このジャンルが好きな人のみにお薦めです。

もともとは、万人にお薦めできる「華麗なるギャツビー」を第一位に推そうと思っていたのですが、
よくよく自分に正直になってみた結果、こういう順位になりました。
ちなみに第4位は「テッド」、第5位は「るろうに剣心」でした。
「ギャツビー」はいずこに?

 

(2013年12月25日)

年末年始は当直のお手伝いをしているのですが、この時期に多いのが浴室で亡くなるお年寄りです。

熱いお風呂、長時間、それに飲酒。
この三つの条件がよくないようです。

ジョギングで汗をかくのは気持ちのいいことです。
しかしジョギングが常に全ての人の健康にいいわけではありません。
炎天下に走れば熱中症になるし、ウォームアップが足りなければ足腰を傷めるし、心臓が悪い人は命取りになる場合もあります。
入浴も同じです。
国やマスコミはお年寄りに向けて「入浴は結構あぶない」という啓蒙活動をおこなうべきです。
できれば今晩から。
松本胃腸科クリニックは12月28日から1月5日まで休診いたします。
皆様、入浴には気をつけて、よいお年をお迎えください。

 

(2013年12月27日)

神戸元町ダイアリー2013年(3)はだしのゲン<main>神戸元町ダイアリー2014年(1)ゴーストライター


神戸元町ダイアリー2013年(3)

趣味の集まりなどで、健康法やダイエット法について訊かれることがあります。
……あるのですが、まともに答えさせてもらったことはありません。
たいていの場合私が口を開く前に、みんなが寄ってたかって答えてしまいます。

一番目の問題は、そういう場で語られる情報の多くが、医学的に正しくないこと。
二番目の問題は、私が「それは違う」と訂正する前に違う話題に移ってしまっていること。
三番目の問題は、「その場に立ち会っている医者が訂正しなかったからその情報は正しいに違いない」と受け取られること、です。

医者に健康法を訊ねる時は、マンツーマンで質問しましょう。

 

(2013年7月3日)

もやし炒めがどうも美味しくできません。
中華鍋で強火で炒めるのですが、水分が出てすぐしんなりしてしまいます。
しかし便利な時代です。
ネットで検索すると「何でも相談コーナー」のようなサイトがすぐにヒットします。
それによると、強火で炒めると細胞膜が壊れて細胞内液が漏れ出てしまうのだそうです。
調理されたものをすぐ食べるお店であれば問題ないのですが、家庭の場合は調理から口に入れるまでに時間がかかるのでその間にべちゃべちゃになってしまう、ということです。
試しに弱火で炒めてみると、時間を置いてもしゃきしゃきしていい感じです。

それはそれでよかったのですが、興味深いのは「相談コーナー」に寄せられる回答の数々です。
もやしを炒めたことがある人であれば、調理後に出てくる水分が水洗いの水とは関係ないことくらい分かりそうなものですが、「洗ったあと水切りをしっかりすればいい」という答えが結構多いです。
また、「強火でさっと炒めるのがコツ」と、したり顔で答える人の多さ。
もやしを炒めたことのない人の答えが、かなりの割合を占めているわけです。
もやしならいいです。
べちゃべちゃしたもやし炒めを食べても、健康には影響しませんから。
病気相談となるとそうはいきません。
たとえばお尻の病気など、普通の人は一生のうちに何度も経験するわけではありません。
ネット相談コーナーで答えてくれるのは、せいぜい1、2度しか経験したことのない人たちです。
他人の相談に乗るにはあまりにも心細い経験数だと思います。
中には「その病気でずっと困っている」、つまり経験豊富な人もいます。
しかし「ずっと困っている」ということは、それは「治っていない」ということです。
はっきり言えば、その人の治療法は間違っているのです。

ネットでの健康相談はそこそこにしておきましょう……、というお話でした。

 

(2013年7月5日)


アベノミクスの効果は絶大ですね。
さっそくタクシーに乗車拒否されてしまいました。
バブルの頃を思い出します。
あの当時はタクシーの乗車拒否がすさまじかったです。
三宮から芦屋に乗ろうと思っても「高速使わないのならダメ」と断られたこともありました。
景気が良くなるのは結構ですが、絶対に終電は乗り過ごさないようにしようと思います。

 

(2013年7月22日)

乗車拒否をするタクシーの言い分は「2時間待ってワンメーターじゃ、やってられない!」ということのようです。
そうやってより好みするから待機時間が長くなるのだと言いたくもなりますが、要は料金設定が現実的でないということだと思います。
昼間にタクシーを使うのは、公共交通機関の駅まで行くのが大変なお年寄りが中心ではないでしょうか。
短距離の利用客がほとんどでしょう。
昼間は今の料金設定でいいと思います。
夜間は初乗り運賃を上げてはどうでしょうか。
5千円以上の客を狙って2時間待つよりも、その間千円の客を5回乗せた方が効率がいいと思うのです。
この場合は短距離の客の方が喜ばれます。
というわけで「21時以降初乗り3キロまで1000円」という料金体系を提案します。

3キロといえばクリニックからだと、西は湊川公園、東は春日野道あたりになります。

 

(2013年7月24日)

暑い日が続きます。
フィリピンの方に聞くと、「日本の暑さはいやな暑さ」なのだそうです。
しかし高校球児はこの暑い中、全力でプレーしているのですね。
そこそこに頑張ってほしいと思います。
松本胃腸科クリニックは明日10日から18日まで休診いたします。
みなさまも栄養と水分と睡眠をしっかり摂って、よい夏休みをお過ごしください。

 

(2013年8月9日)
 
暑いですね。
外回りのお仕事の方は本当に大変です。
街のあちこちに簡単にシャワーを浴びれるようなところがあればいいのですが。
ネットカフェによっては安くシャワーを使えるようですが、数が限られているのですぐ利用できるとは限りません。
市内に複数の店舗を持つスポーツジムに入会しておけば便利そうです。もちろんそれなりの費用は発生します。
公共の体育館は民間のジムよりは格安ですが、シャワーだけ使うには割高です。
結局は銭湯が一番安くて使いやすいかもしれません。
神戸市内の銭湯の入湯料は1回410円です。
「15分以内なら200円」という短時間コースの設定があれば、もっと便利だと思います。

 

(2013年8月19日)

帰省すると必ずこの話になります。

TVの音声が聞き取りにくい!
何年か前に「絶対に面白いから」と、両親に「三丁目の夕日」を勧めました。
DVDを買って見始めたそうですが、途中で投げ出してしまったそうです。
ここ数年はNHKの大河ドラマも見なくなったとのこと。
いずれも台詞が聞き取れなくなった、というのが理由です。

そんな中で唯一見ているのが「半沢直樹」だとか。
そう言われてみれば、場面の多くは会議のシーンや、机を挟んでの上司と部下の対決シーンです。
そういう場面では言葉は大きな声でしっかりと発音されます。
ナレーションも親切すぎるほど親切です。
さらに大人向けの放送枠なので騒々しいコマーシャルが流れず、ストーリー的に爆発シーンや合戦シーンもありませんから、ボリュームを途中であわてて落とす必要もありません。
台詞が聞き取りやすい条件がそろっているわけです。

視聴率好調の理由については、いろいろな人がいろいろなことを言っています。
ドラマから離れていた高年層が、台詞が聞こえるので戻ってきたからだろう、とこっそり思っています。

 

(2013年8月21日)

アンケートで高年層の好きなTV番組を調べると、一位はニュースなのだそうです。
音量が一定なので言葉が聞き取りやすい、さらに要所要所にテロップが流れるので、部分的に聞こえなくてもさほど困りません。
確かに高年層向けのコンテンツだと思います。
一方、高年層向け番組と聞いて誰もが思い浮かべる時代劇は、どうでしょうか。
見たい番組リストでは上位なのに、現実には新作ゼロの状態です。
私の父も「鬼平犯科帳」は録画して繰り返し見ているそうなのですが、新たに作られる時代劇にはもう期待していない様子です。
その代りに人気があるのが韓国の大河ドラマです。
理由は簡単だと思います。字幕がついているから台詞が聞こえなくても困らないのです。

ネット環境の進化とともにTVの視聴率が全体的に落ちるのは当然です。
しかし今のTV局はあまりにも怠慢です。
台詞がはっきり聞こえて、字幕モードが選べる時代劇を作るべきだと思います。

 

(2013年8月23日)

と、そこまで考えると当然浮かんでくる疑問があります。

お年寄りにはオーケストラの音はどのように聞こえているのでしょうか?

年齢によって聴覚は衰えますが、周波数によって衰え方に差があります。
補聴器メーカーはその減衰率を把握しているので、シミュレーションが可能です。
80歳の人が聞いているオーケストラの音を、私たちが体験することもできるはずです。
何の根拠もない個人的なイメージですが、80歳を超えると指揮者の音楽の作り方が変わってくるような気がします。
80歳の聴覚疑似体験をすると、ハイティンクやマゼールの音楽作りの変化の秘密に迫れるかもしれません。

 

(2013年8月26日)
 
年齢による衰えは聴覚だけではありません。
目下の心配は「いつまで本が読めるのだろうか?」ということです。
今のところ電子書籍の必要性は感じていませんが、近い将来視力が落ちた時には、タブレットの活字拡大機能に頼ることになるのでしょう。

活字の拡大の方法には二つあります。
一つはページの表示自体を拡大するフォーマットと、もう一つは1ページ当たりの表示文字数を少なくして文字を大きくするフォーマットです。
前者では通常の読書には使い物になりません。
今後10年間で後者のフォーマットに統一されるといいのですが。

 

(2013年8月28日)

「はだしのゲン」は、少年ジャンプに連載中の頃に見た覚えははありますが、じっくりと読んだことはありません。
「マジンガーZ」目当てで少年ジャンプを読んでいた子どもには、「はだしのゲン」は絵柄もストーリーも暗くて面白くなかったのです。
連載誌を変えての続編や、単行本を追いかけることもありませんでした。
学校図書館での閉架措置が適切がどうかについては、何も語る資格がありません。
一つだけ言えることがあります。
もし陳情したのが私だったら、教育委員会はこういう対応を取らなかっただろう、ということです。
今回の一件の本質を「表現・思想の自由」の問題と捉えている論考は多いですが、そうでしょうか。
私たちが最も理不尽に感じているのは、「私の言うことは聞いてくれないのに、どうしてあの人の言うことは聞くのか」という点だと思います。

 

(2013年8月30日)

クレームにはまず、役所の受付や学校の教師など、現場のスタッフが対応します。
正当なクレームに対しては、指摘を感謝し、事態の改善を約束するでしょう。
不当なクレームに対しては誠実な態度をもって、訴えの不当さに気付いてもらえるように努力するでしょう。
ところが中には自分の不当さを分かろうとしない人、あるいは不当と知りつつクレームを繰り返す人がいます。
「クレーマー」とか「モンスターペアレント」と呼ばれる人たちです。
この人たちの相手をしていると現場作業が滞るので、上司が相手をします。
普通であれば、上司は数々のクレームをこなしてきたベテランのはずです。
ところが必ずしもそうではない仕組みの業界があります。
たとえば教師と教育委員会のような関係です。

 

(2013年9月2日)

現場経験豊富な教師も手を焼くモンスターペアレントを、全く現場経験のない順送り担当者が扱うわけです。

1点の差で落第が決まった生徒の親が怒鳴りこんできたとします。
教師ならこう言って突っぱねるでしょう、「その1点のために他の生徒は努力してきたのだ」と。
ところがその親が教育委員会に怒鳴りこむと、クレーム慣れしていない担当者が現場の決定をあっさりと覆したりします。
「1点くらい何とかならないか」と教師に圧力をかけたりするわけです。
気持ちは分かります、声も大きくて態度も威圧的なクレーマーに比べると、教師なんて従順なものです。
かくして及第した生徒の努力はないがしろにされ、システムは破壊されてしまうのです。
教育委員会を誰がどう任命するかというのが議論されています。
誰がどう任免してもいいです。
その代り、委員には最初の1年間はテレフォンコールセンターで研修を受けさせるべきだと、私は思います。

 

(2013年9月4日)

コープ兵庫カルチャースクールの第2回講座です。

「医師が語る本音の話」
サブタイトルとして
「その薬、必要ですか? その代金、必要ですか?」
今回も刺激的な話になりそうです。
11月1日(金)13時30分からコープ兵庫店です。
前回は満席でしたのでお早目のご予約をお薦めします。

 

(2013年9月6日)

甲子園の熱戦の数々を見て、「これが間違いなく世界の最高水準だ!」と信じていただけに、昨日のU18ワールドカップ戦の結果は衝撃的でした。
進学校とそうでない高校では、一流大学の合格率が違います。
進学校に優秀な生徒が多いのは当然ですが、だからと言って進学率の違いを「賢い子が多いから」で片づける人はいません。
普通は「優秀な生徒が多い上に、授業内容も優れているからだろう」と考えます。
ところがなぜか野球になると、力量の差を身体能力の違いで納得してしまいがちです。

本来なら日米両国のトレーニング方法に、どこか根本的な違いがあるのではないかと疑うのが自然だと思います。
甲子園出場を目指す新興高校の野球部は、ためしにアメリカのコーチングスタッフをセットで招聘してはどうでしょうか。
英会話も学べるし、リクルーティングにも有利だと思います。

 

(2013年9月9日)

この欄を読み返してみると、2年前の4月の段階では私は「2028年オリンピックを仙台で!」と思っていたようです(2011年4月8日)。
それほど的外れな発想ではなかったと思います。
復興のあかつきには、オリンピックを被災地で開催して全世界の人に感謝の気持ちを伝えたい、と思うのは自然です。
ところがこのタイミングで東京が立候補してしまいました。
今後50年間、仙台でのオリンピックの開催は事実上不可能になりました。
どんなに空気が読めないんだ、東京は! と腹立たしい気持ちも正直ありました。
しかし実際は空気が読めないのはこちらでした。
政府はこう言いたかったのでしょう。
「フクシマの現況を見てもなお、50年以内に仙台でオリンピックが開けると思っているわけ?」

つまり「フクシマは今後50年間は終息しない」と宣言したにも等しいTOKYO立候補だったわけです。

 

(2013年9月11日)

東京オリンピックにはぜひ新たな「お家芸」を新競技として加えて欲しいものです。
誰ですか、「体罰」という格闘技があれば日本が優勝できるのに、などと言っているのは?
私が提唱したいのは、クーベルタン男爵考案の近代五種に対抗する現代版混合競技です。
「ダンスダンスレボリューション」と「太鼓の達人」による第一次予選を通過した32人が第二次予選の「マリオカート」に進出。
4レース上位二人ずつの8人が「ストリートファイター」をトーナメントで戦う、別名「アキバ系四種競技」です。
今まで日蔭者扱いだった推定5000万人のゲームマニアに、夢と勇気を与えてくれる新競技だと思います。

 

(2013年9月13日)

東京オリンピック開催に期待することもあります。
禁煙の流れが先進国並みに、いやせめて二流国並みには進むでしょう。
身なりのいいビジネスマンがタバコを吸いながら歩いたり、ポイ捨てしたりする、いかにもアジア三流国のような風景は見られなくなることでしょう、きっと。
高級ホテルを自称しながら、ロビーはタバコ臭いなどという恥ずかしい事態も解消されるでしょう、たぶん。
回る寿司が禁煙で、回らない寿司が喫煙可という不条理な現象もなくなっていくでしょう、願わくば。
今、禁煙の飲食店に行くと、店員さんがすまなさそうに「全席禁煙ですがよろしいですか?」と訊ねてきます。
7年後にはせめて喫煙可の店の人に「うちはタバコ臭いんですがそれでもいいですか?」と聞かれるような世の中になっていて欲しいです。

 

(2013年9月18日)

もう一つ期待するのは、東京オリンピックによって世界の風呂事情が変わることです。
身体をきれいに洗ってからきれいなお湯にゆったりとつかる、日本の入浴流儀をしっかり発信して欲しいです。
日本が誇るウォシュレットは今や世界仕様の設備になりました。
ウォシュレット以上に日本的で、快適で、合理的であるFURO文化が、貧乏くさいBATH文化を一掃して、早く世界標準になりますように。

 

(2013年9月20日)

広島カープの16年ぶりのAクラス入りが決まりました。
カープの15年間の通算勝率は.453です。
仮に(勝率)=(Aクラス入りの確率)と考えると、この勝率のチームが15回続けてBクラスに留まる確率はおよそ1万分の1になります。
今年Aクラス入りしたことよりも、15回も続けてBクラスだったことの方が、もしかするとすごかったのかもしれません。
それはともかくここまで来た限りはぜひマー君に今年初めて黒星をつける球団になって欲しいものです(、おいおい)。

 

(2013年9月25日)
 
タバコほど男女のリスク差が歴然としている嗜好品はありません。
妊娠、子宮癌、乳癌、美容など、健康面でのリスクだけではありません。
夫の喫煙を許す女性は、今や少数派とはなりましたが、それでもまだそこそこ存在します。
一方、奥さんの喫煙を認める男性はいません。
正確に言うなら、女性が「この人と結婚したい」と思う男性は、奥さんの喫煙を許しません。
タバコを吸う人でも、奥さんには吸ってもらいたくないものです。
頭で分かっていてもやめられないことはあります。
雰囲気を悪くすると分かっていても愚痴をこぼしたくなることもあるし、明日早起きと分かっていても夜更かししてしまうこともあります。
そんなことは結婚の障害にはなりません。
しかし「分かっていてもパチスロがやめられない」「分かっていても浮気癖がどうしようもない」女性を選ぶ男性はいません。
結婚願望のある喫煙女性がどうして、「分かっていてもタバコがやめられない」ことだけが許されると思っているのかが、とても不思議です。

 

(2013年9月27日)

子どもの頃、努力するのを人に見られるのが恥ずかしかったものです。
自分の努力の結果が、さほど努力したように見えない友達よりも劣っていたら、自分の存在意義が否定されるように思われたからです。
大人になってアイデンティティが確立されてくると、考え方が変わってきます。
と言うか、実際は考え方としては逆で、努力と結果のせめぎあいを積み重ねてアイデンティティを確立させた人のことを「大人」と呼ぶのですが。 
大人の場合、自分のライバルは「もっと努力した自分」です。
ところが別の考え方をする人もいます。
肺活量が技能に直結する仕事に就いているにも関わらず、タバコを吸っている人がいます。
スポーツマンや歌手や管楽器奏者。
彼らはこう言います。

「タバコを吸ったくらいで歌えなくなるくらいなら、一流の歌手とは言えない」

その人が「一流」のラインをどこに置いているかは分かりませんが、彼が念頭に置いているライバルは「タバコを吸っていないのに自分よりも技量が劣っている人」です。
わざわざそんな微妙なレベルにライバルを設定しなくても、普通に「自分より上手いプレイヤー」をライバル視すればいいのに、と思うのですが。
タバコを吸う人は時々不思議な考え方をするので面白いです。

 

(2013年9月30日)

神戸元町ダイアリー2013年(2)頑張れ!安楽投手<main>神戸元町ダイアリー2013年(4)特定秘密保護法案


神戸元町ダイアリー2013年(2)

TVドラマ「カラマーゾフの兄弟」が終わりました。
フョードル殺害の犯人は従来の解釈のままでした。
「イリューシャはどうなったんだ?」とか、「ぬるいホームドラマのようなエンディングでいいのか?」とか突っ込みたくなるところもありましたが、カラスが飛びまくるおどろおどろしい画面と、迫力ある音楽でぐいぐい引きつけてくれました。
採算重視の民放でこんなドラマが放送されるなんて、日本人は自慢していいと思いました。

 

(2013年4月1日)

日本の自慢と言えば、「カラマーゾフの兄弟」が10回以上も翻訳されているのもすごいことだと思っていました。
ところが米amazonを見るとアメリカでも複数の翻訳が存在しているようです。
正確な数は分からないのですが2、3種類ということはなさそうです。
ハンバーガーとコーラにドストエフスキーが似合うとは思えませんが(すごい偏見でごめんなさい)、どうやら冷戦時代のアメリカでは、ロシア人の思考パターン分析のためにロシア文学の研究も積極的に進められたそうです。
目的はともかく敵国の文化を知ろうとするのは素晴らしいことだと思います。

最近、中東での軍事活動を描いたアメリカ映画を見ると、アラブ社会の文化や言葉や風習を理解する気が全くないように見えます。
アラブ諸国はロシアに比べると手ごわくないのかもしれません。
そのためにアメリカが勉強を怠っているとすれば、それは平和ボケすぎると思うのです。

 

(2013年4月3日)

選抜高校野球ですが、前評判がそれほど高くなかった愛媛代表の斉美高校が決勝戦まで勝ち上がりました。
何試合か甲子園で応援しましたが、高校野球だと安い値段でバックネット裏のいい席がゲットできるのでありがたいです。
三遊間の深い打球を処理する三塁手のプレーや、3−6−3のダブルプレーなどは、近くで見ると奇跡のように見えます。
一方エラーをした選手の悲痛な表情が見えすぎるほど見えてしまうのは、涙腺の緩くなった世代にはちょっときついところではあります。

安楽投手は野球留学生かと思ったら地元松山の子なんだそうです。
また甲子園で楽しませてください。

 

(2013年4月5日)

高校野球を応援する気満々ではあるのですが、名前の読み方が分からない学校が増えてきたのが頭の痛いところです。
大分代表の「済々黌」は、3回戦で斉美高校と対戦したのでやっと読み方が分かりました。
(多分きっと、「せいせいこう」)
「気比」「常葉」「履正社」「遠軽」「菰野」「徳栄」はそれぞれ「けひ」「とこは」「りせいしゃ」「えんがる」「こもの」「とくはる」だそうです。
(今調べました)
新聞はどうやら「学校名にルビは振らない」と意地になっているかのようです。
大会のHPから学校紹介のページに飛んでも読み方までは書いてありません。
どうせリンクさせるのならWikipediaにリンクさせればいいのに。

 

(2013年4月8日)

読み方と言えば愛媛代表「斉美高校」も、普通は「さいび」とは読んでくれないかもしれませんね。

それはさておき高校野球の魅力の一つは「2時間で決着がつく」ところだと思います。
一方プロ野球は3時間で終わることはまれです。
学生とプロで時間設定が異なるアメリカンフットボールならともかく、野球は学生とプロでイニング回数もルールも同じはずなのに、どうしてこんなにも試合時間が違ってくるのでしょう。

プロ野球のピッチングの間合いが長いのは、集中力を高めるためか、筋肉の疲労を回復させるためか、よく知りませんが、そろそろ専門家による研究が必要ではないでしょうか。
間合いが20秒の場合と30秒の場合で、コントロールの精度や筋肉内の疲労物質の量に差が出てくるのか、興味深いです。

 

(2013年4月10日)

投手戦なら試合の進行が早いのは当たり前ですが、ぽんぽん点を取り合う試合でも案外試合時間は短かったりします。
試合時間はヒットの数よりも、むしろピッチャーのコントロールの悪さゆえの投球数に相関するように思います。

特にノーコンピッチャーの「初球ボール」がもたらすがっかり感というか、むなしさというか、時間の無駄さ感は半端ありません。
高校野球であれば「初球がボールだった!」ということで球場がどよめくこともありますし、実際それ自体で十分ドラマになりうると思いますが、プロ野球における「初球ボール」ほどこの世で無駄で無意味なものはないように思います。
いっそのこと、初球のボールはボール二つ分にしてしてはどうでしょうか。

 

(2013年4月12日)

その他、試合時間短縮のための方法をいろいろ考えてみましたが、なかなか難しそうです。

司法がないがしろにされるのは野球の世界でも同じで、15秒ルールもいつの間にか消えてしまいました。
そもそも「時間のスポーツ」ではない野球と、時間の概念とは相いれないと思います。
延長戦タイブレークの導入も、引き分け回避のためには有効ですが、だらだらした試合でも延長戦に入れば放っておいても緊迫するものです。
その緊迫した延長戦を短縮する必要はないと思います。
問題は、コントロールの定まらない投手が、もたもた投げては四球を連発し、走者がいるから牽制も増え、ストライクを取りに行ったところをまた打たれ……という退屈な中盤です。

いや、決して特定のピッチャーの悪口を言ってるわけではありません。

話は変わりますが、贔屓にしているカープの福井投手は今シーズンも制球に苦しみ二軍に落ちたままです。
コントロールは訓練できないものなのでしょうか?
早く一軍に戻ってきて「ぴりっとした試合中盤」を見せて欲しいものです。

 

(2013年4月15日)

試合時間の短縮について議論される時、いつも不思議に思います。
どうして誰も子どもの視点から考えないのでしょうか?
9時に終わらないことが分かっているスポーツ観戦に、子どもを連れていくことはできません。
年に一度か二度は、家族レクリエーションとして「多少夜更かししてもいいよ」という日があると思います。
それにしても球場を出るのは夜9時が限度でしょう。
つまりせっかくの家族イベントなのに、ほとんどの場合子どもたちは試合終了を見ることなく、球場をあとにしなくてはならないのです。
そして野球が一番盛り上がるのは試合終了の瞬間です。
子どもたちは楽しむ気満々で球場に来て、野球の一番面白い瞬間を味わわずに帰ってしまうのです。
TV観戦でも似たような状況だと思います。
手に汗握る心理戦こそがプロ野球の醍醐味で、それを十分生かすためにはある程度投球の間合いも必要だ、と言う人もいます。
しかし醍醐味だろうと何だろうと、子どもが見られない時間帯にやられたのでは全く意味がありません。
今のプロ野球は、子どものファンを減らそう減らそうとしているように、私には見えます。

 

(2013年4月17日)

ジャイアンツ戦ですら10%台前半の視聴率しか稼げなくなったと言われます。
余暇の過ごし方のバリエーションが豊かになって、プロ野球でもチームごとの人気が平均化されつつありますから、それは当然だと思います。
しかし10%台の視聴率でも、ジャイアンツ戦はまだまだ優先的に放映され、その日のスポーツニュースでもかなりの重心をもって扱われます。
これも当然です。
「巨人・大鵬・卵焼き」の世代が現役生活最終ステージを迎え、あるいはリタイヤ直後で、高い購買力を持っているからです。
この世代には、TVに影響されやすい、という特徴があります。しかも興味の中心は、資産運用や不動産などの、化粧品や食品とはけた違いに高額な商品です。
10%の視聴率でも、ジャイアンツ戦であればコマーシャル効果は十分期待できると思うのです。
ところがあと10年もすれば、この世代の購買力も衰えます。
夜更かしも厳しくなります。
その時になって年配ファンが「もうちょっと試合時間を前倒しにしてくれ」と言っても、もう遅いのです。
その頃には、「わざわざ球場まで行ったけれど、試合終了まで見られなかったし、つまらなかった」と、実体験した子どもしかいません。
あわてて試合時間を短縮させても、すでに野球はサッカーやその他のスポーツに埋もれてしまっているのですから。
試合を夜9時までに終わらせるような制度改革、これは団塊世代に与えられた最大の使命だと思います。

 

(2013年4月19日)

維新の会の賞味期限が過ぎてしまいました。
いろんな人に喧嘩を吹っかけて、いろんなものを派手にぶち壊す橋下市長のパフォーマンスは、火の粉の及ばない隣の県から見ている分には面白かったのに、ちょっと寂しいです。
さまざまな判断ミスやタイミング的な不運が重なって、現在の人気急降下に至っているわけですが、決定的だったのは先日の伊丹、宝塚市長選だったと思います。
東京に対して大阪人が抱く複雑な感情や、中央官僚にあしらわれた地方政治家が感じる憤懣を十分に分かっているはずの橋下市長が、周辺の住民が大阪に対して持つ気持ちに、どうして思い至らなかったのでしょうか。
伊丹や宝塚の市民が大阪発の政治体制を採用するはずがないことくらい、ちょっと考えれば分かることだと思います。

それと関係あるようなないような話ですが、オリックスに裏切られ、楽天に裏切られ、応援したいチームがなくなったために昨年から広島カープを応援しています。
が、本音を言えばやっぱり地元の球団を応援したいです。
「阪神タイガース」が「阪神間タイガース」になってくれれば、すぐにでも応援する気満々なのですが。

 

(2013年4月22日)

村上春樹の新作が上梓され、作中に登場するリストのピアノ曲「巡礼の年」が話題になっているそうです。
前作「1Q84」で取り上げられたヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が、村上人気のおかげでヒットしたのも記憶に新しいところです。
リストにもヤナーチェクにも、高級な工芸品のような手触りを感じます。
磨きこまれた造形、しかしその厳格なシルエットは安易な同情を拒みます。
そうした「透明」な作品に色合いを与えるのが、村上春樹の上手さなのでしょう。
実演に接するのが難しい「シンフォニエッタ」ですが、今度シンフォニー・ホールで演奏されます。
ヤナーチェクの天才的なオーケストレーションを、ぜひ生演奏でお確かめください。

 

(2013年4月24日)

ヤナーチェクのオーケストレーションが天才的とすれば、スメタナの管弦楽法はずいぶん素朴です。
実際に演奏してみると、画期的な進行や前衛的な和声もふんだんに用いられているのですが、スメタナは近代的なテクニックを使ってもどことなく野暮ったいです。
ブランド品で身を固めても全然おしゃれに見えない人がいますが、きっとスメタナもそういう人なのでしょう。
その代り、がむしゃらな突進力は誰にも負けません。
それから容赦のない轟音の破壊力。
ブルックナーの音響は大聖堂の天蓋から降り注ぎますが、スメタナの場合は地割れから噴出する火砕流という感じでしょうか。
あくまでも人間の目線で高らかに謳われる、大地への讃歌です。
「わが祖国」全6曲。
これも実演で体験するのはなかなか難しい曲です。
ぜひどうぞ。

 

(2013年4月26日)

文科省の体罰に関する緊急調査の結果を見て、驚きました。
体罰の件数が多い自治体や学校が、マスコミに吊し上げられているのです。
マスコミが追及すべきなのは、この期に及んでまだ「うちは体罰ゼロです」などと平気で言っている自治体や学校の方ではないでしょうか。
体罰問題は「体罰に訴えたがる教師をいかに制御するか」というシステム問題です。
問題の根源は、体罰教師をあぶり出せず、あぶり出せてもコントロールできず、コントロールできなければそれを隠蔽しようとする管理者にあります。
文科省の調査が有意義だったためしがありませんが、今回の調査は「岩手県の教育委員長は最低の怠慢野郎だ」ということを明らかにしたという一点で、まだ有意義だったかもしれません。

 

(2013年5月8日)

もう一つ驚かされたニュースがあります。
救急担当医師の集団退職のために、神戸大学病院の救急受入れができなくなるというニュースです。
何が驚いたといって、大学病院がこれまで救急患者を受け入れていたというのにびっくりです。
大学病院受診中の患者さんの容体が急変した時でも、大学病院は受け入れてくれなくて、てっきり救急は一切おこなっていないものと思っていました。
へー、びっくりです。

 

(2013年5月10日)

時々はマンガも読みたくなります。
最近は雑誌や新聞でも「お薦めマンガ」の欄があって、それはそれで結構なことですが、そこで扱われているのはほぼ100%「お薦めの新連載マンガ」です。
しかしオープニングがどんなに面白くても、エンディングがしょぼしょぼのマンガなんて読むだけ時間の無駄です。
よくありますよね、どんどん強い敵が出てきて延々と戦い続ける格闘マンガとか、恋が実ったと思ったら元カレが現れてぐちゃぐちゃになっていく恋愛マンガとか。
媒体の数はほぼ一定ですから、新連載があれば同じ数だけ連載終了もあるはずです。
マンガの場合は打ち切りによる連載終了も多いのでしょうが、めでたく完結した作品もいくつかはあると思います。
どうせならぜひ完結マンガのお薦めを教えて欲しいものです。

 

(2013年5月13日)

田川健三の手になる日本語訳聖書を読みました。
「新約聖書 訳と注 全六巻」の第1巻「マルコ福音書/マタイ福音書」です。
私たちが普段手にする聖書は「新共同訳」と呼ばれるもので、カトリック教会とプロテスタント教会が共同で翻訳したものです。
田川健三によると「新共同訳」には問題があって、一つはギリシア語からの翻訳と謳いながら英語版からの影響が強すぎること、もう一つは教会主義的な立場からの捏造的解釈がしばしば目につくことらしいです。

従来の偏った読み方からの脱却を狙って書かれたのが、今回の「新約聖書」です。
巻末には膨大な注釈がつけられています。
大げさではなく、原文の一字一句について、詳細に分析考察がなされます。
こうした学術的な作業は往々にして素人には退屈ですが、この本は違います。
従来の訳、注釈に対する怒涛の悪口攻撃で、退屈どころではないのです。
時としてその矛先はマタイやルカにまで及んで、ハラハラさせられたりもします。
崇高な理念に基づく真摯な学問的著作であって、しかも同時に大爆笑のエンターテインメントでもある、という奇跡の1冊だと思いました。

奇跡と言えば……、私はICOCAカードを栞(しおり)の代わりに使っているのですが、この本を読んでいる時、改札を通ると周りの人がびっくりするのです。
聖書をかざすと改札ゲートが開くので、何かの奇跡のように見えたのでしょうね。
ちょっと恥ずかしかったです。

 

(2013年5月27日)

共通番号制度が導入されるとか。

国家による個人情報一元管理の危険性や、なりすまし犯罪横行、プライバシーの侵害など、いろいろ弊害のある制度のようです。
われわれ医療従事者にとっても大問題です。
Aという病院で湿布をもらっている患者さんが、Bという病院にかかったついでに余分の湿布をもらおうとします。
今の制度では、その患者さんの自己申告がなければ、よその病院で何枚湿布をもらっているか把握しようがありません。
病院をはしごすれば、適正枚数以上の湿布を手に入れることができるわけです。

薬だけではありません。
「特定疾患療養管理料」の問題もあります。
高血圧や糖尿病など、慢性的に管理する必要がある患者さんを診察する際に、医療機関は特別な「療養管理料」を請求できます。
その管理料を請求できるのは、本来は一人の患者さんにつき一つの医療機関だけです。
しかし、現在の制度では複数の医療機関が請求してもチェックのしようがありません。

共通番号制が導入されれば、これらの重複が解消されて、医療費が一挙に激減します。
つまりは収入が大幅に減って、医者は困ってしまうわけです。

こんな悪法を通すわけにはいきません。
みなさん、もっともっと反対しましょう。

 

(2013年5月29日)
 
前回のコラムはもちろんギャグですが、共通番号制について思いっきり要約すると、こうなると思います。

制度を導入すれば不正や無駄がかなり解消できる。
しかし不正をおこなっていない人にもある程度のリスクが想定される。

私などは、自分がリスクを背負っても他人の不正をしっかり取り締まってほしい、と考えてしまうタイプの人間です。
そういう立場からすると、制度の危険性を主張している人たちが、「じゃあどうすれば不正を取り締まることができるか」を語ってくれないのは、片手落ちのように思えて仕方がありません。
以前も書いたことがありますが、プライバシーについての考え方もよく分かりませんし。

国が全国民の指紋とDNAを登録して、ポイ捨てタバコや空き缶の捨て主を特定して罰することにしても、私は全然かまわなかったりします。

 

(2013年5月31日)

橋下慰安婦発言に対する女性団体の反発は理解できます。
政治家として配慮に欠けているという評論家たちの指摘も当然だと思います。
その一方で、きれいごとばかり主張して米兵による性犯罪が減らせるのか、という発言擁護派の意見ももっともだと思います。
発言の是非ではなく、日本のロビー活動の下手さが問題なのだという考え方にも一理あります。
暗闇の中でゾウを触った人たちがゾウとはどんな動物かを言い争う仏教説話がありますが、今回の騒動を見ているとその説話を思い出してしまいます。
ありとあらゆる角度からありとあらゆる説得力のある意見が出されているように見える今回の発言ですが、一番根本的な反発を誰も口にしないのはどうしてなのでしょう。つまり、

橋下発言とはそもそも男性蔑視ではないのか?
世の男性よ、橋下さんは「男とは風俗業を必要とする生き物である」と言っているわけです。
そんな失礼なことありませんよね?

 

(2013年6月7日)

チラシを見比べて、少しでも安い商品を求めて何軒もスーパーをはしごする。
そういう賢い奥様の節約自慢を時々耳にします。
1軒で済ませば1時間で片付く買い物が、2軒はしごすれば2時間かかります。
それで500円安く買い物できました。
さあ、それは節約でしょうか。

考えるまでもなく、時給500円以上の人の場合は全然節約になっていません。
「スーパーをはしごして数百円節約した」と自慢する人を見ると、その人が自分の労働単価が低いこと、つまり家事をテキトーにやっていると告白しているように思えて仕方ありません。

 

(2013年6月24日)

それと同じ理屈で(いや、ちょっと違うような気もしますが)、感じることがあります。
タバコを吸ったり、夜道をスマホ画面に熱中しながら歩いている若い女性を見ると、女性としての価値の低さを自分で喧伝しているように見えてしまいます。
価値あるものなら大切に、大事にしておきたいものです。

 

(2013年6月26日)

贔屓のカープ福井投手がいつまでたっても二軍のままです。
タイミングが合えばファーム戦を見に行くのですが、ファームの審判がかっこいいです。
3人制なのでランナーが出ると、この位置に立つのです。

審判の動きを見ているだけでも面白いです。
とは言うものの、早く一軍のマウンドで活躍する福井投手を見たいものです。

 

(2013年6月28日)

神戸元町ダイアリー2013年(1)東京五輪決定<main>神戸元町ダイアリー2013年(3)はだしのゲン


神戸元町ダイアリー2013年(1)

昨年、中国在住の日本人が暴行を受けたり、日本系の店舗が破壊されたりした時には思ったものです。

日本に住む中国の人たちは、どうして本国に向けて友好的なメッセージを送ってくれないのだろう?
我々は日本人に迫害されていない、だから本国の同胞たちも日本人を迫害しないでくれと援護してくれればいいのに、と。

今になってみれば、身勝手な考えでした。

さすがに私の身の回りにはいませんが、ネット上には中国の人々に対して攻撃的な態度をとる連中があふれています。
彼らの言葉を見ると、身の危険を感じてしまうと思うのです。

数か月前の私は、そういう実情に思い至る事もなく、「助けて欲しい」という被害者感情にどっぷりとひたっていたわけです。
加害者であるという意識を持ち続けるのはとても難しいことのようです。

 

(2012年1月21日)

2割の働きアリは働いていないという話があります。

元ネタの本を読んでいないのでどこまで信憑性があるのか、あるいは信憑性があるとしてそれが生物学的にどういう意味があるのかなど全く分かりません。
しかし人間の社会との類似性も感じさせて面白い説です。

それと同時に怖い現象でもあります。

私たちはしばしば組織の目的と自分のアイデンティティとの食い違いに直面させられます。
たとえば画一的な人間を作り出そうとする学校という組織に対して、枠に収まりきらない自分のキャラクターに気づいたとします。
悩んで悩んだ末に、そのギャップを埋められなかった人はドロップアウトして、グレるわけです。

ところがもしかすると、ドロップアウトした人はあらかじめそうプログラムされていたのかもしれません。
悩もうが悩むまいが、2割の人はドロップアウトするように仕組まれていて、悩みは自分へのアリバイにすぎないかもしれないのです。

私たちは自由意志によって組織に参画しているつもりでしたが、実は自由意志というのは本能的行動に箔をつけるためのお飾りなのかもしれません。
ぞっとする話です。

 

(2012年1月23日)

虐待を受けている子どもの多くは、虐待を受けているとは思っていません。

虐待を認めるのは、親に愛されていないと認めることに等しいからです。

虐待されている子どもは、「ぼくが悪かったから」と言います。
親について訊ねると「お父さんはぼくのためを思って殴ったんだ」と答えます。
そう思わないと生きていけないからです。

体罰も同じです。
体罰を受けた生徒たちがこう主張することがあります。
「熱心な先生だから」「自分のためを思ってくれたから」「いい先生だから」

逆です。
いい先生だから殴ったのではないのです。
「いい先生だから殴ってくれた」とでも思わなければ、子どもの心はずたずたになってしまうのです。

体罰の調査をするのに状況や理由や目的を訊ねてはいけません。
純粋に行動だけを調べるべきです。

 

(2013年1月25日)

高等教育の最前線であるべき高校で、どうして体育授業が必要なのかどうかがそもそもよく分かりません。
が、それは置いておくとして、スポーツ活動は軸足を学校から地域クラブチームに移すべきだと思います。

学校単位の活動だと、生徒がコーチの指導方法に納得できない場合、そのスポーツを諦めるか転校するしかありません。
クラブチームだと生徒の選択肢は広がります。
体罰や、非合理的なしごきに耐え続ける必要はありません。

高校野球ファンとしては非常に心苦しいのですが、まずは中高生の野球からクラブチーム主体に変えていくべきだと思います。

 

(2013年1月28日)

いじめや体罰や学級崩壊などの話を聞くたびに、学校の様子もWEBカメラで外部からチェックできるようにすればいいのに、と思ってしまいます。

いじめなどの訴えがあれば判定会議を速やかに開催します。判断するのは保護者代表、教師代表、生徒代表、地域住民代表に校長を加えた五人。
感情的になりがちな当事者や、威圧的な言動で主導権を握ろうとする体育会系教師やモンスターペアレンツなどを加えない仕組みが必要です。
そこでいじめなのかプロレスごっこなのか、体罰なのか指導なのか、生徒のわがままなのか教師の力不足なのか、判定するわけです。

授業内容もチェックされるようになると、教師もうかつに脱線できなくなって生徒の楽しみが減ってしまうのが問題でしょうか。
当面は画像だけでモニターするのがいいと思います。

 

(2013年1月30日)

コープカルチャー講座のお知らせ
3月から新しい講座がスタートします。

3月1日(金)13:30〜15:00
医師が語る本音の話〜失敗しない病院の選び方
コープこうべコープカルチャー兵庫
こちらの講座は1回ずつの開催です。

お問い合わせは078-652-1887までどうぞ。

 

(2013年2月1日)

今シーズンは久しぶりにTVドラマを見ています。

「ビブリア古書堂の事件手帖」。
同名の古書ミステリのドラマ化です。
原作は短篇連作で、これを1時間枠のドラマにするとなればいろいろ水増ししなくてはなりません。
その具合によっては受け狙いのチャラチャラしたドラマになるかもしれない、と心配していたのですが、案外普通でした。

一冊の古書から毎回バリエーション豊かな人間ドラマが導き出されるのには、改めて驚かされます。
何よりも舞台の鎌倉が美しく描かれているのが魅力的です。

 

(2013年2月4日)

ドラマ「ビブリア堂」の主役は古書店の若い女性店主です。
物静かな読書少女というキャラクターを、目がくりくりっとした女優さんが演じています。

普段全くテレビを見ないので予備知識もなく、役柄そのままの口数少ない控え目な女優さんだとばかり思っていました。

この間たまたま彼女の出ているコマーシャルを見てしまいました。
何とそこでは、病弱なはずの彼女が元気いっぱいに跳んだりはねたりしているではありませんか。
何だかちょっとがっかりです。

 

(2013年2月6日)

今シーズンはもう一本「カラマーゾフの兄弟」も観ています。

原作ファンとしてはとても迷ったのですが、失望、憤りを覚悟の上で観てみました。
意外と面白いです。
原作では三男は見習い僧という設定ですので、宗教的側面が強調されます。
ドラマでは三男は医学生です。
今のところ宗教的な描写はいっさいありません。

ドストエフスキーファンは往々にして宗教的側面を語りたがり、「カラマーゾフ」の根底のストーリー「誰が父親を殺したのか」をないがしろにします。
ドラマはその部分に焦点を絞って展開します。
これはかなりすごいことだと思うのです。

最終的に父親殺しの犯人にたどりつけるかどうかは疑問ですが、そこらへんの「カラマーゾフ論」より面白いことは間違いなしです。

 

(2013年2月8日)

「メリー・ウィドウ」という喜歌劇があります。

音楽もキャッチーで美しく、舞踏会の場面やフレンチカンカンのシーンは見た目にも華やかで、とても楽しい曲です。

が、あらすじを説明するのが難しいのが困るところです。

第一の理由は、登場人物が多いということ。
5組のカップルに女好き三人衆がちょっかいを出し、さらに狂言回しのコメディリリーフが加わって話をさらにこんがらかします。
それから鍵となる扇子があっちに行ったりこっちに行ったりするのも、ややこしいところです。

ですが、ここは発想を逆転させましょう。
大勢の男女が恋とお金に右往左往して、その間を扇子がひらひらと舞うのを、何も考えないで楽しむのがよさそうです。

「メリー・ウィドウ」、2月23日と24日に芦屋ルナホールでの上演です。
23日の席にまだ少し余裕があります、どうぞお問い合わせください。

 

(2013年2月10日)


こんなのに出演します。

http://www.alohaband.net/

もともとはブラスバンド主体のコンサートだったのですが、毎年規模が大きくなってすっかり総合エンターテインメントと呼ぶしかないビッグイベントとなりました。
当日券僅少だそうですが、ご興味があればどうぞ。

 

(2013年3月1日)

コープカルチャー講座が終了しました。

今回のトピックスは「救急車でたらい回しに遭わない秘訣とは?」でした。
講座の直後に、呼吸苦を訴えた75歳の男性が25の病院に受け入れを断られて亡くなったというニュースが飛び込んできました。

「たらい回しに遭わない秘訣」、運が悪かったでは済まされない話です。

 

(2013年3月4日)

先日TVで、国際オリンピック委員会のメンバーを東京の招致委員会が歓迎する場面が流れていました。

一見豪華な、その実寒々しくも空虚な接待ぶりでした。
マスコミも馬鹿騒ぎをたしなめるかと思えば、招致委員会にすり寄った論調で、悲しくなってしまいました。

招致委員とマスコミには「みっともない」という言葉を贈りたいと思います。

 

(2013年3月22日)

神戸元町ダイアリー2012年(4)日本映画がダメなわけ<main>神戸元町ダイアリー2013年(2)頑張れ!安楽投手


calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
selected entries
categories
archives
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM