神戸元町ダイアリー2018年(1)

あけましておめでとうございます

 

今年もよろしくお願いします。

 

今年も元日はいいお天気でした。

恒例の風吹岩清掃ハイクです。

 

山頂のゴミ第一位は例年のようにタバコの吸い殻でしたが、今年急増したのが「ミカンの皮」でした。

ぺろんと一枚のままで剥いた皮なら拾いやすいのに、落ちているのは決まって細切れの皮です。

愛媛出身者を代表して「ミカンの剥き方が下手な人間はマナーも悪い」と断定します。

 

さて、今年のお友達です。

 

今年はイノシシに邪魔されず、のんびり日向ぼっこ中みたいです。

(2018年1月5日)

 

「こうもり」を聴こう、絶対!

 

(1)

 

今年の芦屋市民オペラは喜歌劇「こうもり」です。

 

 

明るくて楽しくて、観る人を幸せにしてくれるオペレッタです。

誰もが聴いたことがある、華やかな冒頭が、これ。

 

 

指揮者の先生いわく、「冒頭の三つの音にこのオペラのすべてが詰まっている」のだそうです。

それからこのオペラには人生の、憎しみ以外のすべての感情が詰まっている、とも。

 

三段論法に則れば、この冒頭の三つの和音には人生の(憎しみ以外の)すべてが詰まっているということです。

 

なるほど!

 

芦屋市民オペラは芦屋ルナホールで2月4日(日)12時と17時の2回公演です。

ぜひどうぞ。

(2018年1月29日)

 

(2)

 

「こうもり」のチェロパートを弾くと本当に感心します。

 

最小の音符で最大限の美しさ。

 

美しい音楽を書いた天才作曲家は大勢いますが、ここまで少ない音符で書いた人は他にはモーツァルトくらいだと思います。

こういう簡潔で素朴な素材は、ごてごてと飾り付けず素材のまま味わう方が美味しいものです(と、何にでもマヨネーズをどばどばかける私が言っても全然説得力がありませんが)。

 

たとえばチェロのパート譜はこんな感じです。

Aの1小節前は「f(フォルテ)」、Aの小節は「p(ピアノ)」、そして「f」、「p」となっています。

数十年前から何の疑問も抱かず私たちはそう弾いてきました。

 

ところが最近はWEB上で作曲家の自筆譜を見ることができます。

この部分を見るとこうなっています。

 

 

修正の跡はありますが、少なくとも「f→p→f→p」ではありません。

(2018年1月31日)

 

(3)

 

写真のBも不思議な箇所です。

 

敷衍しているスコアではこうなっています。

 

 

リズミックなフレーズを高弦と低弦が交互に弾く印象的な場面ですが、なぜかチェロだけは部分的にお休みなのです(スコアとパート譜も微妙に異なっていますが……)。

ここを自筆譜で見ると

 

 

チェロは完全に休みか、あるいは「コントラバスとユニゾン」の記入漏れと解釈して全部弾くか、どちらかということになります。

チェリスト的には全部弾きたいところですが、冷静に判断すると休むべきなんでしょうね。

(2018年2月2日)

 

(4)

 

「こうもり」を聴こう! と言いながら、逆に、聴きたくなくなるような堅苦しい話になってしまいました。

 

言いわけになるのですが、実は「こうもり」はオーケストラメンバーにとってはあんまりよろしくない演目なのです。

会場は大ウケにウケているのに、オーケストラピットに入っているオケメンバーはそれを見ることができません。

最前列のお客さんよりもさらに近いところにいるのに、舞台を見ることができません。

ステージでは何か楽しそうなことをやっているのに、私たちはその間ずっと楽譜とにらめっこです。

重箱の隅をつつくような、音符の細かな話でもするしかないじゃないですか!

 

というわけでオケピットに入らなくてもいい皆さまは、「こうもり」をたっぷり楽しみましょう、というお話でした。

(2018年2月5日)

 

シベリウス「タピオラ」曲目解説

 

タピオラという缶詰をご存知でしょうか。

 

あまりの悪臭のために飛行機への持ち込みを禁じられている発酵食品です。

船便でしか輸入できないために日本で食べるのは非常に難しく、幻の缶詰と呼ばれています。

フィンランドの大作曲家シベリウスがこの缶詰のための曲を書いているので紹介しましょう。

 

 

00:00 曲は、北欧バルト海の波のうねりから始まります。凍てついた海の底でも生命は息吹いています。

00:47 ニシンの産卵の様子です。オスの放精によって海が真っ白に染まります。

01:22 受精卵はゆっくりと成長して孵化の時を待ちます。

03:57 おびただしい数の卵が一つ、また一つ孵(かえ)っていきます。

05:28 若いニシンたちが広大な海に向かって旅立っていきます。

07:00 未明の漁港を漁船群が出帆します。徐々に夜が明けていきます。

07:54 漁が始まります。網の中でぴちぴちとはねるニシンたち。

08:47 缶詰作業です。海で育まれた命が、缶の中に封じ込まれます。

11:40 ニシンは魚としての生涯を終えました。しかしそれは同時に、もう一つの偉大な生命活動の始まりでもありました。

12:58 発酵活動が始まりました。

13:27 悪臭成分が生まれていきます。高弦の細かな動きはアンモニアを、低弦はアセトアルデヒドを、木管は酢酸エチルを表しています。

15:18 さらに強力な硫化水素やピリジンが発生します。

16:10 いよいよ開缶の時を迎えます。作曲家はうっかり狭い部屋で開けてしまいました。部屋中に充満する悪臭成分、作曲家はのた打ち回ります。金管は断末魔を表しています。

18:16 作曲家は美しい幻影を見ながらこときれます。その魂は海に帰って次の世代の命として蘇ることでしょう。

(2018年4月1日

 

二大ミュージカルの午後

 

5月13日にこんなコンサートがあります。

 

 

トアウェストの楽器店「ロッコーマン」でのミニコンサートです。

 

人気ミュージカルの「CATS」と「オペラ座の怪人」をお届けします。

入場無料です。

ぜひお越しください!

 

 

5月13日(日)15:00〜ロッコーマンホール

ミュージック・ドラマ「CATS」&「オペラ座の怪人」

演奏:アンサンブル・メリー

(2018年4月20日)

 

5月13日のコンサートのための曲目紹介を書いてみました。

 

「CATS」

 

ミュージカル「CATS」で演奏される曲は、T・S・エリオットの詩にアンドリュー・ロイド=ウェバーが曲をつけたものです。

 

エリオットはノーベル賞作家で、どんな有名な作品を書いたのかと思ったら、代表作は「荒地」という詩、……すみません、読んだことありません。

 

そこでウィキペディアを丸写ししますと、

「フレイザー『金枝篇』の聖杯伝説を骨格として、聖書、ダンテ、シェイクスピアなどの引用をちりばめ、意識の流れの手法も用いて、第一次世界大戦後の荒廃した世界と救済への予兆を描きだした難解な詩」

……だそうです。

 

読むと眠くなるか、頭が痛くなるか、そういうタイプの詩ですね、きっと。

 

そんなエリオットも児童向けの詩を書いたことがあって、それが「CATS〜ポッサムおじさんの猫とつき合う法」です。

この詩にロイド=ウェバーが素晴らしい音楽をつけてくれました。

 

「OVERTURE」

 

わけの分からない音の大洪水のあと、耳なじみのある「CATS」のテーマが流れてきます。

この前半部分、あまりにわけが分からないので原曲の譜面を見てみると、もっとわけが分かりませんでした。

リズムとハーモニーがややこしくてまるで現代音楽です。

あらかじめ言いわけしておきますと、演奏するのもとっても難しいです。

 

「OLD GUMBIE CAT〜ぐだぐだのおばさん猫」

 

原曲「CATS」にはストーリーらしいストーリーはありません。

いろんな変わった猫が出てくるだけです。

それで大ヒットするのですから、いかに音楽が素晴らしいか分かりますね。

最初に登場するおばさん猫もかなり変わっています。さあ、どのように変なのでしょうか?

 

「GRIZABELLA THE GLAMOUR CAT〜グラマー猫のグリザベッラ」

 

グラマー猫といいながら、実際のグリザベッラは年老いてぼろぼろです。

彼女が「自分がグラマーだった頃」を思い出して歌います。

 

「SKIMBLESHANKS〜鉄道オタクの猫」

 

訳詩をつけるにあたって、鉄道オタクのみなさんにたくさんのトリビアを提供してもらいました。

へー、日本で最初のトンネルはあそこだったのですね。

どうぞ歌詞を聞き逃しませんように。

 

「MEMORY〜メモリー」

 

ミュージカルの名曲はたくさんありますが、その中でももっとも有名でもっとも感動的な曲だと思います。

聴く人は曲の美しさに涙し、歌い手は音域の広さに涙する、名曲中の名曲です。

 

「HEAVISIDE LAYER〜天国の入り口のちょっと下」

 

ミュージカルの最後に歌われる讃美歌です。

 

分かりやすいストーリーがなく、ある意味哲学的でもある「CATS」ですが、今回アンサンブル・メリーはオリジナルストーリーをアレンジしてお届けしました。

観る人によっていろんな受け取り方が成り立つ包容力のあるミュージカルです。

 

♪♪あなただけの「CATS」がきっとある〜♪♪(ミュージカル調で)

(2018年4月23日)

 

「オペラ座の怪人」

 

「メモリー」がミュージカルの曲の中で最高のナンバーだとすれば、最高のミュージカルはこの「オペラ座の怪人」だと思います。

 

とにかくどの曲も素晴らしいです。

ちょっとしたシーンに流れるBGMや、劇中劇で使われる音楽など、どこをとってもとろけそうな美しさにあふれていて、ポップスの宣伝文句でいうところの「捨て曲なし」です。

 

今回はこのたくさんの名曲から涙を呑んで10曲を選びました。

 

「OVERTURE」

 

ミュージカルのオープニングとしてあまりにも有名な曲です。

これを流しておけば劇的に盛り上がるので、テレビコマーシャルやバラエティ番組の効果音としてもよく用いられます。

しかしその安易な用いられ方の裏では、ピアニストが超絶技巧に泣いていることを、時々は思い出してあげてください。

 

「THINK OF ME」

 

若くて清らかな、クリスティーヌのデビュー曲にふさわしい曲です。

最後にはオペラ的なカデンツァも用意されています。

 

「ANGEL OF MUSIC」

 

クリスティーヌと、彼女の音楽の育ての親「音楽の天使」とのデュエットです。

「この頃の二人は信頼し合っていて、幸せだったよなあ」と感じさせてくれる素朴で美しい曲です。

……と思っていると最後に不気味な和音が鳴り響きます。何か不幸な出来事の予言でしょうか。

 

「PRIMA DONNA」

 

本当は意地悪なソプラノ歌手と取り巻きたちの歌なのですが、今日は「幸せにときめく若い二人を周囲の人々も祝福しています」みたいな感じで演奏したいと思います。

(2018年4月25日)

 

「THE MUSIC OF THE NIGHT」

 

ラウルの登場に焦った「音楽の天使」がファントムと名乗ってクリスティーヌの前に現れます。

そこで歌われるのがこの曲。意外とダークな部分のない、純朴で優しい歌です。

 

「MASQUERADE」

 

華やかな劇中劇の曲。

大勢の合唱と大オーケストラによって奏でられる豪華絢爛な曲を、ピアノ一台で演奏します。

音も多くて転調も複雑です。ナレーションをかぶせるのが申し訳ないような難曲です。

 

「THE PHANTOM OF THE OPERA」

 

壮麗なオペラ座を舞台にいくつかの運命が交錯して悲劇が進行する、まさにそのままのドラマティックな楽曲です。

ソプラノの歌は、地下の奥底の再低音から、大伽藍のてっぺんの最高音まで、激しく暴れまわります。

 

「THE POINT OF NO RETURN」

 

不気味でも哀しい、不安定だけど美しい、そんな不協和音はファントムの「憎いくらい愛(いと)おしい」という複雑な気持ちを表しているのでしょう。

後半の劇的な歌声を聴くと「愛」が「憎しみ」に打ち勝ったように思えます。いや、そう信じたいです。

 

「WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN」

 

余計なものを拭い去って、美しさだけに純化されたような曲です。

亡き人に捧げるのにふさわしい清らかな音楽です。

 

「ALL I ASK OF YOU」

 

いよいよ終曲です。

恋する二人を祝福する明るいメロディーに、ファントムの純愛を表す落ち着いた旋律が絡み合います。

「みんなに幸あれ、そしてファントムよ永遠に」と祈りたくなるようなエンディングだと思います。

(2018年4月27日)

 

つくし

 

突然つくしが食べたくなったので通販で買ってみました。

 

 

一番オーソドックスに卵とじです。

ほとんど半世紀ぶりの、懐かしい味でした。

(2018年5月2日)

 

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